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「リズと青い鳥(アニメ映画)」

総合得点
86.0
感想・評価
572
棚に入れた
2372
ランキング
217
★★★★★ 4.1 (572)
物語
4.0
作画
4.3
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.1

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リズと青い鳥の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

はく さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

良い意味で騙された

個人的には今までの映画の中でもかなり面白かったと思います。
まずはやはり作画の違いに驚きました。最初、ユーフォニアムの映画だと気づかなかったです。
本編の作画の希美、みぞれも良いですが今回の作画はこの『リズと青い鳥』に合っていて良いなと思いました。私は『リズと青い鳥』に関してはこの作画で正解だったと思います。

言葉で説明するのは難しいのですが
ユーフォニアム本編の方は色が濃くどっしりとしたような作画。
《部活動での熱い青春》《全国大会出場を目指す》みたいなそのようなものが伝わってきます。

『リズと青い鳥』の方は鮮やかな薄い色で淡く切ない作画。
《片想いの恋愛(もうこれは百合の恋愛だよね!)》《『リズと青い鳥』の切ない物語》《希美とみぞれのすれ違い》この辺を訴えるにはすごくしっくりくる作画でした。

部活動を通した全国大会出場を目指す友情の青春と、部活動関係なく抱いていた友情・恋愛の青春、これは全く別のものだと思います。なのでそこの作画の使い分けがとても好きでした。

 この映画には2度騙されました(良い意味で)
1,フルートのエースと言われていて友達も多くて全て上手くいってそうな希美が実は進路が決まっていなかったり、のぞみの足を引っ張ってしまっていたこと。
2.リズがみぞれで青い鳥が希美だと思っていたら実は逆だったこと。
映画を観ていて(そうだったのか!)と思わされました。そこがこの映画の面白さでもありますね。

 よくある描写かなと思うのですが
上手くいっているように見えて→だんだん違和感を出す→実は上手くいっていなかった
という方法。ただ、この作品は少し違ったように感じました。
希美の違和感をじわじわと出していくのですがその違和感も一瞬の表情のみで、しかも回収がなかなか来ないので(あれ、勘違いだったかな?)と思わせられました。
でも確かに違和感はあるしこのまま終わるわけがない、やはり最後の最後で回収されました。
これもやっぱりうまいなあと感じました。上映時間1時間31分をうまくいっぱいに使ってるなと感じました。

 本当に素敵な作品でした。吹奏楽アニメならではの音や、細かい作画の動きなど劇場で観れてよかったです!

投稿 : 2024/12/18
閲覧 : 233
サンキュー:

8

ネタバレ

とまと子 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

畏れふるえる まだ飛ばぬ翼よ

窓枠で囲まれた鳥籠のような「学校」という時間
群れ遊び さえずり交わす生徒たちの中にあって
切り取ったようにひとりだけを見つめる みぞれ
軽やかに跳びまわり屈託なく人と交わる 希美

ふたりの少女は 同じ場所に背中合わせで立つように
ひとりは外むきに ひとりは内むきに
オーボエとフルートという それぞれの音楽を通して
自分自身を確かにしてくれるものを探しています



心というものを何かで表すとするならば
それは「音」にいちばん近いのかも知れません
この映画もまず「音」からはじまります

希美の跳ねるような足音 揺れる髪のリズム
後ろから追うみぞれの足音 ぼんやりと響くエコー

みぞれの心には 階段の五線譜に音譜が乗っていくように
希美を見つめる想いが音楽となって積み重なっていきます

実際に ご自身も音楽を愛してやまない山田尚子監督は
場の空気を音にすることと 絵にすることとを同時に進めて
この凛と張りつめた導入シーンを作り上げられたそうです


全編にわたって 無駄なカットも要らない間合いも
この物語に不要なものはなにひとつありません
誰が見ているのか 視線の先には何があるのか
考え抜かれ 選び取られた一枚いちまいのカットが
砂時計の砂粒を数えて切り取ったようなタイミングで
つながって流れ ひとつの音楽になっています

すこしだけ傾く横顔 さまようようなまばたき
空間を満たすもの音 ちいさく耳の奥を打つような音の残響
近づき 遠のき 覗き込み 見つめる視点
一本の線 測れない程の角度 数ミリの動き  

そしてこの 青
何より印象的なこの映画を満たす澄んで重なる青色は
厚いガラスの瓶に閉じ込められているようでもあり
遠い空を映す水たまりの水面のようでもあり
まだ何者でもない時間の不安と自由と 寂しさそのものです



青い鳥はリズが教えてくれた赤い実を懸命に集めます
それは希美がくれた音楽 二枚のリードを結ぶ赤い糸
上手く語れない者ほど 伝えたい気持ちは強く
大きな翼ほど 羽ばたくのは難しい

リズはずっと戸惑っています
青い鳥は空を映した湖のよう
純粋で繊細 それはわたしの大切な音楽のように
わたしから離れることはないと思っていたのに


みぞれの音楽は一緒に生きていくひとのため
希美の音楽は生きていく世界を鮮やかにするため

でもそれでは上手くいかない
上手く いかないのです



新山先生とみぞれとの 向かい合っての会話があります
行動をなぞるだけではなく 心の中を想ってみては?
もし誰かのことを 自分のことを知ろうとするのなら 
想うための心の翼 想像力を使いなさいと

そしてみぞれは そして希美は
それぞれが相手だけを見るのではなく 自分自身を見つめ
自分たちが互いに違う 独立した存在であると思い至ります


軽やかに輝く おしゃべりなブルートパーズの瞳も
自分がみつけた もの静かで力を秘めたガーネットの瞳も
その宝石は 自分自身のものではありません
それを知ることは 生きたまま心臓を剥がされるような痛み

希美は「みぞれの全部が好き」とは言ってくれない
みぞれは「希美のフルートが好き」とは言ってくれない

それぞれが激しい憧れと焦燥で血を流しながら
自分の中に同化していた相手を切り離し
それぞれの違う世界への旅立ちを見届けることになります



そして ふたりの行き先は別々になって
みぞれは音楽室で譜面を 希美は図書室でノートを
ふたりは初めて 同じ動作で次のページを開きます

そこへ向かうみぞれのステップは軽やかにスカートを揺らし
後ろから憧れて見つめていた希美のポニーテールのリズムは
今はみぞれの髪先に宿って テンポよく揺れ始めます

物語の最後 二羽の鳥は揃って学校という鳥かごを出ます
ここが外への扉だよ と手を振り知らせるのは希美
嬉しそうに微笑んで それを超えていくのは みぞれ

ふたりの歩調ははじめてぴったりと重なり
お互いを向き合うところでこの映画は終わります


そしてきっとここから
ふたりにとってはじめての
次の曲が始まるのです



京都アニメーションという錬金術工房で
何層にも重なり繋がれたガラスの濾過装置を通し
一滴一滴滴り落ちる宝石のしずくを集め積み上げて
この映画は作られました

わたしにできることは ただ
息をひそめ まばたきもせず
そのすべてを漏らすことなく受け止め
この心を震わせることだけです
 

投稿 : 2024/09/09
閲覧 : 53
サンキュー:

5

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

蒼き リミナリティー。

第一楽章  


《 あめゆじゅとてきてけんじや 》

あめゆじゅ とてきて けんじや。

『おれはひとりの修羅なのだ。』で有名な宮沢賢治の「春と修羅 心象スケッチ」に載る「永訣の朝」という詩にある一文です。

「あめゆじゅ」は「雨雪」、「とてきて」は「取ってきて」、「けんじや」は「くれませんか」の意味です。
岩手県花巻の方言で、賢治のすぐ下の妹、トシの言葉です。

肺結核を患い床に臥せていたトシが、ついに末期を悟り「雨雪を(口にしたいから庭に降り積もっているのを)取ってきてください。」と兄賢治に頼んだ情景とその気丈。
つとに胸に迫ります。

「あめゆじゅ(雨雪)」は、「霙(みぞれ)」のことです。

霙はわずかな気温差で、雨になったり雪になったりします。
物理学ではこの物性を「二相系」と呼ぶそうです。

みぞれを「あめゆじゅ」と誦するのが奥ゆかしくて、本作のヒロイン鎧塚みぞれにもその印象が重なります。
もう一人のヒロイン傘木希美、そしてふたりの関係においても「二相系」はたいへん似つかわしい言葉のように感じます。

「春と修羅」には「無声慟哭」という詩も載せられています。
これは賢治の造語なのですが、24歳という若さで夭逝したトシの気高さへの "真実" を表わしています。
同時に、本作の "演出" にも通底し、希美とみぞれ、双方の胸奥にも触れ得るものではないでしょうか。

友情とも恋情とも言えぬ境界層。
淡くて激しい疼きの納めどころ。

ふたりの「訣別」を、賢治が亡失した兄妹愛、「永訣と慟哭」から浮き彫りにしてみたい・・・。
そんな気持ちになりました。

(実は、『雲の向こう、約束の場所』でヒロインが朗読するシーンがあります。こちらも象徴的な演出。心が震えます。)


~   ~   ~   ~   ~


「響け!ユーフォニアム」は、原作もアニメもぞっこんな私。

本作は、本流・久美子とは一線を画する「もう一つの奔流」です。

水槽の内側にいると、安寧の心地よさはありますが、それでは自らの "少女性" も生半なままです。

"リズと青い鳥" は、うちからそとへ、大人の世界へと踏み出すための "それぞれの挑戦" なのです。


小鳥の少女とリズの語らいは "心躍る歓び" だけではありません。
そこには "微かな煩い" も見え隠れしているのです。

それでも精一杯、おどけあったり、思わせぶったり・・・。
もっと、もっともっと伝えたい気持ちがあるのは本当のこと。



でも、二人は「訣別」を迎えるのです。

・・・ 美しく、卒業するために。



みぞれが日常にもソリにも行き詰まるのは、「訣別」をどう表現すればいいのかわからないから。
いいえ、むしろソリだと思うからこそ、希美を抱き込んでしまうのでしょう。

心をどれほど近くに寄せようとも、道はやがて逸れていきます。
必ずやって来る気色ばむ瞬間を、みぞれは「あめゆじゅの思い」で伝えられるのでしょうか。

切なさと儚さを織りあわせながら、好きな人の幸せを祈り、遠くからいたわりを示すことを知る少女たちの姿。

すっかり心を奪われている私です。


ダイナミズムにあふれる本流・久美子が湧き起こすカラフルさとは明らかに異なっているのは、ブルーを基調トーンとし、視聴覚を転相させる大胆なカット手法。

希美の "音楽" への渇仰と、みぞれの "友だち" への憧憬の "アンビバランス" が、少女特有の神秘性のうちに強調され、シンボライズ化されているように感じます。

比類なき演出に、心が躍ります。


~   ~   ~   ~   ~


みぞれと希美は "等身大" の奏者として絶妙なバランスで描かれています。

さきに音楽性を求めてきた者と、あとに音楽性で求めようとする者。
いつも交友を広く浅く扱える者と、交情を深く濃く設えたい者。
ともに実力者でありながら、全国を知らない者と、知りえた者。

不思議な気持ちになるのは、溌剌と自信に満ち、音楽性を希求してきたはずの希美が、自らのそれに拘らなかったことです。

物語としては、いわゆる "技術面での限界" という部活あるあるで理解できないわけではありません。
でも、私には少し引っかかっているエピソードなのです。

原作を読むと気づくのですが、この自己承認欲求への処し方は、久石奏のそれと対比になっています。

希美のポジションは奏のそれに近く、集団のなかでの振る舞いに長けています。
希美にはみぞれが対置されており、奏には久美子になるのでしょう。
そして久美子には、あすか、優子、麗奈ら、錚々たるラインナップが揃っています。

希美と奏の内面性の近似点をよく見ると、みぞれと久美子の感化力の違いがありやかに浮き出してくる・・・そう感じるのです。

本作では、奏はもちろん、久美子ですら脇役です。

とは言っても、本作、原作ともに、まるっきり接点のない希美と奏の間に立っている久美子のポジションは、『響け!』シリーズならではの「ユーフォっぽさ」が十二分に味わえるシチュエーションだとは言えないでしょうか。

