エイ8 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
貴重な中華風なのに地味
『重神機パンドーラ』(じゅうしんきパンドーラ、英題: LAST HOPE、中: 重神機潘多拉)は、河森正治原作、サテライト制作によるテレビアニメ作品。2018年4月から9月にかけてTOKYO MX、毎日放送ほかにて放送された。(wikipedia)
バックグラウンドが中国風という珍しい系統。基本的な作画の質はそれなりに高い。テレビ放送での崩壊度合いは概ね2クールものの平均ぐらいかな。
一応ロボットものというくくりになるんだろうけどイマイチぱっとせず敵もパンチに欠ける印象。
キャラデザは(美形に関しては)そこそこよく出来てる方だとは思うけど悲しいかな主人公が地味すぎる。まさか今どきシリコンバレーな天才キャラを主役に据えるとは。あーいうの最近(と言っても2018年)の〇女子の方々からウケてるの?ジェイ君を主役にしてたらもうちょっとウケてたりして。ていうかせっかくの美形キャラなのにほとんど生かさないなんて勿体ない。エプロン姿はそういうの狙ってたような気がしなくもないけど、姫のおっぱいアピールと打ち消し合い総じてどっちつかずになった感。
作中では今となってはむしろ定番なパラレルワールド(多重次元)設定が要素として加わっているせいか、せっかくのレアな中華風設定が埋もれてしまいかえってありきたりな印象を受けてしまう。狙いとしては悪くなかったと思うんだけど、びっくりするぐらい話題にならなかったのは同様の感想を持った人が多かったからかもしれない。
そして原作なしの2クールものの宿命というべきか、多分途中で設定変えたんだろうなーと思われる箇所がちらほら散見された。
せっかくなんでそれをちょっと考察、疑問に感じたところは以下の通り。
・姫の現在と過去の姿の違い
・姫とフィオナとの関係
・ロンとジークとの関係
・Mr.ゴールド
姫ことセシル・スーの設定年齢を調べてみたのだけど出てこなかった(ていうか公式サイトもう消えてる……)。他のキャラはほとんど年齢設定あるのにこれはちょっと不自然。3話だったと思うけど最初に出てきた昔のセシルの姿は今と大きくかけ離れていて誰だかわからないほど。一方隣に控えるジェイは24歳設定で7年前は17歳だけどほとんど変わらず。そしてこれはレオンもそう。ていうか若いな……ロンですら当時20歳……
というわけで当初見てた頃は姫ってもっと年下の設定だと判断してたんだけど終盤の方で出てきた幼少期はジェイとほとんど変わらない感じ。だけど多分これ途中で設定変えたからだろうなと思っている。根拠としてはいくつか。
まずは主要人物の一人であるにもかかわらず敵役のハオ・ワンにすらある年齢設定が彼女にないこと(つまり公開前に削除したか、年齢を明らかにできない設定上の事情があった)。
さらに普段クールな彼女が小動物のことだけ「にゃんこ」だとか「こっこちゃん」だとか可愛らしい感じで呼ぶ事、指の金属、そして過去姿のバスト。
まあ7年もあるんだから急激に成長してもおかしくはないけど、正直わざわざあれだけ描写を変えたところを見ると多分当初は「翔龍クライシス」でなんかあった設定だったんじゃないかと。そこで一部中身は幼いまま体だけがムチムチに成長したとかだったんじゃないかな。
多分指の金属も一部B.R.A.I化したことの伏線だったんじゃないかと……思ったんだけど何かあれ見た事あるよなって調べてみたら「指甲套」という清朝の后妃の装飾品らしい。理由としては爪の保護、身分の高さを表す、長いのは自分の手を使わずとも生きていけるほど裕福な身分、とのこと……まあ中国文化風ということで取り入れたのかもしれないけど、正直姫の役割と正反対なアイテムじゃね?とは思う。いや、身の回りのことをジェイやケインに任せっきりのところからすればあながち間違ってるとは言えないのか。
そういやケインに肩揉ませたの一回きりだったよね。なんかいやらし~い感じがしたので若い中性的イケメンにその役を奪われたと見た。おじさん(48歳)はアニメの中でも肩身が狭いのです。ちなみにおじさん、最終回だけ声が変わって誰だこれ?って思ったけど、まああれはしゃーない事情です。だけど声変わっただけで全然キャラの感じ変わるんだから怖いねえ。急にガチムチ脳筋キャラにしか見えなくなった。それまではそれなりにやり手なキャラに見えてたのに。
途中フィオナが姫の妹って発覚したけど……これも変えたくさい。先に触れた年齢設定に関しても二人が姉妹ならばどちらも伏せておく必要がない。出自が不明とかなら別だけど少なくとも姫に関しては前市長の娘である設定ははっきりしているし、幼少期をジェイと共にいた描写もちゃんとある。
もう一つこういう裏読みは良くないんだけど、姫の声優が茅野(87年生まれ)に対してフィオナは能登(80年生まれ)。こういう例が無いわけでは無いんだろうけど、最初っから決めてたって感じはちょっとしない。どっちかっていうと当初フィオナに関しては霊化した先祖とか精霊とかその辺だったんじゃないかなと推測。実際役割的にもそんな感じだったし、変なパンダたちはその名残なんじゃないか。ただそういう意味では多かれ少なかれ初めから姫との繋がり設定自体はあったのかもしれない。
ロンとジークの関係性に関してはさすがにちょっとやり過ぎだと思った。むしろ逆によくあんなんやれたなとすら思う。おそらくジークが黒幕の関係者であるってこと自体は最初の段階で大体わかるけど、その黒幕(スポンサー)出してる尺的余裕がなくなったとかなんかであんな無理設定ぶち込んだものと推測。
ネオ翔龍にダークドライブを裏取引的に持ち込んだ伏線とかダグの金の周りとかの話も結局飛んでしまった気がするし。結果それでMr.ゴールドにもしわ寄せが行った感じか。
彼は登場からあからさまに「かませ」な感じだったけど、それを踏まえて見てもあまりに「かませ」役過ぎた。あの独特な風貌も特に説明もなかった。火鍋屋であるということと掛け合わせたという気はするけど、本人あれ嫌がってたのにわざわざ自分からそれをオマージュするような恰好するかね?
レオンと姫の関係についても終盤でもまだ何か浅からぬ因縁を匂わせといて結局回収らしい回収しなかったんじゃないかな。一応続編を見据えてのことだったのだろうか、だとしたら取り越し苦労でした。
総合的に見て悪いアニメだった、とまでは言わないけどちょっと無理筋過ぎたんじゃないかなとは思う。もっともこれは個人的な姫推しが過ぎてややひいき目に見た上での話だけど。クイニーさんも良いんだけどやっぱり個人的には姫が居たおかげで最後まで見終えることができたといっても過言ではないです。そして姫のお陰で今どきパンドーラなんぞの考察を長々やろうと思えるのです。全ては姫のためなのです。
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