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「ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)」

総合得点
75.8
感想・評価
266
棚に入れた
1227
ランキング
770
★★★★☆ 3.8 (266)
物語
3.8
作画
4.2
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ペンギン・ハイウェイの感想・評価はどうでしたか?

順順 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

西島秀俊以外良かった

主人公の父役の西島秀俊が下手だった。
おっぱいに執着し過ぎてる謎は解決出来なかった。
ペンギンの特徴がよく捉えられてて可愛かった。
少年の将来が気になる。

投稿 : 2019/05/06
閲覧 : 251
サンキュー:

2

ネタバレ

runa21 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

世の中は説明のできないことであふれている

この映画を見た方に
原作を読んでから見たほうが言いといわれたのですが、
原作の入手に時間がかかり、
そして結局入手できずに視聴することになりました。


結果、原作を読んでから見たほうがいいだろう。


というのは、期待しすぎたからいけないのか、
途中で何度か力尽きそうになりました・・・
それゆえに、この映画を見てから
原作を読もうと思わないということに
気がついてしまう・・・

よって原作を読まないと、きっとこの映画は理解できない。
でも、この映画を見てから原作を読もうという気は起きない。

だから結果、原作を読んでから観るのが正解。


なるほど、その方のいっていることが
この映画を見て真に理解できました(笑)

レンタルできることに舞いあがって、
あせってこの映画を見てしまったことに後悔。


ただ、こういうファンタジックな感じの作品
私は嫌いではないんですけどね。
「この話、よくわかんないんだよ。なのに面白いんだよ」
「この話、よくわかんないんだよ。なのに見ちゃうんだよ」
っていう作品ないですか?

きっと訳がわからないなりに
人をひきつけるツボを心得ている作品なんだろうな
と思います。

でも、その私でさえ
途中でリタイアしそうになったわけですから・・・
多分世間の評価はあまり高くはないだろうね。


キャラクターも悪くはないんですよ
主要メンバー以外にも
少年のお父さんとかかなり気になる人です。
かなり理屈っぽい「少年」なんですが、
きっとあのお父さんの教育によって
あの性格は形成されたと思われます。

少年のお父さんがどういう人なのか
非常に気になりました。

が、ちょこっと出てきては、
途中で退場してしまいます。

いろいろと、
もったいない話だなとはおもいました。

投稿 : 2019/04/28
閲覧 : 308
サンキュー:

17

ネタバレ

TaroTanaka さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

僕もこういう少年時代を送りたかった。不自由ない親・家・環境の下憧れのお姉さんと一夏のこそばゆい関係性を結びたかった。純粋な少年としてありたかったです。

■良い点
・男性の(殆どの男にとって叶わなかった)ノスタルジックな少年時代の甘酸っぱい恋心を、少年のモノローグやおっぱいの幾何学的考察日記、お姉さんのハグ等のディテールによって叶わせてみせたこと。
・ペンギン・海(球体)・ジャヴァウォック等のファンタジックなガジェット、またそれらに対する哲学的(世界の裏表・布袋の比喩等)・科学的(主人公のノート)考察によって視聴者を飽きさせない点。

■悪い点
{netabare}・主人公の少年が純粋過ぎる。だからこそ尊さもあるのだが。エッチなシーンは一つもなし。劇場公開版とはいえ、明らかに男性視聴者に寄せた(おっぱい云々・少年視点)内容であるのだから、ラッキースケベ位は欲しかった。(性欲が少ない少年が主人公だからこそ)
・苦難は主人公ではなくお姉さんに降り注いでいるのであり、主人公の少年はそれほど苦労していない点。{/netabare}

投稿 : 2019/04/21
閲覧 : 207
サンキュー:

12

神撃のニャンコ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

どうでも良い事だけど 私は、コウテイペンギン派

アニメ(フィクション)は、浮世離れしているもので
その支離滅裂な世界観に、どうやって観客引き込むか

製作側が、どんな工夫こらしたか私のオツムでは
一摘まみ程度しか気づけないですが

そんな気づけない工夫が散りばめられてるからかな?
無機物からペンギンさんが生まれたり
「ウミ」なんて不思議な現象が描かれても

この作品に対して拒絶反応的な物は感じず
楽しむ事ができました

これが原作を知った後だと 違うのかもしれませんが
知らずに観た私は満足です

総じて述べますと、万人に向けて放った御上品なアニメ?
(そう私が感じるのは、癖の強い作品を沢山知ってるからかも…) 

投稿 : 2019/04/19
閲覧 : 201
サンキュー:

4

ネタバレ

古川深夜 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 2.5 音楽 : 2.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

まだはやかったかもしれない

理解ができない点は原作を読めば理解できるのか そうゆうのではなく ファンタジーが強く お姉さんに対する感情描写として必要な内容だったのかはまだ自分の稚拙な頭じゃ理解できなかったです
ただ言葉の表現 探究心 初恋の純真さなどは 胸にくるものがありましたが内容には理解が追いつかなかったです

投稿 : 2019/03/21
閲覧 : 248
サンキュー:

2

tosimo さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

話はよくわからなかったけど、ペンギンかわいい

話がよくわからなかった。
そもそも分からせようとする意図も感じなかったから
多分よくわかんないんだけど、そこも踏まえて面白かった気がする
作画が綺麗だったし、ペンギン可愛かったし、少年とお姉さんの関係性も好きだし見てよかった。

投稿 : 2019/03/05
閲覧 : 218
サンキュー:

4

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

イマドキアニメ

森見登美彦が好きな友人に誘われて視聴。

・背景
自分自身もずいぶん前に森見登美彦は結構読んでいて、四畳半神話体系とかはアニメもそこそこ楽しめたが、それも遠い昔の話。ペンギンハイウェイの小説も読んだと思うが内容はほとんど覚えていなかった。
森見への情熱は枯れていたし、そんなにペンギンハイウェイは好きな作品ではなかった気がするので一人では見なかったと思う。

その友人は最近多分原作を読み終えたところだったと言う。原作が面白いからアニメ版も見ようぜというわけだ。

・感想
結果として友人の感想は、「思ってたのとはなんか違った。原作はもっとナンセンスな感じなんだ。でもまあこれはこれでいいアニメだと思うよ。」というもの。
自分は彼ほど人が良くないのでこれから多分ケチをつけるが、概ねの印象は彼に同意する。
うん。多分原作既読者は皆そんな感想を抱くのではないかな。
なんというか、アニメ映画版は非常にキレイで健全で随分ハッキリしている、良くも悪くも。

普通に子供が見て楽しめる仕上がりになっていて、最近の児童向けアニメという趣が強い。

映画的な壮大な演出など頑張って作っている感じはあるし脚本もソツない出来。

ただ自分のようなねじけた人間が見るとやや吐きそうになる。

まあ単純にアニメのターゲットと合わなかったとも言う。

投稿 : 2019/03/05
閲覧 : 273
サンキュー:

4

のび太 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

子供も大人も楽しめる、ちょっと不思議系SFアニメ映画

原作は、アニメでは「四畳半神話大系」の原作者で知られている森見登美彦さんの小説です。
制作会社は「台風のノルダ」を制作した「スタジオコロリド」ですね。

主人公の少年が、密かに好意をよせる胸の大きなお姉さんw
そのお姉さんに、ふさわしい大人になるために、日々研究に励んでいるw
そんなある日の通学途中、空き地の原っぱにペンギンがいるのを見つけて…

「四畳半神話大系」と同じくペラペラと独白の多い主人公ですw
しかし、この作品の主人公は、大学生ではなく小学4年生でしたw
四畳半だと湯浅監督のイメージが強烈ですが、こういう一般的な作風でもその魅力は健在ですね。

しかし「スタジオコロリド」が、このレベルのアニメ映画を、製作出来るんだというのが、ちょっと驚きでした。
「ジブリ」がアニメ映画の製作を休止して、今後この役割を担っていく制作会社の中に名を連ねてもまったく遜色ない感じですね。

子供も大人も楽しめる、ちょっと不思議系SFアニメ映画でした。

ちなみに、聖地は奈良県生駒市だそうです。
アニメで見る限り、耳すまの聖地に引けをとらない綺麗な町ですね。

投稿 : 2019/02/09
閲覧 : 276
サンキュー:

16

lele さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

タイトルなし

小学4年生のアオヤマ君とペンギンとお姉さんの話。
森見登美彦らしい不思議な世界観。
とても面白かった。
アオヤマ君のおっぱいに対するスタンスが潔くて好き。

投稿 : 2019/02/08
閲覧 : 264
サンキュー:

3

さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

文学的な内容でした

フミコの告白や陽なたのアオシグレ等、勢い重視の作品が主だっていたので、長編モノで、物語がしっかりしている作品では、どの様な展開をしてくれるのだろう。と超期待で臨みましたが、見事に世界へ引き込まれました。

原作は知りませんが、かなり文学的な内容で、SFというよりも哲学的な印象が強く残っています。
元より、理屈が説明されていないのですから、SFというのは検討違いなのかもしれません。
主人公は、科学好きな小学生で、小学生としては非常に考え方が大人びている様子で、言い回しもかなり回りくどい感じでしたが、声優さんの演技がとても良く、言い回しが自然と溶け込むようでした。