スピンオフ作品でありながら、青春群像を動かしている久美子の魅力がここにも活きています。

ファンには垂涎ともなる舞台装置。
なんとも心にくい脚本です。


~   ~   ~   ~   ~    


物語は「全国へ」と目的を一にする尊さに寄せようとします。
ですが同時に、訣別をふたりの時間に含ませるのです。

「さよならなんて言いたくない。言ってほしくない!」
久美子が自身に、あすか先輩に絞り出した惜別の響き。
それは久美子にとっても欠かせないエピソードでした。

別れは遠くにあるようでも、必ずやって来る最後の情動です。
その慟哭の深さは、懸けてきた時間と熱量とに比例するのかもしれません。
青春の美しさは、日々の繰り返しの一瞬に紡がれる短命。
久美子のそれは、今もなお、胸にするどく迫り来るのです。

かつてのあすか先輩との系譜は、2年生になった久美子を経て、次回作 "波乱の第二楽章(誓いのフィナーレ)" に昇華されるのでしょう。
悲願の全国出場に向けて、どのように描かれるのか興味は尽きません。


そんな思いに耽りながら、「二相系」という修辞をつけて本作を鑑賞しなおしてみよう。
そんなふうに思いました。


~    ~    ~    ~    ~


「二相系」は、みぞれの覚醒はもちろん、希美の驚嘆(驚愕と落胆)にも見受けられます。

ところが、二人にフォーカスするほどに、モブでいるメンバーたちの顔がクローズアップされるように思えるのは、私だけなのでしょうか。

ここにも山田尚子監督ならではの「ヒミツの二相系」が演出されているように思えてなりません。


静謐な空間のうちに自らを叱咤奮闘させ、北宇治マインドを熟成昇華させていく奏者・部員たちの目線の先には、全国があります。

"リズと青い鳥" を希美とみぞれに託し、新しいレジェンドを全員で創り出してほしい。
そう願わずにはいられません。


~    ~    ~    ~    ~


心象スケッチは、せわしなく二転三転する白日夢のようです。

みぞれの「ブルー」は、水のうちからそとへとみじんに散らばり、収束し、一つの確信を得ます。


空の高みへ舞い上がったときの躊躇いと驚きは別の次元に。

水槽ガラスに映り込んだ思い做しの呪縛に気づいたときの素心に。

前後を歩んだ朋友との未来にも、爽気をアンブシュアできるカデンツァに。


感じたままのイメージをリードに吹き込めば、思い描いたストーリーが瞬時に、麗しい感性で彩られます。




誰をも震撼させたオーボエの音色。




ついに、心服から初立つ一歩を踏み出していく礼砲なのです。


~   ~   ~   ~   ~


人間はいつまでも未完成であるがゆえに、煩悩はときとして修羅と化します。

阿修羅像の示す三面六臂は「幼少期、少年期、青年期」を表わすという「揺れ惑う三相系」。

表情に醸しだされるのは、慟哭に耐える苦悶と無音無声の伸吟です。


部活動における音楽性へのアプローチは人さまざまなもの。

たとえそれが自分の中では正しいものだとしても、それにとらわれ狭い心しか持てなくなることは良くないという仏道の教えがここにはあります。

阿修羅像の姿は、まさに人間の持つ紙一重の改心のさまです。

みぞれはみぞれの道に、希美は希美の道に、その意志と熱量を示していくのでしょう。

きっと様々な困難を乗り越えて、その人生を輝くものに創造していくことでしょう。


~    ~    ~    ~    ~


{netabare}
第二楽章


《 bluesy 》


二人のステップは成熟へのプレリュード。

追従と放縦が絡み合う。


それぞれのマインドは未だ憂愁の翳(かげり)。

謦咳と緘黙が交錯する。


お互いの矜恃を懸けたソロとソリが、今、始まる。



無垢な交歓はやさしげな戯れ。

懊悩する逡巡は囚われのケージ。



独り善がりなのは偏愛なの?

勝手気ままなのは放漫なの?



蒼きリミナリティー。

未熟なる道化師たちです。




《 blue tone 》


希美の音調は、明るいアニマート。

みぞれへの負い目をいくらも感じていないから?


みぞれの音高は、平坦なビブラート。

希美への引け目をどこかに抱え込んでいるから?



ふたりの音歩は、まだ少しぎごちない。

それがなぜだか、今はまだ分からない。



心は、鈍色(にびいろ)の曇天。

みぞれも、あめゆじゅのまま。




《 Be quiet 》 


2人だけの talkative.

戸惑いは隠せない。



フルートは明朗闊達。
  (リズからは離れたくないのに)

オーボエは頑迷固陋。
  (青い鳥を解放してあげたいのに)



中学3年生の府大会銀賞。

そこで時間は止まってしまったの?
 
それとも進んでしまっているの?



いったん交わした約束をどんなことがあっても固く守りたいのは、希美の責任感。

トラウマから抜け出しコンクールに喜びを見いだせたのは、みぞれの努力の証。

二人の五線譜には 𝄐(フェルマータ)が、不安げに浮き出している。



あるべき姿も、行くべき道も、二人の talkative.

どちらの頭上にも、蒼い空は広がっている。




《 blue note 》


flute に似つかわしいのは小鳥のさえずり?

oboe にふさわしいのはリズの呼びかけ?

いくどとなく懸けあわされる親近の呼応。



flat に見えていても、かすかに♭が聴こえていた。

半音ぶんの愁い。

何かのきっかけがあれば巣立てるのに。



まだ blue bird を手放せないみぞれ。

青い鳥こそ、天上へと羽ばたくに相応しい。

オーボエコンチェルトこそ、みぞれに相応しい。




《 blue hole 》


青春の移ろいは、深い痕を遺す。

修羅に身を任せれば、不安と背信が顔を覗かせる。



それは罪? 

それとも罰?



命がけの気丈が、希美にも待っている。




《 blue sky 》  


2つのベクトルを交錯させ、歩調を独立させる。

5年越しの going my way.

4つの瞳で見感 (みめ) でて、心で見合(みまぐあ)う。

6年間の矜持を分かち合うためのファイナルステージ。

北宇治の3年生たちは、ようやく一つ、大人になる。



蒼空を、それぞれに翔けていこう。

noiseは、残るのかもしれない。

それでも気持ちを、もう半音上げていこう。

きっと新しい わたしの青い鳥を見つけだせるはずだ。




さよなら。


さよなら、私の青い鳥 ―




~   ~   ~   ~   ~

{netabare}
第三楽章


レヴューを書こうと思い立ったときに、とある本に目が留まりました。

「宮沢賢治の真実 修羅を生きた詩人」、今野勉著、新潮文庫(令和2年4月刊)です。

すぐにネットで注文して、届いたページをパラパラとめくっていると、22ページ目に ≪猥れて嘲笑めるはた寒き≫ という一文が飛び込んできました。

どう読むのだろう? どんな意味合いがあるのだろう? どんな背景を持っているのだろう?

そんな疑問を頼りにして、500ページを1週間ほどかけてじっくり読み込んでみました。



巻末の解説を首藤淳哉氏がされています。
その末語をこう締められておられます。

「繰り返そう。この本を手にしたあなたは、幸運である。」



心から、そう思いました。



賢治をこよなく愛するあなたに、この本を捧げます。

{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/08/04
閲覧 : 451
サンキュー:

31

ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

この世で最も映像が美しいアニメ映画のひとつ。

【概要】

アニメーション制作:京都アニメーション

2018年4月21日に公開された90分間の劇場版アニメ。
原作は、宝島社文庫から刊行されている武田綾乃による小説。

監督は、山田尚子。

【あらすじ】

傘木希美(フルート)と鎧塚みぞれ(オーボエ)は、北宇治高校吹奏楽部の所属。
彼女たちの出会いは中学時代。みぞれが誰とも友だちになれずにひとりぼっちだったのを、
希美が声をかけて吹奏楽部に誘ってからは、希美はみぞれのかけがえのない存在。
彼女たちが高校3年生になって最後の出場機会のコンクール。

自由曲が童話を元に作曲された「リズと青い鳥」。
第三楽章にオーボエとフルートとの掛け合いのパートがある。
曲を理解するために童話を読むのだが、
童話の二人の少女に自分たちの姿を重ねてしまう、希美とみぞれなのだった。

【感想】

一応は山田尚子監督の最高傑作ということで良いのかな?久々に観てみました。

キャラデザや色調がユーフォの本編と大幅に違うだけでなくて、
本編ではモブに近い女子がグループを組んでかしましく仲睦まじい姿を丹念に描きながら、
男子が背景で喋らないですし、後藤先輩はいたものの塚本秀一を目視できませんでした。

これは自分の想像ですが、本当は普段のユーフォの作画での日常があるのですが、
みぞれの心理状態を反映したみぞれ視点の主観の映像世界がリズと青い鳥の映像。
滝先生やはしもっちゃんや担任の教師以外の男性は認識されずにアウトオブ眼中なわけですね。

みぞれと剣崎梨々花のオーボエパートの先輩・後輩のストーリーは覚えておいたほうが、
のちのユーフォ本編の続きを楽しむうえでは良いかも知れません。

山田尚子監督と西屋太志さんをはじめ京都アニメーションのスタッフの方々などによる、
作画と演出の美しさと音の計算し尽くされて調和した淡い水色の静謐の世界。

丁寧な作画に裏打ちされた繊細な芝居と演出の数々は、アニメの映像を作るにいたって、
少女の美しさと切なさを極限まで純度を高めた表現力は、ひとつの到達点と言えるものでしょう。
才能と才能、感性と技術が組み合わさってここまで完成された映像世界は、二度と作れないかもです。

ただ自分はユーフォ本編のほうが起伏に溢れて楽しめる人間ですので、
映像芸術として極めて優れていても、リズと青い鳥はストーリーがちょっと退屈な映画なのですよね。
南中カルテット成分が多めですので、なかよし川好きには素晴らしいものですが。

まあ、のぞみぞの尊い二人だけのドラマの雰囲気を楽しんでいけば基本的には良いのかも入れません。

絵本の世界も、本田望結の一人二役の演技が棒読みなのが気になって、
この人を起用したのには演出的な意図があるのかな?と理解できなかったり、
正確に数えてないですが十頭身キャラに見えてしまうのに目線が行ってしまったり。

やはり自分は芸術方面に振り切ってしまった山田尚子監督の高度さを理解できない、
よって言語化するすべを持たない凡夫のようでした。
自分には、けいおん!やたまこまーけっとのほうが好みに合っているようです。

この映画も、もっともっと繰り返して視聴する必要がありそうです。


感想としては簡素ですが、これにて終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2024/07/14
閲覧 : 165
サンキュー:

37

ネタバレ

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

観る者の心に強く刺さる静かな作品

タイトルだけでは初見の人は響けユーフォニアムの関連作と気づきにくい作品ながら、本作単体でも充分楽しめるほど高い完成度を誇った映画となっております。

冒頭でのリズと青い鳥の世界で引き込まれるものがある一方で、みぞれと希美の物語は最初から静寂に満ちたもので、まるで口数の少ないみぞれを表現しているかのような雰囲気。一応、希美も主人公格なんだけれど、全体的にほぼみぞれ視点で進められていた気がする。

仲の良い二人なんだけど、すれ違いが起こり、山場だったのは終盤の音楽室でのリズと青い鳥の演奏シーン。それまで抑えめだったみぞれが本気を出した事により、部員達から賞賛され、その後の希美とみぞれの二人のやりとりは一歩間違えれば、それまでの関係が壊れてしまいそうな重苦しさがありながらも、みぞれの希美に対する想いが語られるくだりで張り詰めた緊張感が一気に感動に変わるという今まで経験したことのない感覚を味わえました。

また、ラストでそれまであまり笑わなかったみぞれが一瞬微笑むシーンは派手さこそないものの、個人的に強いインパクトを残しました。間違いなく秀作です。

投稿 : 2024/01/19
閲覧 : 94
サンキュー:

13

ネタバレ

hrrgr さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ずっとずっと、一緒だと思っていた。

京アニが手掛けるユーフォシリーズのスピンオフ作品で希美とみぞれの二人の関係性に焦点を当てた映画。ユーフォの主人公である久美子は殆ど登場せず雰囲気もガラッと変わっている為、好き嫌いが分かれやすい作品かも。
まず音響のこだわりが尋常じゃないほど素晴らしく、足音や息遣いなど繊細な部分まで表現されていて、その空間に居るのかと一瞬錯覚しそうになる。
今作ではコンクールなど劇的なシーンはなく、話も大半が校舎の中で描かれている為、スケール感が小さく感じるかもしれない。だけど、この閉塞感こそがリズと青い鳥の魅力だと個人的には思ってる。
ユーフォと比較して演奏描写が減った分、心情描写はより繊細に描かれており、何気ない仕草や些細な感情変化など周回して気付いた部分も多い。
{netabare} みぞれと希美の関係性はユーフォ2の時から描かれてきたが、二人の間のわだかまりが完全に解消された訳ではなく、若干モヤモヤ感が残っていたが、今作でそのモヤモヤ感を払拭できたように感じた。冒頭ではリズはみぞれ、青い鳥は希美の事を指していると思っていたのが、中盤で立場が逆転していく流れは秀逸。そしてクライマックスの演奏シーン、大好きハグのシーンは感情移入しすぎて軽く脳がオーバーヒートしそうになった。 {/netabare}

投稿 : 2023/11/11
閲覧 : 79
サンキュー:

5

ネタバレ

カール さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

美しくも残酷な物語

原作未読。それ以外は視聴済み。

汗と涙の感動ストーリー。
それが響けユーフォニアム!!
だったのに、
今回はそういった要素は一切なし。

「そんなんエエから話ししようか」
と、担任から進路指導室に呼ばれ、
静かに真綿で首を絞められるような、
そんなお話。

陰キャのみぞれちゃんと、
陽キャの希美ちゃんは大の仲良し。

吹奏楽の切っ掛けをくれた希美に、
みぞれはただならぬ想いを寄せている。
一方の希美は、
そんな過去は意に介さず軽やかな感じ。

さて作中では、
「リズと青い鳥」という、
創作のおとぎ話が、
この二人の少女と重ねて語られます。

おとぎ話の結末は、
二人が離れ離れになる悲しいお話ですが、
それでもハッピーエンドを願う希美は、
悲劇の結末に台詞を付け足す。

「会いたくなれば、
また会いに来ればいい」

おとぎ話の青い鳥はリズに問います。
「冬になるとリズはどこに行くの?」
リズは答える。
「どこへも行かない」

お互いにキョトンとする。
「何で?」

青い鳥は渡り鳥。
越冬しなければ死んでしまいます。
にも関わらずリズは、
「ここにいる」と言うだけ。

二人が進むべき世界は明らかに違う。
二人は一緒にはいられない。

やがてリズはその事実を受け入れ、
青い鳥と決別する。

希美はずっと、
青い鳥の視点で世界を見ていた。
翼を羽ばたかせ、
自由の空を飛び回るのは自分だと。

しかし希美は、
耐え難い真実を目の当たりにする。
自分には才能がない。
遠くの鳥をただ見上げる凡人だと自覚する。

更に、
希美に才能を見せつけたみぞれは、
無意識に彼女にとどめを刺す。

大好きのハグ。
みぞれは関係を繋ぎ止めようと、
思いつく限りの大好きを希美にぶつけるが、
その大好きに対し希美はたった一言、

「みぞれのオーボエが好き」

しばし沈黙の後、
大好きのハグは解かれる。
希美が才能だと信じていたフルートは、
みぞれの大好きには無かった。

リズは、
自分の存在が青い鳥の足枷だと気付き、
別れを決意する。

希美は改めて、
自分のフルートが、
みぞれの足枷だったことに気付かされる。

みぞれにとっては成長物語だが、
希美にとっては絶念の物語。
最後まで明るく振る舞ってはいるが、
やはり希美にとってはBAD END。

冬が近づくにつれ、
進路が明確になるにつれ、
互いが進むステージが違うことを痛感する。

「会いたくなれば、
また会いに来ればいい」

学生時代はみんなそう思う。
でも卒業した途端、
新生活が始まった途端、
疎遠になっていくのが世の常。

若者が辿る、
かくもほろ苦い残酷な物語。

しかし最も残酷なのは、
多くの女子部員が参加したにも関わらず、
プールでの水着シーンが無いことである。


ありがとうございました。

投稿 : 2023/07/26
閲覧 : 164
サンキュー:

7

ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

良質の日本映画を見たような余韻を感じる傑作(追記しました)

[2023.5.7追記]
今回のGWを使って、やっとユーフォニアムシリーズのほぼすべてを見ることができました。
ユーフォの世界観・人物相関など理解できた上で、あらためて「リズと青い鳥」を視聴しました。
予想はしていたのですが、作品への理解の深さが段違いに違いました!

そのうえであらためて感じたのは、この作品はやはりまぎれもない傑作だということです。
より理解できた今のほうがさらにその思いが強くなりました。

リズと青い鳥という曲を演奏するというモチーフを柱として、絵本で語られるリズと青い鳥の関係とあの年頃の女の子の関係、第三楽章でのフルートとオーボエの合奏パートでの演奏で気持ちを表わしたり。

ユーフォニアム本編もそうでしたけど、音へのこだわりがこの作品も凄くて、オープニングの足元を映しながらの希美が来た瞬間の軽やかな音楽と二人の歩き方で表現される個性と感情。

もうその時点で再びこの作品の世界にどっぷりと漬かってしまうわたし。

後半、伸び伸びと力強く大空にはばたく青い鳥のようにオーボエを吹くみぞれと涙を流す希美のシーンは前回見た以上に私の胸に強く届きました。

オープニングと同じ軽やかな曲が再び流れ、希美は参考書を、みぞれは楽譜を開いて

disjointからjointへ

二人はそれぞれの道を歩みながら、これからも友達で居続けるんだと思います。


[初回感想]
響け!ユーフォニアムを全然見てなくて、この作品もスピンオフ作品だから見ても楽しめないだろうなと思って、気になってたけどずっとみてませんでした。

でも、見てなくても問題ないって友人に背中を押され、本編見ないでいきなりこの作品って変わってるかもだけど見てみることにしました。

冒頭、待つひとが来た瞬間、軽やかな音楽が奏でられる演出、そして足元多めのアングル。

歩き方で希美とみぞれの性格を表現してるところも面白いです。

二人以外の人物も足元で感情を表現していたり。

なんだろこの空気感・・アニメなんだけど(実写の)日本映画を見てるような感じがとてもします。

「リズと青い鳥」という絵本のお話をモチーフにした曲を練習する二人。

リズと青い鳥のお話パートは綺麗な水彩画みたいに描かれた世界で、こちらはまさに絵本の世界って感じ。

日本映画のような、絵本のような、それぞれが交互に描かれるのも面白いですね。

希美のフルートが光を反射してみぞれの胸に当たり、それに気づいて笑いあう二人。
みぞれの気持ちにあわせて奏でられる音楽。。ここ何気に好きなシーンかも。

第3楽章。合わないフルートとオーボエ。
先生に熱心に指導されるみぞれを見つめる希美。

二人はリズと青い鳥の物語を思い浮かべます。
リズの、青い鳥の幸せを思いながら。

終盤の演奏シーン、すごく細かいところまで表現されてて凄いですね♬

伸び伸びと吹くみぞれの演奏を聴いて泣く希美。

リズと青い鳥。
結局二人はどっちだったんだろう。
どっちというよりも、お互いがリズで青い鳥だったのかな。

冒頭のdisjointがjointに変わり、物語はいったん幕を閉じます。

見終わって。
とても質の高い、素敵な作品を見た満足感でいっぱいになりました!
うん。確かにユーフォニアム本編を全く見てなくても問題なく見れる作品だと思いました♪

同じ京都アニメーションのヴァイオレットもすごく良い作品でとても大好きですけど、例えば国際映画祭とかに2つの作品が出品されたとして、どちらか1つを選ぶとなった場合、なんとなく審査員はリズと青い鳥を選ぶような気がします。

水槽で泳いでるちびフグ可愛かった♡飼いたい。。

投稿 : 2023/05/07
閲覧 : 769
サンキュー:

58

ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

本編の1年後 Ob.みぞれとFl.希美の心情にフォーカスを当てたスピンオフ

原作未読。
ユーフォ大ファンとしては視聴は必至でした。

【作品概要】
 ユーフォ1,2の1年後の物語。
 本編の主人公はユーフォの黄前久美子でしたが、
 今作は2の前半で登場した
 Ob.鎧塚みぞれ と Fl.傘木希美に
 フォーカスを当てた作品です。

【作品に対する感想】
 ユーフォ本編が熱い青春物語だったのに対し、
 今作は二人の心情描写に特化した作品で、
 かなり静かにトーンを落として描かれています。
 コンクールの結果とか、外界の事は描かれていません。

 コンクールの自由曲「リズと青い鳥」の物語に
 かぶってしまう二人の関係。
 曲を完成させていく過程でみぞれの成長を描いています。
 みぞれが精神的にあまりに自立できていないところに
 さすがにイラッとしました。
 最後はスタートラインに立ったものの、前半のイライラが
 解消し切れずいまいち感動できなかったです。
 
 音楽に関してはさすがで、言うことないです。

 本編ユーフォのような熱血アニメを期待している人は
 拍子抜けかもしれません。
 ただ、吹奏楽部を織りなす物語は常に熱いものだけとは
 限りませんので、こういう物語もありましたという点では
 リアリティがあると思います。

 
1)物語
 童話と二人の関係を関連付けて進めていくというのは
 なかなか面白かったです。
  
 みぞれの世界の全てである希美を手放す意味が分からない。
 彼女の考え方(希美の存在がすべて)なら仕方ないでしょう。
 新山先生とそれを一つずつ解きほどいていき、みぞれが依存から
 一歩を踏み出したところは良かったと思います。
 
 ただ、ちょっと疑問があります。
 童話と現実の関連について。
 一人のリズ 
  ⇒ 孤独なみぞれ
 
 リズのもとにやってきた青い鳥 
  ⇒ みぞれを吹奏楽に誘った希美

 孤独を満たされ幸せなリズ 
  ⇒ 希美の存在が全てとなり安心できるみぞれ

 に対して最後、
 「翼の枷になっていたと気付いたリズが青い鳥を解き放つ」
 というのは逆の立場になっていて、
 「翼を持つみぞれ(=音大に行けるほどの力を持つみぞれ)の
 ソロの掛け合いの枷になっていたのは希美」でした。
 さらに言うとみぞれが翼を持ちながら解き放たれて
 なかったのは希美を依存した自分自身が原因であり、
 希美がみぞれに枷をかけたわけではありません。

 ということで、いまいちリズと青い鳥をなぞらえた展開から
 外れてたなと感じているのですが、
 このあたりうまく噛み砕けなかったので、
 ご意見頂けたら嬉しいです。


2)作画
 リズと青い鳥の絵本の絵とリアルの方と描き分けられてました。
 絵本の方は足が異様に長く描かれてあるのがやや気になりました。


3)声優
 全体的にかなりトーンを落として話していたので、
 作品全体的に暗い雰囲気になってしまいました。

 童話の方はあえて棒読みな感じにして
 昔のアニメっぽい雰囲気にしてたのかと思います。

4)音楽
 吹奏楽の曲が非常に多かった印象です。
 おそらく「リズと青い鳥」の一部を
 シーンに応じて使っているのではと想像しています。

5)キャラ
 ①鎧塚みぞれ
  「またウジウジ引きこもりかよ」が最初の感想でした。
  去年の関西大会でのあの生き生きしたみぞれは
  どこへ行った!?
  
  ただよく思い出したら、みぞれが本来の演奏を
  取り戻したのは希美との間の誤解が解け、希美の為に
  演奏することを肯定できるようになったから
  だったんですよね。
  最後のコンクール、そして卒業…大切な希美と離れる
  刻が迫っている事が彼女を追いこんでるんですね。
  
  2のレビューでも描きましたが、「自分の為に」と
  思えるようには、1年経っても
  なっていなかったということでした。

  みぞれの希美への依存はまあ酷いレベルで{netabare}
  希美の後をついて回ったり、希美が音大に行こうかなと言えば
  自分も行くと言ったり…。{/netabare}自分の意思は無いんかいっ!って。

  自分のことで手いっぱいなものだから後輩に
  気を使わせたり泣かせたり。
  中学の時は後輩の指導とかどうしてたんだろうか?

