takato さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「ハイキュー」×「はじめの一歩」×「がんばれベアーズ」。「走る」(生きる)ことの意味、その答えは未だ出ずとも…。
久々に怒涛の勢いで見ちゃって中盤から泣きに泣いて終盤は号泣しました。正直基本的なプロットは、「がんばれベアーズ」に連なる駄目チームもので80年代くらいから物凄い量産されてきたよくあるパターンであるが、逆に言えば上手にやれば王道になるわけでそれが見事に成功している。もちろん原作の力があるんだろうけど、私としては脚本の喜安さん流石!と言いたい。
各キャラは、ハッキリ言って斬新さは全然ありません。出てきた時点でこういうキャラだろなぁ〜という予想通りである。しかし、それこそ王道!、その安心感の中でそれぞれ丁寧にキャラを描いていき、その関係性を紡いでいくから皆が愛おしくなる。特に駄目さを抱えたキャラこそその想いが半端ない。何故なら私も駄目人間だから!。駄目さを単に否定するだけじゃどうにもならん。その痛みや弱さも力に変換する事こそ創作のマジックがある。
特にキングの件には本当に号泣した。単に順位争いの戦いではなく究極的には自分自身との戦いだからこそ、自分の弱さと向き合い、それを乗り越える物語として上手く機能している。キングのモノローグの時点でわかり味が深すぎて、コミュ障とはこういうことだよ!と涙が溢れてきて、「俺は俺を演じる必要はないいんだ」、「その誰でもない俺自身が俺なんだ」のところで決壊してハイジのごとくよく見えなくなりました。
そして、物語の中心はもちろん豊永さん演じるハイジだろう。駆よりも見ていくと狂言回しだと思っていたハイジの方が本当の主人公だなっての見えてくる。終わり方も含めて。とにかく豊永さんの演技がこんなに活きているキャラは初めてでもしかしたら最高傑作かもしれぬ。最終回のハイジがゴールへ向かう場面は、正に彼の「運命の至る場所」な瞬間を描いている稀なる時。
結局最終的に順位争いの競い合いじゃなくて、「走る」ということはどういうことなのか?、ひいては生きることとはどういうことなのか?という問いに物語は集約していくから見事。だからこそ本作は味わい深い傑作となっている。人は一人で走るしかないけど独りじゃない、この世界を生きていくことの寓意として見事に結実していく。
ただ、惜しむらくは2クール「しか」ない点だろう。もっと彼らの活躍を見た〜い!。あと、駆はやはりワカメと、ハイジは藤岡さんと戦わせて欲しかったなぁ。そういえば、藤岡さん演じる日野さんは最近低くて太い声の演技をされてきているが、渋くてラスボス感があるのことはなかった。他にも決して無謬じゃなくて弱いところはあるけど、そんな事どうでもよくなるくらい大きなプラスがあるので、スポーツアニメの大傑作として必見!と心からオススメです!。
どうでもいいが、キングは「パトレイバー」の太田さんにしか見えない!。これは「恋は雨上がりのように」の後藤さんにしか見えない店長さんに続いて二人目やな。