またそれ以外のキャラクターについては、主人公の邪魔をする者であっても、完全いやしくはならず、可愛げがあったり、誠実であったりと、モヤっとする事なく最後まで見られたのが良かったです。

作画も良かったのですが、特に背景のCG周りが手書き背景と馴染んで良かったですね。

ひとつだけ気になったのは、
主人公がノーベル賞受賞の妄想をした事でした。性格とかけ離れた部分でしたので。
何らかの意図があるのでしょうか。
小学生っぽさを演出させる為でしょうか。

まあ、それは些細な事です。

見せ方好し。演技良し。作画も良し。非常に満足感の高い映画でありました。

投稿 : 2019/01/04
閲覧 : 354
サンキュー:

24

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

問題解決の方法とは

街にペンギンが現れた。
彼らはどこから来て、どこへ向かっているのか。

小学生の主人公は友人二人とその謎を解き明かそうとする。

そして、彼が大好きな歯医者のお姉さんに
不思議な力があることを知る。

どういう理屈かわからないが、お姉さんが投げた
コカ・コーラの缶がペンギンになって走り出したのだ。

少年は仮説を立てて、観察し、実験し
問題解決をしようと試みる。

わけのわからないものに対して
仮説を立てて、実験していくところが面白いなと感じた。

ファンタジーにもファンタジーなりの筋がある。
道理がある。意味不明だけど。

ペンギンが押し寄せてくるところはアニメならではだなと感じた。
忍空を思いだしました。こちらの方は数が桁違いですが。

投稿 : 2018/12/29
閲覧 : 198
ネタバレ

観ろ! さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

作画おばけ

森見登美彦原作より、「四畳半」「命短し」「有頂天」とはまた違った風合いの作品。SFではあったもののストーリーは文句なしに面白かった。作画も凄いの一言。圧巻の出来に家族と見れる内容だったのが良かった。

投稿 : 2018/12/11
閲覧 : 282
サンキュー:

6

ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

少年期の憧れが生み出すファンタジー

大人も子供も男性も女性もそれぞれが楽しめる要素を上手くミックスしたエンターテイメント作品。

《ストーリー》

日本のとある郊外の町に突如出現するペンギン達。
主人公、小学4年生の「アオヤマくん」が近所の歯科衛生士の「お姉さん」とクラスメート達と共にその謎の究明に挑みます。
次々と起こる奇妙キテレツな現象は見た目可笑しくて、SF的興味を増しつつ飽きさせません。
アオヤマくんとお姉さんの会話は理知的でその関係性に興味を誘われます。
クラスメート達との交流も子供らしい無邪気さが微笑ましく楽しめました。

《登場人物》

主人公アオヤマくんは将来のビジョンを明確に持ち、おませで賢すぎるかもしれませんが、秘かに結婚相手に定めているお姉さんへの憧憬が小学生らしくて好ましいです。

クラスメートの子供達はドラえもんのメンバーに似てます。
出来杉くんが主人公でのび太がその親友と、役回りの違いはありますが、しずかちゃんやジャイアンのポジションもいて、ほのかな恋心や男女でおっぱいを議論できる所など小学生らしい態度や行動は分かりやすく、お子さんが観ても楽しめるでしょう。

大人(男性)的には、何と言っても「お姉さん」が魅力的!
抜群のプロポーションといい、ハスキーな声といい私的には大満足!
何度も優しくも甘やかに「少年!」と語りかける描写は、誰しも経験したことのある少年期の大人の女性への憧れを呼び起こさずにはいられないでしょう。

《作画》

ペンギンに尽きる!
その出現描写は鳥肌もの。
無表情なペンギン達ですが至る所に現れ、画面の中を縦横無尽に動き回る様子はPOPで可愛く、特に女性に好評だと思います♪

《声の演技》

お姉さん役の蒼井優さんの声だけで5点満点!
私は基本、アニメの声はアニメの声優さんに演じて欲しい派なんですが、今作は蒼井さんのハスキーな声が色っぽくてゾクゾクしっぱなしだったんで~
(ごめんなさい、200%主観の採点です^^;)

脇役では友達のウチダくん役の釘宮理恵さんが気弱な少年を上手く演じられてて流石の安定感でした。

《音楽》

劇伴曲はそつなくシーンに寄り添っていた印象。

主題歌を担当したのは大物アーティスト、宇多田ヒカルさん。
デビュー曲「Automatic」の初視聴時、なんとムーディーな曲だと気になり友人に尋ねると、まだ14才!に驚いたもんです。
映画の終幕を飾る曲は、当時衝撃を受けた記憶が甦る"えも言われぬ"雰囲気を醸し出していて、遠い少年時代のノスタルジーを感じさせてくれました。
才能は衰えませんね。

《最後に》

不思議な物語の結末については色んな見解ができそうです。
以下個人的な感想(考察と呼べるような代物ではございません)
{netabare}
お姉さんはアオヤマくんにとっては絶対的な存在なんですが、私達観客には終始ミステリアス。
それこそがこの物語のキモではと。

名前も提示されない彼女は、あくまでもアオヤマくんの少年期の憧れが具現化したものだと解釈しました。
不思議な現象も、少年時に詰め込み過ぎた知識が収まりきれず噴出したか、研究好きの彼の究明方法を習得するために起こった演習みたいな事象なんだろう。
故に彼なりに整理をして答えを出す事で珍現象は彼女もろとも解消。

その謎や答については個人的にチンプンカンプンのままでしたが、この経験で彼が成長の階段を大きく昇れた事をストーリーの結末にしたんだとスッキリ納得でき、清々しい視聴感でした。

(しかしその為に何とハタ迷惑な現象を引き起こしたんでしょうね~これじゃアオヤマくんは涼宮ハルヒやな~^^;){/netabare}

投稿 : 2018/09/17
閲覧 : 389
サンキュー:

30

E=mc² さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 1.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

うーん…

まぁ確かにドキドキハラハラのなかなか面白い話ではあったんだが、森見作品の中では評価が低いのも頷ける、という感想。
他のサイトのレビューでも言っている人がいたが綺麗な背景など、トレンドを狙った作りがちょくちょく見受けられた。
いやいいんだけどさ。でもやはり森見先生の作品には合わないなって。
あと、お姉さんの「やぁ少年」言い過ぎでウザかったのと、棒読みな声優がちょくちょく見られたのが残念。

投稿 : 2018/09/17
閲覧 : 231
サンキュー:

3

ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ペンギンとお姉さん、海と研究と +

  大人びた少年アオヤマ君の大人に向かって歩む?研究のお話だったです。将来の相手まで、すでに決めているアオヤマ君は、いつも多忙な毎日を送っているです。あらゆることに興味を持ち、ノートにつける日々を送っているです。賢いようでは、あるです。

 アオヤマ君のいつもの日常より、突然町の空き地に現れるペンギンから物語は始まるです。
 親友のウチダくんとの研究から、お付き合いしている??歯科助手のお姉さんも絡んで、お姉さんの見せる不思議な現象を知るのです。

 さらに{netabare}ハマモトさんの誘いもあって、「海」と名付けられた謎の物体を共同研究することに・・・・・です。3人の楽しそうな光景が、子供らしいです。

 物語は、一つになっていき、街を巻き込んだ騒動にまで、発展していくです。

 ペンギンエネルギーとは何なのか?、なぜお姉さんはペンギンを生み出せるのか?、海は何なのか?、世界の果てとは?それらの{/netabare}謎を解明したとき、アオヤマ君は大人に近づくのかなぁです。それは、お楽しみです。

 アオヤマくんとお姉さん過ごす時間、多いです。冷静なように見えるアオヤマ君が、お姉さんの胸ばかり気にするところも面白みがあるです。それを語るアオヤマ君の熱心さは、凄いです。

 非常に多くのペンギンが登場する終盤は、必見です。研究結果が出て騒動に終止符が打たれた後、いつもの日常に戻るアオヤマ君の誓いは、子供ながら、非常に大きなものを感じるです。
 大人になって偉くなるということは、「こういうものの積み重ねなのかなぁ」でしたです。

投稿 : 2018/09/11
閲覧 : 252
サンキュー:

14

ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

世界は研究すべき”不思議”で満ちている!