 ②傘木希美
  1年経ってちょっとパワーが弱くなったかなという気がします。
  あすかに猛反対されてもめげなかったバイタリティーが
  感じられません。

  彼女は進路を音大から普通の大学に変更した件で、
  リボンちゃんから咎められますが、
  あれはちょっと不条理かなと。
  進路なんて自分で選ぶべきで、人が変わったから自分も…
  なんてありえないからです。
  

6)印象深いシーン
{netabare}
 ①高坂麗奈 みぞれに苦言を呈す
  麗奈の成長が凄く感じ取れます。
  1年前の麗奈なら突き放すような言い方しかできず、
  部内のぎくしゃくの間接要因になってたと思います。
  でも今回は自分の想いを述べつつ、ちゃんと後輩としての
  立場を考えながら言葉を選んでいたと思います。

 ②麗奈&久美子 信頼の掛け合い
  この二人の信頼を絶対的なものと示していたと思う
  このシーン。
  おそらくみぞれと希美に目を覚ましてくれという
  メッセージを乗せていたのではないかと想像します。

  こんなことまで後輩にさせるな!
  希美とみぞれは反省しなさい!

  ただ他のパートの演奏なんかしてたら
  「自分のパートをもっと昇華させろ」と
  めちゃくちゃ怒られるとは思いますが…。
  まあそれはそれで。

 ③新山先生 希美に対して「え?あなたも?」といった反応
  これ、リアリティの面でいいシーンだなと。
  全国レベルの吹奏楽部でも音大というハードルが
  どれだけ高いかを示しています。

  部内の1学年で2,3人ってところじゃないでしょうか。
  もちろん部のレベルによると思いますが。
  希美も部の中では上位の実力者でしょうが、
  高い金をかけて音大に行ってさらに
  プロとして生きていくのがどれだけ狭い門か…
  という話です。
  2年でも音大行きとなると麗奈くらいかなと。
  甲子園出場者の中からドラフトに名前が挙がるのが何人かを
  イメージして頂ければなんとなくわかるかも。

 ④希美と違う方に歩いていくみぞれ
  みぞれがやっと自分の意思で歩き始めたと象徴するシーン。
  ただ、「やっとですか」…という気はしました。
 
 
{/netabare} 

7)原作読破、誓いのフィナーレ視聴後(2020/3/29追記)
 原作読破・誓いのフィナーレ視聴後、リズを再視聴しました。

 リズと青い鳥を含む久美子が2年生の頃の期間は
 原作の「波乱の第二楽章 前編・後編」
 にあたります。
 2冊でリズと青い鳥・誓いのフィナーレが並行して進む
 感じですね。

 原作読破+誓いのフィナーレを視聴して感じたこと。
 ➀私のような脳筋にはリズ単品の視聴では拾いきれない
  繊細な心の機微がちゃんと作画されていた。

  原作のテキストを読んだうえで視聴するとほんのちょっとの
  口元や眉の作画で実は表現されていたことが解ります。
  {netabare}
  リズ単品で希美に黒い感情があったこと読み取れました?
  希美は多少ドライなところがあるとはいえ、
  そこまでみぞれを嫉妬の対象にしているとは
  思えませんでした。
  {/netabare}

 ➁恐らくこの北宇治高校吹奏楽部は鎧塚みぞれの視界を通しての
  描写だったのかなと感じました。

  ゆえに、本編のような熱量がない。
  物語が進む中、ずーっと音楽が鳴りっぱなしということが
  多いんですよね。
  音楽の上を人が歩いている。そんな印象を受けました。  
  これがみぞれから見た北宇治高校吹奏楽部の
  心象風景なんでしょう。

 
 原作を読むことで、情報不足も補えました。 
 読んでよかったと思います。
 全体的に原作のほうが生々しいです。
 その分リアリティがあります。
 みんなきれいごとだけじゃありません。
 打算もあるし、下心もあるし、嫉妬などの黒い感情もあります。

 そんな中で特に印象深かったのが、覚醒したみぞれの初3楽章。
 劇場版の映像はあくまでみぞれの心象風景だったのでしょう。
 ずいぶんマイルドで「すごくよくなりました」
 「よかったです」程度の表現でした。
 しかしすべての感情を生々しく乗せたみぞれのOb.は{netabare}
 滝・橋本先生をも「どうすんだよこれ」と唸らせるほど
 であり、希美の自尊心を木っ端みじんに叩き壊すほどの
 破壊力がありました。
 これにより希美のFl.は
 「私が前に出る」から「みぞれを支える」に変わり、
 みぞれのOb.は自由に羽ばたけるようになったと…。
 
 あー、みぞれの高校生活の真の完結として
 アンサンブルコンテストでのワンカット
 どっかで見れないかなー。
 というか、リズの最後に入れてほしかったなー。
 {/netabare}  

 生々しい真の姿を見たい方は原作おすすめです。
 そして限られた時間で目いっぱい詰め込もうとした
 京アニさんの努力がさらに感じられるかと思います。

投稿 : 2023/03/27
閲覧 : 496
サンキュー:

43

ネタバレ

U さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

C. ネタバレ注意 – disjoint から joint へ

2018年
武田綾乃の小説  
制作:京都アニメーション キャラデザ:西屋太志

高校吹奏楽部が舞台の友情、青春、成長物語 のスピンオフ作品


<メモ>
監督とキャラデザを変えて描かれたスピンオフ。 
本編とは違う山田尚子らしいキャラデザと演出ですね。

人気作なので楽しみにしていましたが、私は本編の方が好きです。

希美が自分より劣る(と思っている)みぞれに声をかけて側においてマウンティングしつつ優しい私を演出していたのに
下だったはずの みぞれの方が演奏に関しては上だと知った時、
悲しいとか悔しいとかではなく怒りの感情が出てくるのが実に女子っぽい。
1年時、先輩ともめて部活をやめた希美が相談も報告もしなかったのは
みぞれをその程度にしかみていなかったって事。

入学早々に天使のような葉月とみどりに出会えた久美子は幸運だったと再認識しました。

一人ぼっちのリズがみぞれかと思ったけど、どこまでも飛んでいけるのに留まることを選ぼうとする青い鳥がみぞれなんですね。
みぞれは希美に執着しなくても、心配してくれる優子や仲良くなりたいと望んでいる剣崎がいる事に気づいて。

鳥かごの蓋を開けた希美はみぞれと親友になれたようにみえたけど、
最後の2人で何を食べるか話ながらの仲良し風下校シーン。
前を歩く希美が振り返り、みぞれの驚く顔で終わりました。
振り返った希美はどんな表情だったでしょうか?
笑顔だったら驚かないですよね。


<主要登場人物>
・鎧塚みぞれ:種崎敦美
・傘木希美:東山奈緒

・剣崎梨々花:杉浦しおり

・リズ/青い鳥:本田望結


<ストーリー>
大会の自由曲に「リズと青い鳥」を選んだ北宇治高校吹奏楽部。
オーボエ担当の鎧塚みぞれとフルート担当の傘木希美の掛け合いが大事な曲なのだがうまくいかない。

みぞれは後輩の高坂麗奈に「ブレーキをかけ窮屈に聞こえる、本気の音が聞きたい」と云われてしまうが
1年の時自分の前からいなくなった希美を気にしすぎて実力が出せていないようだ。

2人は童話の「リズと青い鳥」のようにそれぞれの人生を歩みだせるのか?


23.1.13

投稿 : 2023/01/15
閲覧 : 155
サンキュー:

10

ネタバレ

マーティ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

自由の青い翼

 全90分。「響け!ユーフォニアム」のスピンオフ。

 今さら気づきましたが、今作は2018年公開、そして「誓いのフィナーレ」は2019年公開だと今更ながら気づきました(^_^;)先に誓いのフィナーレの方を見ちゃいました。でも特に問題なかったです。

 うおお、なんだこれは・・・!これはスゴい・・・!好みドストライクでした。でも何が良かったのかうまく語れない。。

 まず驚いたのは作風の変化。本編はキラキラしてて、女の子が健康的でムチムチに描かれていたのに対し、今回は色相は暗め、女の子はほっそりと描かれているというね。
 他のかたの感想のどこかに書いてあったんですけど、本編は久美子視点、今回はみぞれ視点とのこと。それを見て、なるほどと納得でした。

 みぞれと希美の関係やお互いの心情については、僕も何と言ったら良いのか、いまいち整理しきれてませんね。もう一回見ないとわからないこともあると思うので。
 みぞれはどこまでも羽ばたいていける存在。しかしそれを縛り付けていたのは希美。まさに今回出てきた童話のような、嬉しくもちょっぴり切ない、そんな話でした。

 最後は二人で一緒に下校。お互い笑いあってたんだけど、不思議と切なさもあるような。。二人ともこれからも親友でいてほしいですね。

 いまいちまとまってないですが^^;
 これにて感想を終わります。ここまで読んでくださりありがとうございました。

投稿 : 2022/06/04
閲覧 : 356
サンキュー:

35

ネタバレ

Tnguc さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

【お気に入り】 もしもスマイルがヒーローになった世界で

~
 TV版では雑多な共学高だったはずなのに、今作では男子生徒が取り除かれている。汗臭さや甘酸っぱさが排除された学園は、まるで密やかな百合の花園。閑静な美術館を思わせる校舎の窓の外には緑豊かな木漏れ日が映り込み、初夏の涼しさすら感じさせる爽やかな空間がどこまでも続く。鳥のさえずりと優しい環境音楽で包まれた世界は、まるで、主人公・みぞれの無垢を落とし込んだ真っ白なキャンパスのよう。そこで、みぞれの唯一の友達・希美(のぞみ)に対する「恋」が描かれる。ただし、一口で同性愛と言っても、この作品は単なる甘ったるい百合アニメではない。「恋」という字は「変」に似ているだなんてよく言われる常套句だけど、まさにみぞれの「恋」は、クラスメートからしてみれば「変」だった。それは、希美への甘やかな愛情ではなく、もはや全幅の依存だったから。希美を失いたくないとしがみつくみぞれの姿は、まるでカルガモの雛鳥。そんな希美への執着心は、一人ぼっちだった頃に戻りたくないという気持ちの裏返しなのかも知れない。みぞれも、心の奥底では「変わりたい」と願っていたはず。でも、自分ではどこに進めばいいのか分からない不安から、希美の後ろをついていくことしかできなかった。しかし、月日が流れ、仲間たちと交流を深めていく中で、みぞれは成長し、心の中を占領していた希美への想いが「変」だったことに気付いていく。希美もまた、いつの間にかみぞれが羽ばたけるようになっていることを知り、そこから巣立ちを示唆させるような感情が、あの楽譜のメッセージによって発露する一連の流れは残酷でありながらも美しい。そんな希美に励まされ、ある種の解放を得たみぞれのオーボエは、オオルリのように美しくさえずる青い鳥。その羽でどこまでも飛翔するみぞれの姿を、地上から見上げることしかできない希美がなんとも情感的。これから二人は、進む道も、高度も、大人になっていく過程の中でその距離は更に離れていくだろう。どんどん「普通」になっていくみぞれの姿を、寂しいと思うのは視聴者の身勝手なのかも知れない。でも、あのころ、一途に希美を追い求めていたみぞれの気持ち、誰しもが重ね合える経験があるはず。みぞれも、これからそういう初々しい経験を積んで大人になっていく。雛鳥のようだったみぞれは、たしかに愛おしく見えた。でも、実際はチグハグな人間関係だったことに気づかされたのはあのラストシーンだった。いつもは希美の後ろを歩いていたみぞれが、希美と肩を並べて、屈託なく笑っている。あの瞬間、二人は初めて本物の友達になれたような気がした。どこにでもありそうで、どこにもない、素晴らしい着目点。時を経ても色褪せることのない、エバーグリーンな青春劇だった。

個人的評価:★★★★☆(4.0点)

投稿 : 2022/05/31
閲覧 : 379
サンキュー:

21

ネタバレ

けい さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

見てない人ホントに損してる

京アニの本気を見せてもらった。
ホントに今まで見ていなかったことを後悔している。
種崎敦美さん演じる鎧塚みぞれ先輩に感情移入が出来て最高だった。
オーボエとフルートの掛け合いの部分は、情景描写も交えており、なんでもないのに泣いてしまった。
この為にガチもんの吹奏楽の曲をつくったことに、驚きを隠せないし、なんというか、もう語彙力が足りない。
京アニの作品のなかで一番好きになりました。

投稿 : 2022/02/27
閲覧 : 184
サンキュー:

7

ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

コツコツコツコツ・・・。揃わない足音、ばらばらの気持ち。

実は、この作品は、以前に観たことがあります。
しかも、当時は「響け!ユーフォニアム」と言う作品自体を全く知りませんでした。
普通は、TVシリーズを知ったうえで観る方がほとんどではないでしょうか?
いかに自分がタイトルとキービジュアルだけでジャケ買い視聴していたかですね。
でも、この作品に関しては、それで正解だったんです。
内容は、タイトル通りで、絵本の物語を現実に投影したようなものでした。
そして、キービジュアルで感じた通り、美しい映像の作品でもありました。
つまり、本編を知らなくても1本の映画として十分楽しめる作品だったのです。
ファンにしか分からない、ファン向けの劇場版とは違って、かなり好印象でした。

今回、「響け!」本編を観たので、あらためて観ることにしました。


物語の最初は、みぞれと希美(のぞみ)が連れ立って音楽室に向かっています。
途中、みぞれは、中学の時に希美と歩いていたときのことを回想します。
そして、みぞれは、音楽室の扉の鍵を開けるところで躊躇します。
それを見た希美は一瞬何か思うところがあったようですが気にせず待っています。
このシーン、これからこの二人に起こることを予感していて好きなんですよね。
音楽室に入ったらなにかあるのでしょうか?
回想の中の二人のような今まで通りの関係でいられなくなるのでしょうか?
そして、音楽室の扉は開かれ「disjoint」の文字が・・・。なるほど!
ちなみに、みぞれが扉を開けるのを躊躇した理由は、他にもあるように思えました。

この作品は、こう言うところが上手いと思います。
ただ二人が連れ立って音楽室の扉を開けて中に入るだけです。
でも、ちょっとしたしぐさや表情から、二人の間の気持ちのすれ違いが分かります。


「リズと青い鳥」は、物語の最初に説明シーンがあります。
{netabare}
 ずっと独りぼっちだったリズのところに、ある日、知らない少女がやってくる。
 二人はすごく仲良くなって、一緒に暮らし始めるけど、最後には別れる。
 その少女とは、実は青い鳥で、リズのもとから飛び立っていってしまう。
{/netabare}
中学のときまで友達がおらず、ずっと独りぼっちだったみぞれ。
そこへやってきて吹奏楽部に誘ったのが希美。
この物語では、リズにみぞれを、少女に希美を重ね合わせます。

みぞれにとって、希美は、かけがえのない大切で大好きな人です。
そして、みぞれは、自分は鳥カゴ、希美は青い鳥だと思っています。
それは、鳥カゴの扉を閉めて、大好きな希美をずっと閉じ込めておきたいからです。
みぞれが最初に扉を開けることを躊躇したのは、これを暗示していたんですね。

しかし、実はこれが最後にどんでん返しだったところが、この物語の面白さでした。


終盤で二人がそれぞれ別の廊下を歩き、反対の方向に曲がるシーンが印象的です。
序盤で二人が一緒に歩いているけど微妙にずれていた足音のシーンと対照的でした。
二人がやっと自分を取り戻し、それぞれの道を歩みだしたことを象徴しています。
とても好きなシーンですし、つくづく物語の構成が上手いなと思わされます。

最後は、なんとも言えない爽やかさを感じることができます。
それは二人の間にある澱(おり)が綺麗に洗い流されたことを感じられるからです。
学校帰りの二人の足音は、みごとに揃っていました。
私はこの爽やかさがとても好きです。


「リズと青い鳥」では、最後、青い鳥が飛び去って行きます。
私は、過ぎ去る青春のイメージもそこに重ね合わせました。
この物語では、せっかく仲良くなった友達でも、いずれ進路は別々になる。
当たり前のことですが、そこには、青春の終わりを感じさせる儚さがあります。

この作品は、正直、派手さはありません。
しかし、とても味わい深い作品だったと言うのが私の印象です。
この後、「誓いのフィナーレ」の演奏をもう一度観たことは言うまでもありません。

投稿 : 2022/01/10
閲覧 : 296
サンキュー:

40

ネタバレ

にゃん^^ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

レズと青い春

公式のINTRODUCTION
{netabare}
少女の儚く、そして強く輝く、美しい一瞬を――。 高校生の青春を描いた武田綾乃の小説『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』がアニメーション映画化。みぞれと希美、2人の少女の儚く美しい一瞬を切り取ります。制作は、映画『聲の形』で第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション賞、東京アニメアワードフェスティバル2017アニメオブザイヤー作品賞劇場映画部門グランプリなどを受賞した京都アニメーション。そして、監督・山田尚子、脚本・吉田玲子、キャラクターデザイン・西屋太志、音楽・牛尾憲輔ら、映画『聲の形』のメインスタッフが集結。 繊細な人の心を映し出してきた制作陣による、 ――誰しも感じたことがある羨望と絶望。そしてそれらを包み込む、愛。 この春、あなたの心に「響く」一作をお届けします。
{/netabare}

スタッフ{netabare}
原作:武田綾乃(宝島社文庫刊『北宇治高校吹奏楽部、波乱の第2楽章』)
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:西屋太志
美術監督:篠原睦雄
色彩設計:石田奈央美
楽器設定:高橋博行
撮影監督:高尾一也
3D監督:梅津哲郎
音響監督:鶴岡陽太
音楽:牛尾憲輔
主題歌:Homecomings
音楽制作:ランティス
音楽制作協力:洗足学園音楽大学
吹奏楽監修:大和田雅洋
アニメーション制作:京都アニメーション
{/netabare}
キャスト{netabare}
キャスト(声の出演)
鎧塚みぞれ:種崎敦美
傘木希美:東山奈央
リズ/少女:本田望結
中川夏紀:藤村鼓乃美
吉川優子:山岡ゆり
剣崎梨々花:杉浦しおり
黄前久美子:黒沢ともよ
加藤葉月:朝井彩加
川島緑輝:豊田萌絵
高坂麗奈:安済知佳
新山聡美:桑島法子
橋本真博:中村悠一
滝昇:櫻井孝宏
{/netabare}



公式のあらすじ
{netabare}
———ひとりぼっちだった少女のもとに、青い鳥がやってくる———

鎧塚みぞれ 高校3年生 オーボエ担当。
傘木希美 高校3年生 フルート担当。

希美と過ごす毎日が幸せなみぞれと、一度退部をしたが再び戻ってきた希美。
中学時代、ひとりぼっちだったみぞれに希美が声を掛けたときから、みぞれにとって希美は世界そのものだった。
みぞれは、いつかまた希美が自分の前から消えてしまうのではないか、という不安を拭えずにいた。

そして、二人で出る最後のコンクール。
自由曲は「リズと青い鳥」。
童話をもとに作られたこの曲にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。

「物語はハッピーエンドがいいよ」
屈託なくそう話す希美と、いつか別れがくることを恐れ続けるみぞれ。

———ずっとずっと、そばにいて———

童話の物語に自分たちを重ねながら、日々を過ごしていく二人。
みぞれがリズで、希美が青い鳥。
でも……。
どこか噛み合わない歯車は、噛み合う一瞬を求め、まわり続ける。
{/netabare}
感想
{netabare}
ボッチだったみぞれは吹奏楽部に入ってオーボエをはじめて
自分を部活にさそってくれたフルートの希美のことが好きだったんだけど

希美は1回、自分を置いて吹奏楽部を出てっちゃったから
帰ってきた希美を放したくない、って思ってて
その気もちが、課題曲の「リズと青い鳥」にも出てて

希美は希美で、才能があるみぞれにちょっとやきもちを焼いてたみたいで
2人のソロパートが合わなかったんだけど

今まで、おはなしを自分たちに重ねて
青い鳥は希美のことだ、って思ってた2人が
ほんとの青い鳥はみぞれだ、って気がついたら
自分たちの気持ちの整理がついた。。

ってゆうおはなしだったみたい。。



自分がさそった相手が自分よりうまくなって、焼きもち。。
でも、相手は自分のことが大好きで、ってゆうおはなしは
「ピアノの森」でもあったけど、音楽と青春で悩む

そんな、よくありそうなおはなしでも
セリフをけずって絵で見せる、京アニの力で
すごく気持ちが伝わってくるおはなしになってたって思う^^

「ピアノの森」は男子どうしで、こっちは女子どうし。。

でも、主人公が、さそってくれた子を思う気もちは
こっちの主人公のみぞれの気もちが、音楽より希美に向いてたから
感想のタイトルは「レズと青い春」にしたけど
女子どうしで抱き合ってたりして、たぶんまちがってないって思う^^


みぞれが希美を思う気もちはラブなんだけど
希美がみぞれのこと思う気もちは、うらやましい友だちで
ふつうの恋愛ものだと、告白されちゃったらOKかダメで終わるんだけど
うまくごまかして、ラブストーリーをスポ根にしちゃったみたいな。。

そんなごまかし方が上手で
どっちも傷つかなくって、いい終わり方だったと思う^^


公式のあらすじに「ひとりぼっちだった少女のもとに、青い鳥がやってくる」
って書いてあるけど

はじめは、ぼっちの少女がみぞれで、青い鳥が希美って、思わせて
「リズと青い鳥」とこのおはなしが分かってくると「?」ってなってきて
実はみぞれが青い鳥だ、って気がつくところは
見てるにゃんも、2人とおんなじ気もちになれて、すごいって思った^^


もしかして、童話のリズも
自由に空を飛べる青い鳥がうらやましかったのかも?

それが、自分にはマネできない、すごい能力だ、って分かってるから
そんな青い鳥を、自分の近くに置いとけなかったんじゃないかな?


ほんとは何にもみぞれに勝てない希美は、それを見ないフリして
自分がボスだって、自分にもまわりにも思わせてたけど、いろいろあって
見ないフリができなくなってリリースしようと思ったんだけど
それをみとめたら自分がこわれちゃいそうだから、逃げた。。

でも、そのことに気がついた、みぞれが
愛とやさしさで、希美を抱きしめたから
希美は、イヤなことを見る勇気が出たんだって思う。。

はじめは好きな相手に振り向いてもらえないみぞれがかわいそうだったけど
さいごは痛い自分を受け入れた、希美がかわいそうだった。。

これで、みぞれが希美のこと、そんなに好きじゃなかったら
希美はホントにかわいそうだったと思う。。



「響け!ユーフォニアム」のスピンオフだったけど
「ユーフォ」を見てなくっても分かる、いいおはなしだった^^

でも、おはなしがよかっただけじゃなくって
「ユーフォ」ではメインのキャラもたくさん出てきたから
「ユーフォ」の復習にもなってよかった♪


童話の「リズと青い鳥」も読んでみたくなるおはなしで
うまくシンクロしててよかったし
キャラも音楽も、もちろんよかったんだけど
リズ役の子が、棒読みだったのがちょっとザンネンだったみたい。。


{/netabare}

投稿 : 2021/09/15
閲覧 : 658
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78

ネタバレ

tinzei さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

本田望結、声優に向いてない

相変わらず空気の読めない希美と、表現下手のみぞれをメインに据えた話だけど
、これ『ユーフォニアム』知らない人でも楽しめるのかな?
綺麗なアニメーションだけを見るならともかく、ストーリーとキャラの心情を理解するには二年時の騒動を知ってないと厳しくない?


今作でキーになるリズと青い鳥の声を本田望結がやってるけど、演技云々以前に声がアニメ声優に向いてない。声そのものなのか喋り方なのか分からないけど、時々モゴッとした感じがあって、はっきり言って不快。こういう声の人は外国語なら流暢に話せるんだろうけど、日本語には向いてない。


それと、本筋には関係ないけど、プールシーンが省かれたのは残念だった。この作画での水着も観て観たかったんだけどなぁ(笑)

投稿 : 2021/08/08
閲覧 : 1287
サンキュー:

4

ネタバレ

あーちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

はあ。もう名作。心に沁みすぎ。

のぞみ先輩復帰後の話。
みぞれ先輩とのぞみ先輩の関係をあがいている作品だけど、
結局二人は別々の道を歩むことにしたんだな。

やっと、対等な友達になれったって感じなのかな?

投稿 : 2021/05/08
閲覧 : 276
サンキュー:

11

ネタバレ

まつはや さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

問1.「鎧塚みぞれ」と「傘木希美」の気持ちを記述しなさい。(配点 50)

Amazonprimeで視聴。

本作は鎧塚みぞれと傘木希美、二人の関係性を描くことに終始しています。
大会へ向けて切磋琢磨するわけでも、大きな事件が起きるわけでもありません。ただひたすらに二人の心の変化を追うだけの作品です。
にも関わらず背景美術や声優の演技、様々な意味を示唆する演出が積み重なり心を動かされるという、稀有な作品なのです。

本作は視聴にあたり画面に提示された情報を噛み砕くという作業が必須となります。正直一度目は話の流れを追うので精一杯でした。
一つ一つの演出にこれはどう言う意味なのだ?!と思案する様は国語のテストを解いている感覚に通じるものがあります。

しかし全体的な話の流れを理解してから再度視聴すると、一度目では気付くことができなかった演出の妙や細かな部分を理解することができるのです。
個人的には二度目以降の視聴でで本作の評価が大幅に上がりました。噛めば噛むほど味が出るスルメのような作品なのです。

のぞみが出会った時のことを覚えてないと言った後に回想が流れ、嘘を付いていたのだと分かるシーンは個人的な白眉でした。のぞみはなぜ嘘をついたのでしょうか?様々な解釈があることと思いますが、リズであるのぞみは青い鳥であるみぞれが羽ばたけるよう自ら手を離したのだということは確かだと思いたい。
みぞれがのぞみに向ける気持ちに意識がいきがちですが、のぞみもみぞれに愛情を抱いていたということでしょう。

最後のぞみは図書室で、みぞれは音楽室で真逆の方向へ曲がり別々の進路を歩み始めます。
コンクールの結果は?二人は結局別々の大学に進むのか?その結末は描かれていません。
初見時は若干ぶつ切りに思えたラストですが、物語の結末が視聴者に委ねられるということはある意味救いでもあります。

もしかしたら、のぞみは結局音大を受けるかもしれない。みぞれに、みぞれのオーボエ、ではなくみぞれが好きだよと返すかもしれない。
そんなハッピーエンドを想像できる余白が残されているのです。
やはり物語はハッピーエンドがいいよなと、音大のキャンパスで並び歩く二人の姿を思い描きながら、エンドロールを眺めていたのでした。

投稿 : 2021/05/03
閲覧 : 205
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7

ネタバレ

ストライク さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

スピンオフ

AT-Xで視聴

感想

あすか先輩達が卒業した後の、ユーフォ2の続きになります。

オーボエ担当の みぞれ 3年生
フルート担当の 希美 3年生
この二人の物語。

童話「リズと青い鳥」の物語に自分たちを重ねる二人。
リズがみぞれで、青い鳥が希美。
全国を目指し、部活を頑張れば頑張り程、次第に関係がギクシャク。

明るく誰とでも仲良くでき、後輩からも慕われる人柄
才能
嫉妬
不安
依存
それぞれ、二人の感情が読み取れてきます。

後半は、リズと青い鳥の関係性が逆なんだと気づき・・・

お互い本音をぶつけ合い、からの大好きのハグは心が和やかになりました。

二人の繊細な心情が描かれてて、観ていて引き込まれます。
正直、細かいとこまで全部読み取れていないと思うけど、最後は良かったなぁっと。
いいもの観れました。
良作ですね。

投稿 : 2021/03/15
閲覧 : 244
サンキュー:

35

ネタバレ

シボ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

羽ばたけ!青い鳥

物語序盤から、コツコツ歩く革靴の音や、服のこすれる音。
あの集音マイクで拾ったような音の世界。
そして足元の描写が多かったり、髪が揺れる後ろ姿。
目線が下向きだったりみぞれの体感している世界観なのかな~なんて
思って観てました。

希美だけを見つめているみぞれですけど、中学時代の頃と
同じように希美にはフルートパートの仲間達の中心に常にいて、
2人きりになれるの朝練のひと時が大事な時間。

序盤は青い羽根を受け取ったみぞれがひたすら希美を追い求めてって
展開で、ちょっと心苦しかったです。

フルートパートって吹奏楽部でも如何にも女子!ってイメージで
賑やかな感じですね。
(フルートの人すいません、花形パートだなって自分のイメージです)
きっとみぞれはその輪には全く興味ないし希美だけ振り向いてくれれば良いんでしょうね。

数少ないオーボエパートには、そんな輪をちょっと羨ましがってる
可愛い後輩がいます。

いつもつれない先輩を慕って頑張る剣崎ちゃんです。
独特の雰囲気で、お礼にゆで卵渡しちゃうような不思議ちゃんなとこも。

フルートパートの先輩と後輩の垣根なく話が弾んでいるのを
羨ましそうに見てる姿は可愛いですね~!

「のぞ先輩」や「つぼ先輩」に対しての「みぞ先輩」ってほのぼのします。
そんな一生懸命に先輩を慕い続ける剣崎ちゃんに
ずっとつれなかったみぞれも少しずつ心を開いていきます。
(この2人のネームってガードの固い鎧を剣で壊していって
 凍った心がみぞれのように溶けていくってイメージなのかな~?
 なんて思ってみたり・・)

オーディションに落ちちゃった~って涙する剣崎ちゃんを励ますために
希美から誘われたプールに剣崎ちゃんを一緒に連れて行ったり、
最初の頃から少しずつ距離が縮まっていく人数の少ない
オーボエパート組を応援したくなります。
(あっ 更に遠慮がちなファゴット2人組もいれてね)

「来年は頑張ります」って2人でオーボエを奏でるシーンは素敵でした。

リズと青い鳥でいう
自由奔放な青髪の少女(青い鳥)は希美で
いつか自分のもとを去ってしまわないかを心配するリズに
気持ちを寄せて考えるみぞれ。
自分がリズなら青い鳥をかごに閉じ込めておくと言い切る姿に
3年生になっても根っこは変わってないねって。

あっ3年生といえば、優子や夏紀のコンビも相変わらず良いですね~。
特に夏紀が色々な場面でナイスフォローする姿、素敵すぎです!

中盤からは
いつも背中からついてきた独りぼっちだったみぞれと
みぞれを常に導いてきた希美の関係が変わってきます。

新山先生から音大を進めれるほどの才能もあって、
後輩からも慕われるようになってきたみぞれに対して
音大を目指すと言いながらも才能の差を感じて嫉妬する希美。

2人の関係が明らかにぎこちなく微妙になっちゃいます。
ハグをしてって、手を広げたまま置いてけぼりになったシーンは
ちょっと切ないですね。

そんな上手くいかない先輩達に対して
麗奈と久美子の第3楽章のソロの掛け合いは、同じメロディーなのに
寂しげな感じがないの不思議です。
楽し気な2人の姿がなんか嬉しいシーンでした。

青い鳥を自ら手放すリズの気持ちがどうしても理解出来ないみぞれに
新山先生は、もしみぞれがリズではなく青い鳥だったらって問いかけます。

愛するが故に寂しいけど自由に羽ばたいて欲しいリズの気持ち。
リズを愛するが故に断ることが出来ずに羽ばたくしかない青い鳥。

そして二人はようやく気づきます。
みぞれがリズで希美が青い鳥とずっと思ってた・・

「でもいまは・・・・」

 二人が同時に声を上げる演出!こっちもゾワっときたよ~~。

自分が青い鳥の少女であることを知ったみぞれの
第3楽章でのオーボエは凄かったですね。
青い鳥の飛び立つ挿絵じゃないけど力強くてどこまでものびやかに
響いて素敵でした。

そしてフルートは希美のUPで抜かれるせいもあるんだろうけど
やっぱりなんか悲しげに聞こえるから不思議です。
掛け合うパートのところはちょっと切なくて涙浮かびました。

合奏後に目を腫らした希美はみぞれに本音をぶつけます。
みぞれも本当の気持ちを伝えての大好き!のハグ。

正直、繊細すぎて彼女達の気持ちをたぶんちゃんとは理解出来てない
のが本音ではありますけど、
西日が差し込む中、抱き合う姿はただ美しかったな。

後半は
お互いの気持ちをぶつけ合って、どこか吹っ切れた爽快感ありました。

進路を決めた2人の朝のシーン
音楽室へ向かうのぞみと図書室に向かう希美。
2人にそれぞれの道へ踏み出すのを、歩みだす足先が
反対へ向くことでわかります。
その歩みはもう迷いがなくて、足音が心地よく聞こえます。

そしてみぞれの楽譜には、青い鳥に はばたけ!のメッセージ。 
(楽譜の手書きメッセージは前にもあったけど泣けますね~。)

お互いの進む道を認め合ったうえでの素直な気持ちがタイミングよく
口をついて出た瞬間
 「ハッピーアイスクリームっ!」

みぞれのこういうところって可愛いし、あのコンクール発表後でも
見せてくれたニッコリで締めてくれました!

微妙に変化していく気持ちをとっても繊細に描いた素敵な作品ですね。
演奏を期待してたのでもう少し聴きたかったです。

最後に羽ばたいたみぞれのあの演奏をフルで聴かせてくれたら
多分泣いたな~(笑)

投稿 : 2020/12/19
閲覧 : 339
サンキュー:

48

ネタバレ

Fanatic さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

単品でも楽しめますが、ユーフォファンなら是非!

北宇治高等学校吹奏楽部所属の鎧塚みぞれと傘木希美が主人公です。
単体としても楽しめますが、原作は武田綾乃さんの「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏学部、波乱の第二楽章」。
つまり、「響け!ユーフォニアム(二期)」のスピンオフのような内容なので、TVシリーズ未見の場合は少し評価を割り引いて下さい。

製作はもちろん、京都アニメーション。
監督はシリーズ通して務められていた石原立也さんではなく、「けいおん」や「聲の形」の山田尚子さん。脚本も、同作でタッグを組んでいた吉田玲子さんです。

他人と関わることが苦手なみぞれ。そして、彼女が唯一拠り所にしている友人が、明るく天真爛漫な希美。
今期放送中の「安達としまむら」に少し雰囲気が似ていますが、あちらは心情描写をモノローグでどんどん開示していくのに対し、こちらは二人の関係性を、何気ない仕草や歩調、表情をフルに使って描き分けています。

手法の違いなのでどちらが良い悪いというわけではありませんが、アニメーションだけで表現する方が感性も必要としますし、スキル的にも高度なものが求められるでしょう。

二人がオーボエとフルートの合奏練習を始める直前、タイミングを合わせるために互いに二、三度目配せをするカットなんかは、本当に目を奪われます。
実写であれば、ディレクターが逐一指示をしなくても、カメラが無意識の仕草もすべてありのままを拾ってくれるでしょうが、アニメではそうはいきません。
何気ない所作、わずかな背景の動き、そのすべてにアニメーターの意思と拘りが込められています。この、細部に至る描写力は、まさに京アニクオリティ。

冒頭の朝練で二人が合奏したのは、コンクールの自由曲「リズと青い鳥」の中の、オーボエとフルート掛け合いのソロパート。
その曲が、まるで自分たちのようだと無邪気に話す希美でしたが……。
やがて、コンクールや卒業後の進路を巡り、みぞれと希美が抱える葛藤や悩みが徐々に浮き彫りになっていきます。

希美に依存し、自分の演奏者としての可能性よりも希美と一緒に歩んでいくことを優先しようとするみぞれ。
一方、そんなみぞれを愛しく思いながらも、才能の差を感じて徐々に違和感を募らせていく希美。
そんな二人の小さなひっかかりが少しずつ大きくなり、やがて、決定的なすれ違いになろうとしていた時、みぞれは言葉にできない気持ちをオーボエの音に託します。
果たして、こんがらがった二人の気持ちが解きほぐされることはあるのか?

学生生活を共に過ごした友人と、卒業後も同じ人生を歩んでいけることの方がむしろ稀かもしれません。
青春ドラマでは、友人同士の繋がりが強調されることが多いですが、人と人との絆は手を固く握り合ってのみ得られるものではありません。
手を離し、肩を叩いてそれぞれの道へ送り出すことも、時には大切でしょう。

少女たちの若芽のような繊細な心と、そこから芽吹いていく芯の強さを、透明感溢れる映像で紡いだ珠玉の名作です。

投稿 : 2020/10/30
閲覧 : 310
サンキュー:

18

ネタバレ

みかづき さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

"敗れざる"もの達へ

私のどーでもいい感想日誌を読んでくれてありがとう。

ユーフォ2の後に、この作品の存在をおしえてもらってましたが、
2の余韻の長さとでっか充実感からか、急いでみる気はなかったところ

ふと、棚の ら行の一番端っこ。 「リズと青い鳥」

なんの作品だろ?(わすれてた)

手にとったら
「これユーフォじゃねぁかァーーーー!!
 あったんかぃぃーーーー!」(思い出し)
「は行のユーフォのとこに(シリーズとして)
 置いとけやァーーー!!!」(無茶ぶり?)