原作:「ペンギン・ハイウェイ」既読
 著:森見登美彦
  (代表作「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「有頂天家族」等々)

『他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことである。一日一日、ぼくは世界について学んで、昨日の自分よりもえらくなる。…今日計算してみたら、ぼくが二十歳になるまで、三千と八百八十八日かかることがわかった。そうするとぼくは三千と八百八十八日分えらくなるわけだ。…えらくなりすぎてタイヘンである。…結婚してほしいと言ってくる女の人もたくさんいるかもしれない。けれどもぼくはもう相手を決めてしまったので、結婚してあげるわけにはいかないのである。
 もうしわけないと思うけれども、こればかりはしょうがない。』(原作抜粋)

毎日学ぶことをモットーに、日々ノートを片手に世界に対する研究を重ねている優秀だけどちょっとスケベな愛すべき阿呆小学生の主人公と、謎多きお姉さんを中心に据えた、不思議なファンタジーSF作品。

森見作品にあるまじき優秀な小学生が主人公であるが、内在する阿呆さは”らしい”主人公でもある。美しい「お姉さん」の不思議な力に関する研究を進めていく中で生まれた謎が謎を呼ぶ作品であり、青春を感じさせる爽やかな作品でもあった。

途中冗長気味で、退屈に感じられる部分もあったが、総じて森見さんの描き難いオリジナリティーあふれる不思議な世界観を、精一杯うまく映像化していることに大変満足できた作品であり、面白さ、熱さ、美しさ、そして切なさが見事に融合された良作であったと思われる。
(ちなみに自分は泣きました。アオヤマくんは泣かないことにしているのに…。)

森見ファンはもちろん、ちょっと変わったアニメ映画が観たいなら、ぜひともチャレンジしてみてほしい作品である!

以下項目別ネタバレ付き感想
{netabare}
物語:4.5
 森見×上田誠は心配の必要なし。
 謎が謎のまま残ったことを残念に思う意見が散見されるし、その意見には大いに共感できるが、この不思議な世界を説明するのに十分な言葉はこの世に存在しないと思うし、誰もが納得する答えはきっとない。
 世界に空いた穴である<海>”広がる世界の果て”を埋めるためのペンギンであり、そのペンギンを生むお姉さんはきっと人間ではなかった。<海>がなくなれば<海>エネルギーで存在しているペンギンやお姉さんは消えてしまう…。主人公が立てた仮説はこんなところであろう。そして、主人公以上にお姉さんの真理に近づいた人間もまたこの世にはいない、とどまるところ現状人知では手には負えない問題なのである。
 これらは原作において”素敵な”父の言う「解決しないほうがいい問題」であり「理不尽なこと」であった。

 ただし、ぼくは決してあきらめていない。

『ぼくは世界の果てまでたいへん速く走るだろう。みんなびっくりして、とても追いつけないぐらいの速さで走るつもりだ。世界の果てに通じている道はペンギン・ハイウェイである。その道をたどっていけば、もう一度お姉さんに会うことができるとぼくは信じるものだ。これは仮説ではない。個人的な信念である。』

声優:3.5
主人公「アオヤマくん」を演じたのが北香那。演技がぶれずに想像以上にフィットしたキャスティングであった。
お姉さんは蒼井優。こちらは評価が分かれるかもしれない。演技力は流石であったが、アニメ声に毒された自分には、もう少し綺麗な声であててほしかった気がする…。
ウチダくんは釘宮であったこともあり、可愛すぎかよ!もしかしてヒロインよりも…なんて思ってしまったり。
その他お父さんを演じたのが西島秀俊…!棒演技ではあったものの、暖かい声はやはり素敵であった。

キャラ:4.0
アオヤマくんとお姉さんは安定として、脇を固めるキャラ達も素敵であった。ハマモトさんなんて可愛いじゃないか!
個人的には原作からお父さんがお気に入りだったりする。
いじめっ子のスズキくんと一緒に遊べるようになったのも良かった。

作画:4.5
素晴らしい。難しい世界観を見事に映像化しているし、演出も申し分なし。

音楽:4.5
主題歌は宇多田ヒカルの「Good Night」。最高にマッチしていて、エンディング中に席を立つ人が極端に少なかったように感じた。

最後にぼくとお姉さんに明るい未来があることを祈って、原作の最後の素敵すぎる文を引用したい。

『ぼくらは今度こそ電車に乗って海辺の街に行くだろう。
 電車の中でぼくはお姉さんにいろいろなことを教えてあげるつもりである。ぼくはどのようにしてペンギン・ハイウェイを走ったか。ぼくがこれからの人生で冒険する場所や、ぼくが出会う人たちのこと、ぼくがこの目で見るすべてのこと、ぼくが自分で考えるすべてのこと。つまりぼくがふたたびお姉さんに会うまでに、どれぐらい大人になったかということ。
 そして、ぼくがどれだけお姉さんを大好きだったかということ。
 どれだけ、もう一度会いたかったかということ。』

{/netabare}

投稿 : 2018/09/09
閲覧 : 466
サンキュー:

17

37111 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

蒼井優の声がエロい

全体としてよかった。

小学4年生ってあんなにも大人になれるものなの?とは思うけどまぁ、それはそれとして。
いじめっ子の理不尽さはイライラするけど最後はそうなるんだろうね。と思いました。

結局ペンギンって何だったのか。お姉さんとは何だったのか。
見てる人が個別に考えてみてね^^
ってことでしょうか。

四畳半なんちゃらの人の作品なんだと思ってみればそういった事も受け入れられるのかも。

投稿 : 2018/09/09
閲覧 : 334
サンキュー:

21

ひつまぶし さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ネタばらしまで欲しかったなあ

なんと自分の母校の先輩が関係者とのことで(随分なぼんやり表現で失礼)チェック
大自然に大量のペンギンたち。どれも丁寧に繊細に描かれていました
お姉さんの魅力的なキャラも〇

ただ、謎がそのままなのが惜しかったかなあ
原作観てないですが、原作もここまでなのでしょうね
どこからペンギンやってきたねん

投稿 : 2018/09/06
閲覧 : 216
サンキュー:

6

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

昔少年少女だった大人たちへ

主人公の年齢は小学生、だけどこの近辺をターゲットにしたという作風でもない様な、視聴対象は大人という感じなんでしょうか。
夏休みも最終となる8月末の日曜昼間の観賞、場内は半数程の入りでほぼファミリー、一時間ちょっと経過した辺りからトイレに立つ家族連れがラストまでポツポツと続きました。
これに気が散ったとかではなく、夏休みに標準を合わせ小学生やファミリーも取り込もうとした作品ならば、上映二時間は長過ぎたんじゃなかろうか、と思った次第。
序盤中盤はちょっと間延びする構成と感じ、丁度家族連れがトイレに行き出した頃には、私は「んー」「で?」って風にちょっとじれてました、序盤中盤はもう少し削っても良かったかも。
ヒーロー色強め、所謂「おねショタ」と私はちょっと苦手な部類でしたが、昔ファンタジーノベルなどが好きだった方は嵌まるんじゃないでしょうか。

投稿 : 2018/09/03
閲覧 : 246
サンキュー:

16

みのるし さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

とにかく謎だらけ。

いちいちあれこれが比喩に満ち溢れていて、こおゆう作品を読み解くことに慣れてない人は(とゆうかそれはボクですけども)なにがなんだかわけがわかりません。

んで、いろいろな謎がまったく解決されないまま『ほなーさいならー!』て感じで終わります。

なので、『え"ーーーーっ!』と思うのですが、映画自体がなんだかやたら素晴らしい出来栄えなので、すぐに『まあ、いいか』となりますww

それぐらいなんだかよくわからないけど、夏休みドキドキワクワクの謎解き大作戦!なイベントで、ようするに映画をみているオッサンも童心に帰ってその謎解きにうんうん唸るわけですよ。

そして、ちゃあんと退屈させないようにおっぱいのおっきいおねーさんもでてきてくれてサービス満点!あははは。


さっきも書きましたけど、最終的にはなにひとつ謎は解明されないまま甘酸っぱい終焉を迎えるのだけれど、それはそおゆうことなんですよ。

謎解きは解いた瞬間につまんなくなると。

なんだかやたら楽しかった夏休み。
夏休みの神様。どうかわたしを忘れないで。

そしてあれはいったい何だったんだろうと大人になってからもふと思い返すような。
そんな素敵な夏休みがあったら大人になってもがんばれるんじゃないですかね。


まま、とにかく。
謎解きの苦手なボクはこの映画をそう解釈しました。

個人的にはもうちょっとわかりやすいお話の方が好みではあります(滝汗)。

投稿 : 2018/09/03
閲覧 : 297
サンキュー:

18

lumy さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

本当に森見原作?

原作未読です。
他の森見作品は、小説をいくつか読んだことがあり、
四畳半・夜は短しも視聴済みです。

本作は、森見作品とは思えない程さわやかで、
利口な主人公ですねw
そして舞台が京都でもありません。
それでも、ところどころ森見節が垣間見えて、
やっぱり森見作品なんだと再認識しました。

そして、本作の見どころは豪華なスタッフ陣でしょう。
新進気鋭の石田監督を筆頭に、
森見作品の脚本を務めてきた上田氏、
主役級は女優さんですが、脇を固める声優陣が盤石の布陣であり、
主題歌は宇多田ヒカルと、安定感のある内容となっています。
そして、EDロールをみて驚いたのですが、
佐藤順一氏がクリエイティブアドバイザーとして参加しており、
この何とも言えない爽やかさに合点がいきましたw
(雀犬さんが亀井演出を危惧されていますが、
個人的には、佐藤氏で歯止めがかかったと思っていますw)

ストーリー重視の作品ではありませんが、
全体のレベルが高く、バランスの取れた良作です。
映画館で観て損はありませんよ。

投稿 : 2018/09/01
閲覧 : 558
サンキュー:

35

ネタバレ

しかまる さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

良い映画

研究的にストーリーを進めていくのが観ていてとても楽しめた
事柄が全て意味あるものとして繋がっていくのも良かった
作品のテーマの範囲内で考えればラストも良かったと思える
今夏で1番面白かった

投稿 : 2018/08/31
閲覧 : 202
サンキュー:

7

ネタバレ

眠夢 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ペンギン可愛い!!