視聴前、みぞれと希美の物語 との情報しかなく、時間も確認せず、
短いショートSTORYだとおもって観始めました。

あれ? みぞれ・・ちゃん?
超麗しくなってない? 髪の毛とか制服とか、ちょ!!・・すごいんだけど。

あれ? こんなに脚 細かったっけ?
10頭身もあったっけ?! ケェェェェーーーーーーーー!!!
お姉さんは聴いてません。。

ちときになるのは
いままでの京アニの黒髪美少女に「似てる。重なる」。。繊細な美しさ だが。

■観終えて
私、みぞれと希美の中学時代。つまりユーフォ2の過去にスポットを当てたショートSTORYだとおもってた。全然違った。。ユーフォ2の後の話じゃん!!
つまり、『あすか達が卒業した後の新生吹奏楽部』。これ劇場版だけど、ユーフォのひとは絶対観なきゃアカンでーーーー!!!(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)


私、当作の余韻で
ノンフィクション作家 沢木耕太郎の「敗れざるもの達」を思い出しました。
陸上、野球、ボクシングなど、"栄光に輝く眩しい光"。その影には、その舞台から消えた多くの星達が必ずいることを。

もうひとつ 思い出す。
高校時代、私と種目は違うけど、実力があって、嘘の言葉をならべない、そうするなら黙ってる、みんなの前で話すことは、いつも「優等生で雄弁」な部活の同期のこと。
私は弱い選手で、この同期の「雄弁さ」が "いつも、ずっと"苦手だった。

私は、黙って努力するタイプがすきで、その同期とは、お互いに距離をとっていた。

卒業後、部活関係の結婚式に同席した時、そのはなしにふれて、『あれは(私にとっての雄弁さ)、いつも"自分に対して言っていた"言葉だ。』 と。 そうだよ なー ととれた。。


最初は、みぞれの"いつも独りで居る"。コミュ障?が気になった。
クラスや大所帯の部活で、いじめや馬鹿にされててもおかしくないと。
でもその描写はユーフォ2にも当作にも一切無い。("いじめ的"内容は恣意に削除してる作品)

そして終盤に
新山先生に助けられ、みぞれは リズと青い鳥 の絵本・物語の難解だった解釈に届く。

う〜ん。。
もし、明朗活発な希美が、今作のみぞれの 卓越した、妬まれるコトもある才能であったなら?
現実世界にはこのパターンも有り得る。

けど、今作のように、
多くの"ふつうの子達"からみれば、学校では最下層たる みぞれが、その才能をもっている。
『劣等感に溢れ、自分はダメ人間』だと"言い続ける日が無いような人間は、
《芸術方面》には長けるケースがあるのが現実。

逆に、このタイプは、《運動系》ではトップ選手足り得るケースがあるのかな??


希美が、みぞれの解釈し、得た才能・溢れる演奏に、涙するシーンからがクライマックス。。
思い出した「敗れざるもの達」のように。。

ー 希美は『敗れる者』だ。

勝負の世界で栄光を掴む一握りの選手になるにはあまりにひとが良く、優し過ぎる。
だけど、周りの多くのひとに気配りができる。会社や病院保育園、サラリーマンでその才能は発揮されるだろう。人生においては「敗れたわけではない」と信じたい。


みぞれは ずっと!休まず!
音楽に、楽器に、そして挫折しそうな自分と戦って 苦しんで 悲しんで 日々誰よりはやく音楽室に入り 恐らく一日中、休日も・・"対峙してきた。" 結果は運だろうけど、過ごし方は超一流の、ストイックな、孤独なアスリート。おかしくない。

■音楽は
もっかい ちゃんと聴くぞ〜〜♪♪(๑•̀ㅂ•́)و✧(๑•̀ㅂ•́)و✧
人間劇にハマリ込みよくわからんかった。笑

■徒然
テレビ版を超える描画。登場人物も風景も"美しすぎ"て、ユーフォ3は初心に帰らんとね。(=o=;)
& 太い脚カムバッ!!٩(๑´3`๑)۶

3年生がいなくなって、下級生だった 久美子、麗奈、みぞれ
トップ奏者に覚醒してきたね。

・・・男性諸君(´Д⊂ヽ(´Д⊂ヽ(´Д⊂ヽ
勝ち気、勝負にこだわる、噛みつき葛藤する男の子
一人はでてきてほしいな
女の子だけでも完結するけどね

相変わらず リアリティあって 思い出させてくれる
とっても繊細で 憐憫な とってもいい作品です。

投稿 : 2020/10/07
閲覧 : 316
サンキュー:

26

ネタバレ

岬ヶ丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

歌にしておけば忘れないでおけるだろうか

 「響け!ユーフォニアム」で描かれる物語のなかで、個人的に2期のみぞれと希美のエピソードは女の子同士の独特の関係性というのもあったのか、個人的にあまり共感というか納得できない部分が少なからずあった。

本作では、二人の関係を童話の登場人物と重な合わせながら読み解くことで、お互いの性格や間柄が分かりやすく伝わってくる。この童話の登場人物をどう・誰に見立てるのかという視点の切り替えが、作品の大きな鍵になっている。

 山田監督作品の特徴でもある女の子同士の関係性を描くという点では、この二人はうってつけのキャラクターだったのだろうか。二人の関係性についてはより深掘りがなされ、二人の関係の大きな変化と一つの区切りまでを切り取っている。

さらに終盤のみぞれのオーボエの演奏は、みぞれの決意と、希美との間にあるもの、あるいはないものの存在をとても残酷に、しかし美しく響かせる。ハッピーエンドがいいという希美の言葉に対して、「ハッピーアイスクリーム」というみぞれの最後の言葉に、ああいいなあと思った。

 違う道を歩くことになる二人だけれど、別々なんだけどでも一緒に、という未来を感じさせるラストは素晴らしかった。

 イメージソングを手掛けたHomecomingsの「Songbirds」は歌詞がとても印象的で良曲だった。「歌にしておけば忘れないでおけるだろうか」という歌詞からは二人が過ごした青春の一つの形、その瞬間を歌に大切に留めておきたいという強い思いが込められているような気がした。

視聴日 19/5/12

投稿 : 2020/09/25
閲覧 : 198
サンキュー:

7

ネタバレ

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

TVアニメ「響け!ユーフォニアム」サイドストーリー

2018.04.18----------
試写会に参じました。

内容には触れませんが特に大きな問題はないので楽しめると思います。

ただキャラ設定や背景など説明は全くありませんのでTV版の1期2期を観てないと(?_?)になるかと思います。
また作画で好みが分かれるかもしれません。

内容、作画とも私の予想の上を行って喜悦、
今迄観た京アニ作品の中でも評価は高い方に入ります(^ω^)

唯、挿入曲はもちろん素晴らしく良かったのですが
エンドロールはもう少し頑張って欲しかった。
余韻を楽しむ感じの曲じゃなかったのはちょっと残念。

投稿 : 2020/08/15
閲覧 : 413
サンキュー:

46

ネタバレ

USB_DAC さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

because of love.

★物語
・原作 : 武田 綾乃 ・監督 : 山田 尚子
・脚本 : 吉田 玲子  ・演出 : 石原 立也(他4名)

TVシリーズ「響け!ユーフォニアム2」の続編にあたる原作『波乱の
第二楽章』の前後編を基に制作されたスピンオフ的劇場映画。進級後の
新たなコンクール自由曲に決まった「リズと青い鳥」。その第三楽章で
ある『愛ゆえの決断』のメインパート鎧塚みぞれと傘木希美の二人に焦
点を絞り、美しい童話(オリジナル)の世界と重ねながら、互いの揺れ
る想いや葛藤、そして依存への決別と新たなる旅立ちを描く。

非言語表現に伴う情報量の多さに一瞬戸惑うものの、物語との結び付き
は比較的理解し易く、それ故にひと時も疎かに出来ないほど画面を注視
する必要があり、何気に緊張を強いられる作品。一新したスタッフ編成
を見ても分かる通り、本編とは一線を画した、よりリアルさを追求した
写実的な作風に仕上げられています。


★作画
・作画監督 : 西屋 太志(他8名)
・美術監督 : 篠原 睦雄
・色彩設計 : 石田 奈央美

物語同様この作品は新たな京アニクオリティとスタイルを目指したもの。
単なるリアルな作画というのとはまた違い、効果として描き込む静物や、
誰も居ない空間にまで表現力を生み出すリアリティ。まるで実写映画の
映像を通して伝わってくる様な時間の流れ、生きた空間と言うべきモノ
をこの作品からは感じられます。またキャラデザもシリーズとは違った
リアル志向に振ったデザインで、より作風に見合うものとなっています。


★声優
・鎧塚 みぞれ : 種崎 敦美  ・リズと少女 : 本田 望結
・傘木 希美 : 東山 奈央  ・剣崎 梨々花 : 杉浦 しおり

童話のCVに本田望結さんの起用は上手い下手は別として、メリハリと
いう点に於いては正解だと思います。極普通の少女が童話を読みながら、
双方の役に成り切り演じているという印象です。

また今回新たなキャストとして登場した剣崎梨々花役の杉浦しおりさん。
なかなか味のある印象的な演技をされていました。個人的に今後も注目
していきたい声優さんの一人です。


★音楽
・主題歌 :「Songbirds」 / Homecomings
・ECS :「girls, dance, staircase」/ 牛尾 憲輔(歌:小野 豊)
・音楽 : 牛尾 憲輔、松田 彬人(劇伴協力:洗足学園音楽大学)

演奏シーンとしては、二人がメインパートとなる第三楽章「愛ゆえの決
断」のみ。しかし実際は全楽章で20分(コンクール用は編曲)を優に
超える壮大な世界観を持つ合奏曲。ハープやコントラファゴットなど大
型楽器を用いた編成はかなり本格的で、聴き応えはなかなかのものです。

そして一際耳を惹く「girls, dance, staircase」。
ボーイソプラノの神秘的且つ無垢な歌声と儚さ漂うその歌詞は、とても
印象的な一曲でした。


★キャラ
・キャラクターデザイン : 西屋 太志

シリーズで好評だった所謂アニメ的美少女要素を極力抑え、それでいて
しっかりと個々の特徴を携えたキャラ達。台詞もトーンをやや抑え気味
にして作風に合せた穏やかな雰囲気となっています。また女性らしさを
感じる仕草や癖がふんだんに描かれ、シリーズには無い魅力を持つ作品。
繊細な表情から伝わってくる巧みな心情表現は実に見事です。



[感想]

ゆっくり歩きながらふと立ち止まり、後を振り返っては校門を見つめる。
そして校舎に繋がる階段にゆっくりと腰を下ろし、両足を延ばしながら
溜め息をつくみぞれ。

いきなり冒頭から求められる集中力にやや緊張が走る。

響く鳩の鳴き声とテンポの違う足音。やがて風がそっと木々の葉を揺ら
し始め、それと同時に彼女の心が騒めき出す。聴き慣れたいつもの足音。
そう、大好きなあの人が近づいて来る。教室までの短い道のりをまるで
小鳥の様に踊り歩く希美。そんな彼女をただ見つめながら、必至に歩幅
を合わせその後を追うみぞれ。

明らかに異なる歩くリズム。それは互いに惹かれながらも擦れ違う二人、
これからの波乱の展開を予感させるもの。台詞がほぼ皆無な中での巧み
な演出と音だけで感じさせるこの心情表現に、徒ならぬ気配を感じます。
また授業中の「互いに素」の語りも、共通点を持たないが故になかなか
噛み合わない二人の関係という意味合いを色濃く示している気がします。

まるでガラス細工の様な脆さと儚さ。そんな二人の関係。人見知りせず、
クラスで孤立するみぞれを何となく部に誘った希美。そんな彼女が突如
開花し奏でる至高の音色につい涙してしまう。そのあまりに残酷で重い、
胸に深々と突き刺さる絶望という名の一矢。凡人が幾ら努力しても絶対
に手にすることは出来ないと言われるたった1%の才能を知ってしまう。
そして「無闇に積み重ねた努力は必ず崩れる」。高みを目指す者の多く
がいつか味わうことになる現実です。しかしその悲しみを乗り越え受け
入れることもまた、自身の成長の為には必要な事なのかも知れません。