原作既読

本映画は、小説の映像化で私は森見登美彦さんが好きで、さらに予告編で見たペンギンの愛らしさに前売り券まで買って見に行った。残った前売り券は原作の栞にしたい。

原作を読んでからそれほど時間が経っていなかったので、原作と映画の違いを見つけようと思いながらも、楽しんで見ていたけれど、原作に凄く忠実だ。

{netabare} 九割がた合っている。違う部分を上げると
するならば、主人公の『アオヤマ君』の友達『ウチダ君』のエピソートがほとんどない。

例えば、ウチダ君は引っ越してきて、遠くの町に友達がいる。その友達の為に、今回のペンギン騒動で捕まえたペンギンを友達に見せに行く。というエピソードは、ペンギンが餌を食べないので、何を食べるのか水族館へ行くという話に代わっている。 普通に見る分には全く気にならない。おそらく、原作を読んでいなかったらまったく気にしない。エピソードが変わっていたけれど、それで本編に全く影響を及ぼさない物である。{/netabare}

その中で印象的なシーンは冒頭のペンギンがヨチヨチ走っているシーンが可愛い。
これは、原作では決して表現できない、映像作品だからこそできる可愛さなのだと私は思う。アニメ化ならではの表現だ。

キャラの魅力も、伏線も、話しの大筋も、構成は素晴らしく良かった。

文句を言うならやはり、声優……かな……。主人公の声は良かったのだけれど、お姉さん役が……。

アニメ映画のはやりなんだろうけれど、声優陣で固めてほしいと、思う。

投稿 : 2018/08/29
閲覧 : 258
サンキュー:

8

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

この小四男子が大人になるのが楽しみでなりません

原作SF小説は劇場鑑賞後に購読。

ボクは大人になったら保母さんと結婚するんだ。
或いは先生と、或いは看護婦さんとか……。

幼少期の園児、児童の中には、時折、
こうした未来を語るナマイキな小僧がおりますがw
あれは果たしてどういった心情なのでしょうか?

年上の女性に甘えているようで母性依存とは少し違う。
だからと言って恋愛のいろはを知っているわけでもない。
大人になってから初恋の相手は先生だったなどと吹かす人もいますが、
あれは恐らく初恋の域には達していなかったと見るのが妥当でしょう。

そして、思春期を経て、恋を知っていく中で
母性依存以上、初恋未満の経験は、いつの間にか霧散してしまう。
その時、少年の心や周囲に何が起こったのか?
についてはあまり語られることもありません。


本作はそんな幼少期から思春期に差し掛かる少年と年上お姉さんの青春を
生命進化史や宇宙観に絡めたジュブナイルSF作品。

歯科医院に勤務するお姉さんを結婚相手に決めている主人公少年。
彼がまた只者ではありません。

“人類代表”就任を企てる少年の野望は、
夢物語にとどまらず、形にすべく既に計画的に動き出している。

ノートに自身の課題と研究テーマを列記。
(しかもジャポニカ学習帳などのお子様向け文具ではない。
論理的思考やスケジューリングに最適な大人向けの外国製方眼ノート)
解決のためのPDCAサイクルを回して、
日々、着実に“エラく”なっている自負を得ているのです。

けれど、宇宙物理学の知見に触れたり、
一流のビジネスマン、研究者に匹敵する
メソッドを体現した天才児をもってしても、
ようやく知りつつある恋の甘酸っぱさについては、認識しきれない。

知識だけでは感じ切れない。
成長や性徴を経ねば分らない感情が確かにある。
少年の知的生活を強調することで
浮かび上がって来る青春という構図が誠にこそばゆいです。


鑑賞された方の中には、というより多くの方が、
こんなすました主人公少年なんているわけないだろうw
と思われたのではないでしょうか。

ただ、私の場合は、自分も幼少期、ろくに方程式も解けないクセに、
舌で乳歯をグラつかせつつ、
NHKでアインシュタインの業績を優しく解説する番組などを見て、
宇宙の真理を知った気になっていたナマイキなガキだったのでw
本作の主人公少年の言動には共感できる点も多々ありました。
(但し私も流石に、{netabare} 怒りの感情を和らげるために、おっぱいを妄想して幸せになる{/netabare}
などということはなかったと弁明はしておきますw)

SF展開も私好みで思索も捗り、久々に幼少期に戻った気分になりました。
嬉しさの余り……また、劇場版の説明だけでは納得できないこともあって、
鑑賞後、原作購入して延々と考察に耽っている内に、
この夏も終ろうとしていますがw後悔などは全くありません。
脳に清々しい汗をかくこともできた素敵な夏でした。


それにしても、この主人公少年は
これからまさに恋を知り、青春を知ることになるのでしょうが、
別次元とも言える思春期の純情を経た時、さらに大人になった時、
この夏の思い出はどう自己解釈されるでしょうか?
未熟だった自分にのたうちまわったりもするのでしょうか?
今から反応が楽しみでなりませんw


その他、主人公少年だけでなく、同級生の男子一名と女子一名もまた、
初めて知ってしまった恋の感覚に戸惑いながらも成長していく。
三者三様の青春も実にくすぐったかった。良作青春SF映画でした。


以下、ネタバレかつ超絶ロングな考察。

一応ノート形式を気取ってはいます。
眺めていても大した「エウレカ!」も来ない半端な代物ですがw
鑑賞後の思索等にお役立て頂ければ幸いです。

{netabare}
□ブラックホールとワームホール仮説と“世界の果て”

劇場版では、“世界の果て”は遠い宇宙の外ではなく、内側にあるかもしれない。
と示唆された程度でしたが、原作では、かなり多岐に亘る思索があります。

例えば、恒星が死を迎える際に重力で自壊するなどして
空間に穿たれるブラックホール。
光も音も時間や空間さえも飲み込まれ押し潰されると言うこの穴については、
その出口が別の宇宙へ通じているという仮説が提唱されています。

この場合“世界の果て”は外側の辺境ではなく、
内側のブラックホールに存在することになるのです。


□始まりと終わりを繰り返す万物

無から生じた宇宙の膨張と収縮。
混沌と秩序、生と死、進化と絶滅、眩しい朝昼と静寂とした夜、
輝かしい夏も四季が巡れば秋を経て、命が眠る寂れた冬を迎える。

全ては始まり、やがて終わり、また混沌とした始まりへと回帰していく。
本作では盛衰を繰り返す森羅万象という宇宙観が、
少年が知覚する周囲のあらゆる事物、体験にあてはめられます。


□宇宙と海の共通点

原作では海の神秘についても、さらなる言及があります。
深海に至っては並の探査船は圧壊する程の高水圧。まるでブラックホール。
そこにすら棲息する生命体は、宇宙のエイリアンを思わせるグロテクスクな外観。

光や音が地上と異なる性質を見せる水中においては、
さながら宇宙空間を想起させる不思議な非日常的な環境を与えてくれます。
宇宙飛行士も水中で訓練に励むのです。

劇場版では、さらりと流されたプールのシーン。
あのカットだけだと全裸で女子の前に浮上する
少年の奇行を強調するだけのネタシーンと化していますがw
原作だと、あの場面に宇宙と海をつなぎ合わせる感覚を読者と共有する、
貴重な水中体験の描写があります。

後で原作を読んでいて、一番これは映像化して欲しかったなと思ったシーンです。


□コーラと多元宇宙論

お姉さんが投じたコーラからペンギンが発生する。これも含蓄に富んだ表現です。

原始の海から発生した生命が鳥類まで到達する生命進化史の早回しとも解釈できますし、
私の場合は幼少の頃見た多次元宇宙論の泡宇宙のイメージ映像を思い浮かべました。

宇宙は単一ではなく、無数に存在していて、炭酸の泡の如く生まれては消えている……。
コーラの漆黒の液体に泡立つそれらがペンギンへと到達し、また元のコーラ缶に回帰していく……。
一連の描写は宇宙の性質も示唆しているように感じました。

いずれにせよ、ペンギンの発生と消滅もまた、万物の盛衰を暗示しているものと思われます。


□<海>とは何か?

ハマモトさんが発見した膨張と収縮を繰り返す不思議な浮遊球体<海>
この世界に開いた塞ぐべき“穴”との指摘からも、
また上記の考察からも、ブラックホール?と推測したい所ですが、
重力による星の潰滅に由来しないためか、万物を吸い込み圧壊する性質はない模様。

一方でワームホールの如き異次元空間への転移機能は有していて、
<海>の中では物理法則や時空も混沌としています。
劇場版でも“世界の果て”と形容された<海>
原作では加えて「カンブリア紀」の海とも再三強調されています。
多種多様な海洋生物が爆発的進化を遂げては消えていった……。
地球生命史でもっとも多くの可能性が繚乱した時期。

<海>はかの時代の如き混沌への回帰をもたらすのです。


□ペンギンの役割

ペンギンと言う鳥類はまさに生命進化史の天邪鬼。
海の生命が数億年かけて上陸を果たし、翼を獲得し、大空に羽ばたいた……。
その進化に逆行するようにペンギンは、空を飛ぶことをやめ、
翼をフリッパーに変え、生命の故郷である海に舞い戻り、生き生きと泳ぎ回る。
そのクセ、かつての陸棲から海の主と化したシロナガスクジラと異なり、
ペンギンは完全に海棲生物にはならない。
「ペンギン・ハイウェイ」と呼ばれるルートを通って
彼らは海から陸の浜辺へ帰って行くのです。

お姉さんが出すペンギンたちもまた、混沌たる<海>と呼応しながら、
完全に混沌に回帰することはない。
それどころか混沌を振りまく<海>を、
残された鳥類としてのアイデンティティたるくちばしで突いて消してしまうのです。

混沌に最接近しながら、秩序へ舞い戻って来る。
「ペンギン・ハイウェイ」は混沌に背を向ける者たちの進路でもあるのです。


□ジャバウォックの役割

……これには参りました。なにぶん『鏡の国のアリス』の記憶がないものでして……。
こんなキメラみたいな怪物いましたっけ?

で、結局、ウィキペディアなどを当てにする羽目になったわけですがw

その中で使えそうかな?と思ったのはジャバウォック退治が、
「言語の存立」を脅かす混沌を両断する比喩であるとの解釈。

陸に出張って来たクジラの如き風貌のそれは、
混沌から秩序を構築する営みを妨害する<海>からの使者。
混沌の穴を塞ぐペンギンにとっては
やはり天敵となる存在だと思われます。


□少年の成長に待ったをかける、混沌回帰の誘惑

少年はお姉さんを未来の結婚相手と決めている。
けれどそれは恋慕の感情を理解できていない、
母性依存以上、初恋未満の幼少期の未熟である。
少年が幼少期を脱し恋とは何かを知れば、
お姉さんとの関係は成立し得ない幼少期の夢想として霧散する運命にある。

生まれて成長していっても、人はやがては死に絶える。
万物はどーせ原始の混沌に戻っていくと言うのに、
遠くの海辺の街など目指す必要はあるのだろうか?

このまま成長もせず、恋も知らず、
将来お姉さんと結婚すると無邪気に思えていた頃の
甘い夢に溺れていても良いのではないか?

混沌への退行という誘惑は、
成長し恋を認識しつつある少年を惑わせ続けます。


□新興住宅街と子供のセカイとお姉さん&ペンギンの行動可能範囲

原作では、主人公たちが暮らす新興住宅地についても多くの言及があります。
少年が引っ越して来た時は、誕生直後の宇宙や原始の地球の如き静けさだった街が、
人口増加と共に活気を得ていく……。

星や銀河が繁栄した宇宙史や、多様な進化が花開いた生命史と重ね合わされた、
ビッグバンのようなエネルギーで膨張を続けるこの街には
お姉さんが出すペンギンの素材ともなり得る特別な力が宿っているのです。

さらに“世界の果て”は内側にあるかもしれないという論理は、
子供たちが行動し、探検できる範囲内に
“世界の果て”はあるという幼少期にありがちな夢想とリンクします。

海辺の街を目指すためにはこの住宅街を、子供のセカイを出て、
外に踏み出さねばならない。

そして奇しくも子供のセカイはお姉さんやペンギンたちが存在できるエリア。
ペンギン・エネルギーが届く範囲ともリンクするのです。



□それでも少年は海辺の街を目指す

混沌への退行という誘惑を振り切って、
少年は秩序を阻害する<海>を終らせる決断をします。

それは恋と知ってしまったお姉さんとの関係。
でも現状では叶わない子供と大人の関係。
それらを一度精算する辛い判断でもあります。

例え、万物がやがて無に帰すものであっても、
少年は進化を続ける存在として、成長を選択し、
内側の“世界の果て”に籠もるより、遠く外側にある“世界の果て”を目指すのです。
子供のセカイを出て、海辺の街へ……。

幼少期を脱して思春期へと、街の安泰と共に、
少年の成長は健全性を取り戻すのです。


□お姉さんの体調と<海>の膨張・収縮とハマモトさん

<海>の拡大と相関関係にあるお姉さんの体調。

加えて私には少年と同級の少女ハマモトさんとの関係も
関連しているように思えます。

ハマモトさんは少年に思春期の健全な恋を体験させるキーになる登場人物。
ハマモトさんと<海>の研究を開始する前は拡大期にあったと言う<海>。
お姉さんも割と元気でした。

この辺りにの関連性についてもデータを整理すれば面白いのでは?と感じています。


□お姉さんの正体と役割

結局、私にとっては、これが一番の謎として残りました。

物体からペンギンを生成する人知を越えた存在であったお姉さん。

世界が混沌に飲み込まれるのを防ぐため生まれた異次元人か?
はたまた、主人公少年がお姉さんと結婚するという夢想が、
夏の終わりに彼女の引っ越しにより霧散する……。
という現実がまずあって、
そこからSFファンタジー方面へ派生した幻想がペンギンを出すお姉さんだったのか?
なかなか明確な答えが見出せません。

ただ、一つ思うのは、お姉さんは素敵な女性であったということ。
幼児、児童の結婚願望を向けられて、
軽くあしらうでもなく、中途半端に悪ノリするわけでもなく、
論理的に思考し研究する少年の可能性にかけて、
自身の謎を課題として提示するという形で、
少年が自力で思春期への成長へ踏み出す契機を与えた。

私は彼女の言動を好意的に受け止めています。{/netabare}

投稿 : 2018/08/28
閲覧 : 558
サンキュー:

36

山のかかし さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

想像もつかない素敵なファンタジー作品でした

「未来のミライ」とどっちを見ようかと迷いましたが、こちらに決めました。
決め手はどんな話になるか全く想像つかなかったからです。PVを観てもペンギンが出てくるのは解りますがどんな話なのか皆目見当がつきません、なのでその分ワクワクしますね。
結果は大変満足でした。昨今のアニメ映画ですので映像、作画などは丁寧に描かれいます、映画館での大きなスクリーンで見れば迫力があっていいですが、「君の名は」の様にあそこまで映像美を見せる映画では無いので、DVDレンタルなので家庭でも手も十分楽しめるとは思います。
原作は森見登美彦さん。アニメで「有頂天家族」などの原作者です。「有頂天家族」は1期・2期とテレビ放映されていて、自分はとても好きな作品でありました。
また声優陣ではお姉さん役に蒼井優、わき役の内田君に釘宮理恵さんがキャストされていて個人的に良かったです。
話の内容で勝負する作品で見終えた後もとても気分よくいられました。ネタバレはしませんがペンギン、お姉さん、謎の水球体など問題は解決されてませんが、その事事態はどうでもいい事と思えます。
なぞは主人公の青山君が大人になって解いてくれると信じています。
カミさんには「今日、ペンギンハウス何処に見に行くの?」と聞かれました。
ペンギンハウス?どんな家なの(笑)

投稿 : 2018/08/26
閲覧 : 226
サンキュー:

16

双真 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

★★★★☆☆

おもしろかった!

アオヤマ君に感情の沈静化方法を教わった!ありがとう!

投稿 : 2018/08/26
閲覧 : 203
サンキュー:

4

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

う~ん・・力作?

平成最後の夏。
何か記憶に残る夏物語を劇場で観よう!
と思い立ってしまったワケですこれが。

某サイトで「未来のミライ」の口コミを見ると、
お金の無駄使いになるかも。。との印象。

それよりは評価が良さそうだった「ペンギンハイウェイ」を観る事にしました。
結果は。。

あくまで個人的感想ですが、
¥1,800出してまで観る価値があったかと言うと、
ちょっと微妙だったというのが正直なところ。

作画は、爽快感があり劇場でこその臨場感や見応えがありました。
キャラは、まあ有りがちだけど悪くないかと。
音楽は、あまり印象に残ってないけど作品にマッチしてたかな。
声優は、演技ではなく配役的に疑問。
物語は、夏向きで良かったのですが、
上映時間のせいで原作をはしょったのか、
そういう原作なのかわかりませんが、
設定が唐突過ぎてツッコミどころが満載。
まあ最近は珍しくないですが一般大衆向けの
映画にするのであれば独自の設定や進行も考えた方がいいかなと。
演出は、意図的かと思いますが、何だか爽やか過ぎて感動したい場面が肩透かし。
観る人の年代、性別、立場など広くウケを狙い過ぎた結果、おっさんにとっては中途半端になったような気がしました。

総じて、感情移入が出来ず感動までは至らず。
もう少し必然性の説明と演出の工夫があれば。
あと一息で名作と言えたように思えます。

と言うか、元々おっさんはターゲットにしてなかったかも知れませんけどねw

投稿 : 2018/08/25
閲覧 : 206
サンキュー:

13

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ペンギン・ハイウェイ

監督:石田祐康
キャラクターデザイン:新井陽次郎
脚本:上田誠
アニメ制作:スタジオコロリド
原作:森見登美彦


ペンギン・ハイウェイのレビュー欄に醜いものをみた。
子供に対し、持つべき人格を許さない人々だ。
彼らが子供に求めるのは、彼らが一方的に抱く子供的イメージ。
”女は弱いもの。男に頼らなねば生きていけない”的な考え方に近いものを感じる。子供は子供らしく振る舞えとは、ずいぶんである。
アオヤマ君は実在しないかと言われれば否だ。若くして立派な研究者であったり、或いはクリエイターであったりすることは、現実に珍しくはあってもファンタジーでない。ここに納得できないなら、もっと見聞を広げたほうが良い。アニメ観てる場合じゃない。
”アオヤマ君が人として嫌いだ”というなら、映画を視聴したうえでの”感想”として認められるが、映画鑑賞中、アオヤマ君に対する違和感に終始していたなら、上に描いたとおりだ。アニメ観てる場合じゃないぞ。
私には新作映画が公開して数日の内に鑑賞できた場合にルーティンと化した趣味がある。公開して数日しか経っていないのに軽薄に内容を叩く馬鹿によるアリガタイ感想文を拝読することだ。例えば、森見ワールドというフレーズを使う割には、今更アオヤマ君の性格に噛み付くような、高瀬川の如き底の浅さを見せる面白感想文など。満載である。
これは下手なシューティングゲームより楽しいものだ。”軽薄”が頑張って書いた感想文を瞬く間に論破、論破、論破。非常に爽快であるから、みんなもやってみたら良い。公開後数日限定の楽しみである。
原作小説を読めば簡単に涙してしまう私は相当にこのアニメ映画を気に入った。アニメ化に際する、その解釈やストーリーの纏め方に私は非の打ち所がないようにすら思えた。脚本、上田誠 氏に圧倒的感謝である。全体通して、原作を読んでいないような全くの初見さんに対して不親切な演出もなくはないが、整っていたと思う。アニメーションに関しても非常に楽しく観られた。人やペンギンの動きが良かった。お姉さんのおっぱいは常に、健全なままにエロかった。スタジオコロリド、石田祐康監督、その今後にも注目したい。
アオヤマ君、お姉さん、ハマモトさんまで含め、期待通りのキャラクターデザインで嬉しかった。いや、アオヤマ君とお姉さんは、既に小説の表紙に見せていた姿からギャップが無かったからともかく、ハマモトさんのがもう特に、私のイメージに合っていたのが喜ばしい。キャラクターデザインは新井陽次郎 氏。なんでも、専門学校卒業後ジブリに入社し、『借りぐらしのアリエッティ』や『風立ちぬ』等の制作に参加してきた人物だそうだ。ナイスジョブと言わざるを得ない。

「謎が謎のまま終わった」
「よく分からなかった」
とのレビューを見かけるけど、原作を読んだ、故にストーリー展開に対してある程度余裕を持ってついていけた者から言わせていただくと、本作は起こることに対しいろいろと説明はされていたよ。だから何回か観れば分かると思う。
アニメ版『打ち上げ花火〜』みたいな、何度観てもふわふわなもんではない。
まぁ、あらゆるモノが何故ペンギンに変わるのか、その原理を本作に求めてるのならば、その限りでない。

ちなみに、本作におけるアオヤマ君は小学4年生である。が、実は小学校3年生のアオヤマ君について書かれた『郵便少年』という短編、いわば前日譚が存在する。『ペンギン・ハイウェイ 公式読本』にも収録されるようである。
『ひとなつの。 真夏に読みたい五つの物語 (角川文庫)』にも収録されており、『郵便少年』だけが目当てであれば、こちらが安い。原作とあわせて、未読の方は是非。

…そういえば、ウチダ君独自の死生観が披露されることは無かったな。あれも印象深いから、そこはもう、原作で。ということです。

取り急ぎ、ここまで。

追記:アオヤマ君の部屋の机の左側には壁に取り付けられた棚がある。これの一番上には、かつて使っていたはずの郵便カバンと郵便帽が置かれている。短編を読んだうえでチェックしたい。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
それにしても2018年。
2016年には『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』
2017年には『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』(湯浅祭である。)
なかなか印象深いアニメ映画が毎年現れているが、今年、『リズと青い鳥』に加え、『ペンギン・ハイウェイ』が傑作アニメ映画郡に名を連ねた感がある。
いやま、私も網羅的に観てるわけじゃないからね、これらがすべて、ということではないけれども。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

○参考まで
「ペンギン・ハイウェイ」原作者・森見登美彦×石田祐康監督対談 一度断ったアニメ化オファーをOKした理由とは
https://s.animeanime.jp/article/2018/08/15/39478.amp.html

投稿 : 2018/08/25
閲覧 : 421
ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

小学4年生のハイウェイは、甘酸っぱい青春ファンタジー。

原作未読。事前情報は声優陣のみです。

森見氏の独特な世界観・作風は個人的は好きなので、本作も楽しみにしていました。
第一印象は、絵に面白みがあって、十分に美しかったです。作画も含めてしっかり楽しめました。

奇しくも、7月公開の「未来のミライ」の、くんちゃんと、8月公開の本作の、アオヤマくんとは、意外と似通っているな〜って思いました。

キーワードは、"年齢に沿った心の発達模様" です。

くんちゃんは、4歳の発達段階の課題でもある、{netabare}"ミライちゃんの存在を家族(集団)のなかに受け入れる" {/netabare} という、一つ上の発達の階段を昇りました。でも、そこに至るまでのくんちゃんの "葛藤" たるや大変なものでしたね。w

本作でも、アオヤマくんやハマモトさんに「小学4年生(10歳)の発達段階」の壁がそびえています。ただ、その "葛藤" がくんちゃんほど "直情的" ではないので、ちょっと見えにくいのです。この辺りに気をつけて鑑賞していただけると、頷けるところ大でしょう。


私は「おまけ」で取り組んでみたいと思います。それでは始まりです。


●4年生

{netabare}

まず、不思議な符号なのですが、本作のアオヤマくんは4年生。「未来のミライ」のくんちゃんは4歳。そう、どうやら "4という数霊" が働いているみたいです。

数霊と言霊の寄り道・・。
{netabare}
1は2を生じ、3に変じて、4に至る。と申します。

ここでは、1と4について述べてみます。(2と3は、君の名は。のレビューでほんの軽く触れています)

1は "初発" という意味があります。
そして "一" でもあります。
元旦の "旦" は、"朝日が水平線から昇ってくる" の意味ですから、この場合、"一" は、転じて "海と空との境目" とも言えます。

その意味から "位置" という解義もできそうですね。自分自身の立ち位置。人類の立ち位置かも。

"いち" の言霊を要素分解すると、"い ≒ 意・居・生" と "ち ≒ 血・智・地" になります。

一は、大極。
二は、二つ巴(ふたつともえ)、陰・陽、 天・地、 光・闇など。
三は、三つ巴(みつどもえ)、天・人・地、 理・気・意、 知・情・意など。
四は、一〜三を理解・内包する存在を表します。完成形の一つとして "人間" を表します。

視点を変えて言い換えると、
一は、点。
二は、線と平面。アニメ世界ですね。
三は、3次元。現実的な肉体の世界です。
四は、想念世界。時間や空間を超越してさまざまな発想ができる "人間" だけの領域を意味しています。

寄り道終わり。
{/netabare}

さて、アオヤマくんが、歯科医院に通ったり屋外で歯を抜いたりするシーンがあるのですが、乳歯から永久歯に生え変わるのは、4年生なら年齢的には犬歯あたりでしょうか。(歯は、年齢で抜ける順番があります)
つまり、 "歯が抜ける" という、小学生にも実感できる体験を引用して、身体そのものが、"子どもの身体から大人の身体に少しずつ変わっていく" ということ、身体的な変化が自分のなかで起きていることを、子どもたちに気づいてもらおうとするプロットだと思います。
(これは演出上、導入部になりますね)

そして、アオヤマくんの身体的特徴をもう一つ言えば、目線の高さがちょうどお姉さんの "おっぱい" なんですね。
この目線の高さが絶妙。
アオヤマくんが3年生なら、 "おっぱい" よりも10cm低く、5年生なら10cm高いんです。
本作最大のポイントでしょうか?w
(しかも、お姉さんの胸の描写が、これでもかとスクリーンに映し出される・・)

"お姉さんのおっぱい" は、アオヤマくんの瞳から視神経を経て、脳細胞へと供給・伝達されます。
彼はその情報を、経験則にそって科学的アプローチと文学的記述で、整理・分析を始めるのですが、それとは違うエッセンスがあることも感じ始めているようです。
"お姉さんのおっぱい" は、アオヤマくんに、精神的で情動的、そして性的で人間的、男の子なら誰でも感じるだろう根源的な知的好奇心を刺激して止まないのです。
いいえ、恐らくはデータが不足しているあまりに、アオヤマくんは、形而上学的!なチャレンジをするハメになるのかもしれません。
男性諸氏は、アオヤマくん同様、"おっぱい" にはずいぶん倫理的、人道的な葛藤?をなさった経験がおありなのではないでしょうか。

しかし、忘れてはならないのは、アオヤマくんの頭の中には "とてつもなく賢くなっていくだろうという圧倒的な全能感" が存在していて、そこから生みだされる 揺るぎない"高潔性" があります。たぶん・・・。
それは、そっくりそのまま、彼のプライドであり、みなぎる魅力?になっています。
だから、彼は、お姉さんへの評価(心象?)を、決して "妄想" などと考えないし、絶対に "エロ" なんて思わない。
そしてここが肝要なのですが、多分、"恋心" という言葉を知っていたとしても、言えないかもしれません、きっと(キリッ!)。
だって、アオヤマくんは、自他ともに認める高尚なプチ科学者だし、小さなジェントルマンなんですもん。あくまでもスマートにアプローチしたいのですね。
だからね、彼は、ノートにとってもステキな言葉を書き込んでいましたよ。

そうはいっても、やっぱりお姉さんの"おっぱい" は、ミステリアス! ケーキのようで甘やかそう!
でもでも「お母さんのそれとは違うような」別の不思議さを持っているような印象もあり・・・。

女性が、妹と、同級生の女の子と、お母さんと、お姉さん。別々の存在として意識できる年齢。
生が、性に "深化・拡大" していく世代です。
さあ、アオヤマくんは、お姉さんの存在をどのように受け止めるのでしょうか?
くんちゃんが全身全霊で悶えたような葛藤がアオヤマくんにもあるのでしょうか?

それは劇場でお確かめくださいね! ぜひぜひ!w

★★
ところで、アオヤマくんには、ウチダくんという、アオヤマくんとシンクロしあえる同級生もいれば、スズキくんという、アオヤマくんとは対極的な、"力" に依拠するような同級生もいます。
いずれも、"個性" と捉えれば、それぞれが自分らしくあるための、成長している男の子たちの姿なのですね。

ウチダくんは、アマゾンプロジェクトを独力でやり遂げ、ある発見に至ります。
スズキくんも、彼なりに発見?して、得意げに大人に情報を提供するに至ります。

こうした彼らの行動は、自らの内面に存在するエネルギーが、知らず識らずのうちに高まっていることを示しています。
また、それぞれの視点や方法の違いはありながらも、共通しているのは、自分の意志で、自然と社会、外面の世界にコネクトできる成長段階にきていることを示しています。
ですから、個人差はあっても、興味と関心、意思と意欲、行動と学習、語彙と発言などが、社会に向けて飛躍的、爆発的に拡大していく時期なのですね。
4年生(10歳の壁)って、その後にぐぐっと伸びていく直前の世代、くんちゃんと同じような "葛藤" を内面に抱える世代なんですね。

★★★
本作の公式HPにもありますが、このあたりのシナリオの練り込みが、4年生の夏休みに体験する、不思議なSF作品であり、(スマートでちょっと甘酸っぱい)青春ファンタジーと "謳っている所以" なのでしょう。

小学4年生の、身体の成長と、心の発達のクロスオーバーで垣間見せる、内面と外面が交錯し、積みあげていこうとする物語。
それは自分の世界の内外そのものが、まるでビックバンをおこしたかのようにも感じるエネルギーを体感するのでしょう。

そうは言っても、まだまだ、社会の実相の全ては分からない。だけれど、社会をまるごと捉えられるかのような全能感を併せ持てるのもこの世代です。

本作のテーマの一つになっているのは、こうした、第二次性徴期(成長期)を直前に迎えた、少年少女の "すこぶる内面的なストーリー" なのですね。

小学3年生~小学6年生あたりのお子さんがいらっしゃるご家庭であれば、超おススメです。

それにしても、"4" という数字は、とても人間味あふれる数霊だとお感じになりませんか?
{/netabare}

●女性

{netabare}

実は、もうひとりの重要な主人公でもあるハマモトさん。彼女もとても面白い存在です。
彼女は一つの噂を流します。森の奥には {netabare} "銀の月" {/netabare}があって、これを見ると病気になってしまうと。

{netabare} "銀の月" {/netabare} 。
不思議な響きですよね。これまたなんともミステリアスです。
"触らぬ神に祟りなし" の風情があって、如何にも、夏の趣(おもむき)にぴったりです。

これは、4年生女子のハマモトさんならではのキーワードですね。
"銀" は、硬質、高貴という意味のほかに、精神性という象意を持っています。"月" は "月のもの" つまり女性の生理を表わしていますね。

転じて、"生理という身体的な性徴期をむかえる直前の、女性の精神的、内面的な様相" を象徴的に具象化したのが、{netabare}"銀の月" {/netabare} なのでしょうね。

それにしても、ハマモトさんは、{netabare}"銀の月" {/netabare} を見ると "病気" になるとおっしゃる。これはどのように受け止めればよろしいのでしょうか・・?

★★
ハマモトさんは、アオヤマくんに "科学者" としてシンパシーを感じ取っているようです。これまた不思議な符号の一致ですが、ハマモトさんとアオヤマくんの父親像はとても似ています。

これは、4年生の成長段階は、世の中のさまざまな様相を、科学的なアプローチで事象を明らかにし、データに基づいて考えをまとめるという "人間的な高次脳機能の発達段階" に来ていることを示しています。

また、子どもにとって「一番身近にいる父親や母親には、家の内外で別々の役割があること、それぞれの性差による思考にも違いがある」ことを理解する入り口に差し掛かっていることを暗に示しています。

ハマモトさんは、"アオヤマくん"、"お姉さん"、"スズキくん"、"お父さん" とのそれぞれの関係性を、これからも探し探ししながら試行錯誤していく取り組みに直面していくだろうことを示しています。
とくに ハマモトさん自身が "お姉さん"になっていくために。

ハマモトさんは、内面の葛藤に加えて、外的な、身体的な変化にも向き合うことになるのですから。
小学4年生の方には、なかなか刺激的かな。

★★★
ところで、"水球、アマゾンプロジェクト、小川の流れ方{netabare} ( ≒ 輪 ≒ 循環 ) {/netabare}、なだらかな丘" などは、すべて "女性" の象意を有しています。
また、"水の球体が大きくなったり小さくなったり、揺れ動いたり、棘が出てきたりする現象" というのも、成人女性であれば「はは~ん、そう言われればそうかもね。」と頷けるものでしょうか。
お姉さんの「3日も食べていないの」という台詞もね。

アオヤマくんは、お姉さんの言葉を、額面通り受け取って、律儀に実践していましたが・・。うん、真っ直ぐだ。

スクリーンには、それを予感させるものが何度も何度も表現されるのですが、如何せんアオヤマくんの理解を超えていて、とても難しい。そして恐らくはハマモトさんもですが、同じようにその正体が何であるのかが分からないのでしょう。

2人は共同で観察を始め、なんと水中探査船を作ってまで水球の謎を解明しようとするのですが、あっという間に行方不明になってしまいました。
2人の仮説・知識・科学性は、お父さん譲りなものなので、男性側の視点、アプローチでは水球の謎は解けないようでした。残念ながら不発に終わってしまうのですね。

ハマモトさんが語る "秘密の研究" というのも、好感の持てる男の子となら "私と一緒に、秘密の時間を過ごしてほしい" という女の子らしい心情を表わしています。
そこにはスズキくんもお父さんも、大人の誰も介在してほしくない。だからもちろん"お姉さん" も同じ扱いで、追い出してしまうのですね。
{netabare}"銀の月" {/netabare} は、ハマモトさんにとっては大切な秘密の研究対象ですが、お姉さんにとっては、ねえ。

ハマモトさんは、特に、スズキくんがとった行動にはムキになるのですが、彼女にも、父親譲りの科学的矜持があり、小学4年生として、"男" の同級生や "男" の大人の振る舞いに対して、"女性プチ研究者魂" をぶつけたのですね。
ハマモトさんのストレートなプライド。大事なんだけれど、お父さんの"娘大事" の気持ちもわかるしなあ・・。困ったなあ。

ハマモトさんは、チェスでアオヤマくんに負けてしまうのですが、それが彼を受け入れるきっかけになったことは言うまでもありません。利発な彼女は知力でこそ人物で評価し、自分以上の能力のある男の子こそ、尊敬するお父さんのように自分をさらけ出すことができるのでしょう。うん、真っ直ぐだ。

★★★★
"秘密の研究" 。ステキな響きです。
お祭りで可愛らしい浴衣を着てくるハマモトさん。
小学4年生ならではの、小さな科学者同士の、淡い恋にも似た不思議なシンクロニシティ。
まさに青春ファンタジー真っただ中ともいえる大切でかけがえのない夏時間の共有なんですね。
{/netabare}

●お姉さんの謎

{netabare}
面白いのは、お姉さんはアオヤマくんのことを"少年" と連呼するのです。一瞬、"アオヤマくん" とも呼ぶのですが・・・。それは観てのお楽しみです。

大人の女性からしてみれば、小学4年生の男の子って可愛い盛りでしょう。特にアオヤマくんは、"全能感溢れるプチ科学者" ですから、モラルハザードなど起こりっこないスマートな "少年" なのですね。

これ、アオヤマくんを "からかっている" みたいなんですよ。お姉さんが。

で、観客(特に男性)を "おちょくっている" みたいなんです。お姉さんの後ろで森見氏が。

あ~可笑しい。この可笑しみこそが、お姉さんからの謎かけですね。
蒼井優さん、とってもいい仕事しています。
うふふ。観てのお楽しみですよ。お楽しみ!
{/netabare}

●ペンギン・ハイウェイ

{netabare}

人の辿るべき道です。

"青年は荒野を目指す" みたいな。人類は困難を乗り越えて未来を目指す、みたいな。

★★
家族の元へ辿る道です。

"子供叱るな来た道だもの 年寄り笑うな行く道だもの" です。
実は続きがあり、「来た道 行く道 二人旅 これから通る今日の道 通り直しのできぬ道」と続きます。(永六輔氏。「無名人 名語録」より)

★★★
人類の "生と性" の "過去と未来をつなぐ道" です。

地球に生きるすべての生物が、一本の進化の道でつながっています。アオヤマくん自身がノートに {netabare} "DNA" {/netabare} と記入しています。深いです。ぜひ、お感じになってください。

全能感とは、環境・様相・事象を素直に受け止め、そこに関わることで未来をいくらかでも変革しようとする確信と揺るぎない姿勢を持つこと・・だとすれば。
アオヤマくんが俯瞰できる世界は、地球で起こるあらゆる現象を解き明かしたいし、理解したい。そうして自分に何ができるのかを見つけ出したいのです。

彼がそう思うように、温暖化によって生息域が狭められているペンギンらを、ただ"カワイイ" とだけでとらえてほしくないな、と私は感じました。

『近年の生息域の温暖化により、餌のオキアミの繁殖域となる海上の氷の激減、洪水による巣の浸水などで、生息数が減っている種もある。ゴミの投棄や船の事故による石油流出など、様々な海洋汚染がペンギンの脅威となっている。』そうですから。
それに、ペンギンの和名は「人鳥(じんちょう)」なんですって。


本作を観るにつけ、人類だけが、地球生命に責任の持てる存在であり、この夏の猛暑・酷暑に対して、改善策を打たなければ、ペンギンも、女性も、男性も、子どもも、生命全体が危機を迎えることになるという"重いメッセージ" が秘めおかれているような印象を私は持ちました。

終幕で、お姉さんがアオヤマくんに、{netabare}「私、人類じゃない・・。」{/netabare} と語りかけるのですが、私には "母なる地球" から観客の皆さんへの "切実なメッセージ" のように聞こえました。
"未来" を担うミライの子どもたちに、お姉さんは託したのかもしれません。
これが、本作の二つ目のテーマなような気がいたします。

彼らを育てるお母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん、おばさん、おじさん。すべての大人の皆さんに観ていただきたい。そう思いました。
{/netabare}

●おまけの言霊

{netabare}
★アオヤマくん。

"青"は、若々しさ。少年少女。前進。つややかさ。海の色、空の色でもあります。とっても広く、深く、大きいですね。

"蒼(あお)" は、木々が鬱蒼と茂るさま、繁茂する勢いの良さです。
森があるところは、自然も、人も、街も、とても豊かですね。
日本の森林率は67%です(林野庁。平成24年度)これは世界と比べると断トツで、フィンランドの74%に次ぐものです(平成17年度)。
ブラジルは57%なんです(平成17年度)。

"碧(あお・あおみどり)" は、石英(水晶・玻璃≒日本の古名)を表わし、勾玉などに加工される宝玉。日本の国石。翡翠(ヒスイ)。
日本古来の精神的な気高さを表わしていますね。

"山≒森" は、盛、守、壮、洩、母里(出雲地方の地方名)に通じ、情緒の豊潤さ、生産性の高さ、特にきれいな水を湧き出し、命をつなぐために必要不可欠なもの。根源であり源流という意味合いですね。海や川に生きる漁師さんは山をとても大事にしますね。


★★ハマモトさん。

"浜" は、水際であり、海の生物が陸地に上がる場所。
大潮の時はたくさんの生き物が産卵をし、砂浜からはウミガメの赤ちゃんが這い出して海に戻ります。

絶え間なく響くその音は、さざ波。「漣」と書きます。「細波・小波」とも書きますから、転じて "子ども" でしょう。その響きの良さから、子どもの名前にも使われることもありますね。
「永遠に続く小さな営み≒努力と成長」、「海と陸地との接点≒融和と影響」、「リズミカル≒普遍性と穏やかさ」という意味合いがあります。
「涙が流れる」という意味から「純粋と浄化」という意味合いもありますね。

★★★
まだ、謎解きはいっぱいあります。
が、それもご覧になってのお楽しみで~す。
{/netabare}

追記です。
{netabare}
原作を読み終えました。本作の魅力をもう少し深読みしたくての文字の旅です。
それは、私が私自身の記憶と、感受性を探す取り組みでもありました。

旅してよかった。心からそう思います。
たわしさんのレビューにも触発されましたが、40年前に読んだレムの読了後に感じたままでした。もちろん森見氏とレムの作風には相似性と相違点はあります。それぞれに味わい深いですが、本作のほうが日本人には分かりやすいように感じます。

私がレムを読んだ時代と、本作の時代背景は随分と違うものですが、それでも、「もっと人間を、もっと世界を、もっと地球を知ってほしい。命が生まれた尊い意味を感じてほしい。」そんな哲学めいた普遍的なメッセージを、子どもにも大人にも贈ろうとした、森見氏をはじめとする作品に関わられたすべての方々の優しいまなざしを感じました。

書籍版の終わりの14ページと、解説をなさった萩尾氏の終わりの6行に、深く沁み込むものがありました。

やはり、SF大賞を受賞なさった作品。嬉しく思いました。
{/netabare}

長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本作が、皆に愛されますように。

投稿 : 2018/08/24
閲覧 : 392
サンキュー:

29

ネタバレ

MLK さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

無題

原作は一応既読。

本作の主人公も森見作品の例に漏れず(屁)理屈っぽさは健在。ヒロインの自由さ、豪胆さも健在。しかし、少年と年上のお姉さんという憧れ以上恋愛未満の関係性が、他にはない爽やかな風をこの作品へと吹き込んでくれている。

前半から中盤までは、正直見ていて退屈に感じる時間が長かった。というのは、引いた絵や、人物が正面に入らない絵、物体越しに映す絵、つまりカメラの存在を感じさせる絵が多く、どうしても登場人物との間に距離を感じてしまったからだ。個人的に好きなプールのシーンが、尺の都合上ダイジェストになってしまったのも惜しまれる。

しかし、その倦怠感を一挙に打ち破る終盤のペンギンウェーブの楽しさや、時空間が歪んだ街の美しさ。何より、情緒的になりすぎないラストが素晴らしく、映画が終わった時にはすべてに納得がいっていた。

強いて気になったところを挙げるとすれば、頭の良いキャラと頭の悪いキャラを区別するために頭の悪いほうをオーバーに描きすぎていたところだろうか。あそこまで変な顔をされると、せっかくの一歩引いた感覚が失われてしまうように感じた。

もちろん大傑作!とまでは言わないが、近年のアニメ映画では珍しく、誰も叫ばないし、見ていてイライラもしない作品なので、十分オススメしたい。

前向きな子は好きだよ。

投稿 : 2018/08/24
閲覧 : 257
サンキュー:

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ペンギン・ハイウェイのストーリー・あらすじ

小学四年生の少年アオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、大人になったときにどれほど偉くなっているか、見当もつかない。そんなアオヤマ君は、通っている歯科医院の“お姉さん”と仲がよく、“お姉さん”はオトナびた賢いアオヤマ君を、ちょっと生意気なところも含めかわいがっていた。ある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか…。アオヤマ君はペンギンの謎を解くべく研究をはじめるのだった。そしてアオヤマ君は、“お姉さん”が投げたコーラの缶が、ペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」“お姉さん”とペンギンの関係とは? そしてこの謎は解けるのか?少し不思議で、一生忘れない、あの夏の物語。(アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2018年8月17日
制作会社
スタジオコロリド
公式サイト
penguin-highway.com/
主題歌
宇多田ヒカル『Good Night』

声優・キャラクター

北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹、能登麻美子、久野美咲、西島秀俊、竹中直人

スタッフ

原作:森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』(角川文庫刊)、監督:石田祐康、脚本:上田誠、キャラクターデザイン:新井陽次郎、演出:亀井幹太、監督助手:渡辺葉、作画監督:永江彰浩/加藤ふみ/石舘波子/山下祐/藤崎賢二、美術監督:竹田悠介/益城貴昌、色彩設計:広瀬いずみ、CGI監督:石井規仁、撮影監督:町田啓、音響監督:木村絵理子、音楽:阿部海太郎

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