そしてラストの「Happy Ice Cream!」

相変わらず演奏以外では全く噛み合わない二人。しかし、みぞれが語る
その台詞は、漸く人との良い意味での競い合いを意識する様になった証
とも受け取れます。完璧では無いにしても、少なくとも以前の依存体質
から無事に抜け出し多少でも自己主張が出来る様になったことは、自身
の才能を開花させたことよりもずっと、彼女の今後の人生に於いて大変
重要な出来事だったはず。そんな気が何となくするのです。

愛ゆえの決断。これからそれぞれの大学生活、そして社会生活を送る上
で、恋であれ何であれ、いつか必ず訪れるだろう至福を感じるその瞬間、
改めて互いの出会いと決別を思い出し、共に送った高校生活に笑みを浮
かべ懐かしむのではないでしょうか。

総勢60数名からなる北宇治吹奏楽部員それぞれにドラマがある。実際
それを描き出したら正直キリがないと思いますが、それに興味を抱ける、
または何となく思い描いてしまうほど充分な説得力を持った作品でした。

本来ならシリーズを観てからの視聴がセオリーでしょうが、逆でもまた
違った楽しみ(本編との比較)が味わえる作品だと個人的には思います。




以上、拙い感想をお読み頂きありがとうございました。

投稿 : 2020/08/03
閲覧 : 266
サンキュー:

26

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まつまつ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ユーフォ本編のスピンオフ作品ではあるが、別作品? とも思わせられる内容

響けユーフォニアムの鎧塚みぞれと傘木希美の関係に焦点を当てたスピンオフ作品。

最初観た瞬間から作画や描写の雰囲気が本編とはかなり異なっており、みぞれがみぞれだと気付かなかった。
リズと青い鳥の話とか、思わずあれ?スタジオジ〇リ作品観てるのかなと思ってしまった。

意図的な部分もあるのだろうが、同じ京アニ作品でも監督が変わるとこうも変わるのかと感じた。(決して悪い意味では無く)

本編の3年が引退して新年度からの話なので、本編を見た方が人間関係とかはより分かると思うが、未視聴でもこれはこれで単独作品として観ても面白いのかな。

でも本編で希美と仲直りして、前向きになり、少し明るくなったはずのみぞれがまた暗いキャラに戻ってしまった。
最後にみぞれが希美に完全に依存していて、自分だけの特別な存在として束縛していたいという気持ちから、好きだからこそ自由に羽ばたかせてあげなくてはいけないという心情に変化していった場面は良かった。

コミュ障で友達のいないみぞれにとって希美は優しくしてくれる唯一の特別な存在であるかもしれないが、友達が多く、社交的な希美にとってのみぞれはただの友達の一人という存在だったのかもしれない。
唯一友達だと思っていた存在が離れて行ってしまうかもしれないという不安感や孤独感というみぞれの気持ちも凄い良く伝わって来た。

でも学生時代毎日過ごした友達も社会に出てバラバラになって、結婚とかしたりするとほとんど会う事が無くなるものなんだよなー。
大人になってからもそうだけど学生時代は周りの目が特に気になって流されてしまいがちだけど、人間関係なんて年齢や環境でどんどん変化していくのだから、人の目を気にせず自分の意志で決めて行かなければ駄目だなと今作を観て思ったりもした。

投稿 : 2020/07/23
閲覧 : 258
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11

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O.Y さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ユーフォニアムとは違った感覚で楽しめました[84.3点]

「響け!ユーフォニアム」からすると作画がだいぶ変わりましたね。こちらの作画も悪くなかったんですが、自分はアニメの方の作画が大好きでしたかね、特にみぞれはキャラデザもかなり変わって別キャラみたいに感じてしまいました…。

ただ物語の深掘りの仕方は素晴らしかったです。みぞれと希美の2人の関係を「リズと青い鳥」という童話に重ねることによって、より2人の関係を繊細に描いていました。このアニメはレビューによって色々書きたいのでまた再視聴してレビューしますね。これも視聴から間が空いてますので。とりあえず今は見てきた作品を整理するという意味でレビューを簡単に書きまくってます(笑)

投稿 : 2020/05/02
閲覧 : 252
サンキュー:

15

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STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

続編で、スピンオフで、1本の独立作品でもある

 原作は未読。
 テレビシリーズの「響け! ユーフォニアム」(以後、ユーフォと表記)の続編でありつつ、ユーフォ
2期でクローズアップされた鎧塚 みぞれと傘木 希美を中心に据えたスピンオフ的な側面も持つ
作品。
 ただ、まったくユーフォを知らずに観ても、ある吹奏楽部の二人の少女の話というだけで、
問題なく鑑賞できそうな内容にもなっている。

 ユーフォ2期前半で希美の復帰に際して、みぞれとの感情の行き違いが解消されて一つの解決を
見たが、後半で随所にみぞれの希美に対する依存度の強さが描かれており、みぞれの心の有り様と
いう根本的な解決はされていない印象があった。
 本作ではそれが露見してきた感じで、それを克服していくみぞれの一人立ちの物語といった感じ。
 この二人の心情や立ち位置を作中劇である「リズと青い鳥」のリズと青い鳥に置き換えていく
描かれ方がされるが、当初みぞれが自身をリズに置き換えていたのを、見方を変えて青い鳥に
置き換えていくことでくだりは、視点を変えることで可能性が広がることをうまいこと映像化
しており、凄く良い。

 作中ではみぞれ視点が多く、そのためにみぞれという人物の雰囲気が作品そのものに及んで
いるようで、全体的に静的な印象。
 それだけにダイナミズムはないが繊細さに溢れている感じで、それが顕著だったのはキャラに
多くを語らせず、仕草を始めとする映像描写だけで二人の特徴や心情を描く演出で、これが
素晴らしく良かった。

 キャラクターデザインや作画のタッチなどが、ユーフォとはだいぶ異なっており、最初はその
違いに驚かされたが、自身の現状を絵本に絡めていく展開などを考えるとこのタッチは本作には
向いているかな?と思ったり。
 あと本作のタッチの方がみぞれが野暮ったい感じで、こちらの方がみぞれという人物を的確に
捉えているかな?という感も。

 最後に私的なことを書きますが、本作の劇場公開時は公私共に多忙で
「まあ、いずれ観ればいいか」ぐらいのスタンスでそのまま来ていたのですが、最近
「劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」(以後、劇場版と表記)を観たら、
楽曲「リズと青い鳥」におけるみぞれと希美の演奏シーンの描写が気になり、慌てて本作を
鑑賞することで、劇場版の二人のシーンに対してもある種の納得感ができました。
 自分の場合は鑑賞順が逆になってしまったが、発表順に鑑賞した方がいいみたい。

2019/05/12
2020/04/04 誤字修正

投稿 : 2020/04/04
閲覧 : 289
サンキュー:

21

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ミュラー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

音楽って本当に素晴らしいですね

ようやく見れた!
「響け!ユーフォニアム」の続編の位置づけにある本作品だが、見た感じはほんとに別物。これだけで完結した、恐ろしく完成度の高い、珠玉の名作であった。ナレーションは無く、全編に音楽が流れ、全体で1つの曲を奏でているイメージ。本編のユーフォニアムシリーズの中の世界でありながら、全く別の世界を描き出していた。
PV等を見たときには、キャラデザインが全然ちがうじゃん!と思っていたが、これは完全にリズと青い鳥のお話。キャラが違うのはワザとだろう。水彩画のような画面イメージにぴったりで、すごく良かった。鎧塚さん、かわいい!
対照的に、楽器はあくまでもリアリスティックに描かれ、影の主役としての存在感を示していた。
ユーフォのシリーズでいつも感心するのは、音楽の表現の素晴らしさ。鎧塚さんが、青い鳥を認識して覚醒したあとのオーボエソロは、本当に鳥肌もの。知らずに涙があふれてしまった。
クラリネットとオーボエの掛け合いを、トランペットとユーフォで表現するとか、鎧塚さんと傘木さんの演奏のうまさを途中で逆転させるとか、本当に吹奏楽をよく知らなければできない演出には舌を巻いてしまう。演出がうまいのだろうが、楽器をよく知らない人でも、うーんそうだなあと思わせてしまうところがまたすごい。
最初から終わりまで、息つく暇も無く見てしまった。こんな素晴らしい作品を作ってくれて、感謝しかない。本編の響け!ユーフォニアムに比べたら、全体に静かすぎて、退屈に思う人もいるかもしれないと危惧するが、私はこういう映画こそ評価されるべきと思う。個人的には、本編よりもこちらの方が作品としての完成度がはるかに上だと思っている。
本当に見てよかったと思える作品だ。

蛇足ながら、ユーフォニアムの世界なので、登場人物につき、簡単な感想を

・デカリボンちゃん(吉川優子)
⇒あなたが部長とは!しかも責任感もってりっぱに部長をやっているとは!一番成長したんじゃないかな。
・夏紀先輩(中川夏紀)
⇒やる気の無かった部員の一人だったのに、立派に副部長をやっている!コミュニケーションは得意そうだったので、部のまとめ役にぴったりかな。
・黄前ちゃん(黄前久美子)
⇒声を聴くだけで安心します。本編の主人公もこの映画ではほとんど出番なく。きっと低音パートを持ち前の性格で支えているのでしょう。
・高坂麗奈
⇒あいかわらずのセンス。鎧塚さんの欠点を指摘し、覚醒のきっかけを与えた。
・新山先生
⇒本編では影が薄かったが、この映画では主人公に次ぐ重要な役割。鎧塚さんを覚醒させた人物
・瀧先生
⇒本映画ではフォーカスが当たらない位置。相変わらずの手の演技は素晴らしかったが、楽器の演奏には勝てないね。
・北宇治高校吹奏楽部
⇒本編での優秀な上級生が居なくなったが、高坂さんや鎧塚さんのような全国レベルプレーヤーがおり、レベル的には全国に行けるだろう。しかし金賞をとるには、何かもう一歩足りない気がする。

すっかり鎧塚さんのファンになってしまったが、傘木さんも憎めないのは事実。共に未来に羽ばたいて欲しい。
何回でも見返したい、そんな作品でした。


追加したいキャラがあったので、追記
・剣崎梨々花
⇒鎧塚さんのオーボエパートに入ってきた1年生。この映画で初出だと思う。寡黙な鎧塚さんをダブルリードの会に誘い、心を開かせた新人。容姿や言動に似合わず、とてもクレバーな子だと思う。じゃなきゃダブルリードの会のリーダーやらないよね。こういう子、好きだなあ。
・図書館委員
⇒エンドロールに載っていないので、誰が演じているのかわからないが、人の神経を逆なでするような単調で淡々とした話し方をして、うまいなあと思った。

レビューをいくつか見ていたら、百合作品と評する方が多かったが、私はこの作品は、決して百合ではないと思っています。

投稿 : 2020/03/15
閲覧 : 367
サンキュー:

32

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画王 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

JKに心が洗われる

 「リズと青い鳥」という物語になぞらえて、二人のJK(みぞれと希美)のすれ違う思いを描いたアニメです。吹奏楽部の青春ドラマという要素は少ないので、ドラマの読み解きを楽しむ映画ではなく、二人の友情に焦点を当てたスピンオフの短編アニメという感じです。しかし、脚本は分かりやすく、すべての登場人物に優しさを感じられる温かみがあるので、短編の物足りなさを超える充足感を味わえます。
 自分の思いを伝えることが苦手なみぞれと、誰とでも打ち解けることができる希美が、吹奏楽のソロパートの掛け合いや進路に悩む過程で、お互いの友情に疑問を持ちます。そして、周囲の人達に助けられながら、それを克服していくという展開です。言葉にすると結構クサいのですが、それをしんみりと心に浸透させることができるのはアニメのいいところです。
 全身全霊をぶつけるみぞれの告白に、一線を越えた何かwを感じることもできます。ですがあの告白を、希美の怒涛の自己否定を全力で打ち消すみぞれの友情(優しさ)、と考えれば百合ではないです。みぞれはこの時既に独りで飛び立つ決意をしているし、みぞれの変化を感じた希美が、強引に突き放す必要がないことを悟った描写もあります(希美の自己否定は、みぞれを自分から解放するためのお芝居で、希美が考えた「籠の開け方」です)。自分を悪く見せることで友達を束縛から解き放つという発想は女性ならではですし、それに動じない深い愛を持てるのも女性だけでしょう。キャラデザもオッサンを発情させるような萌え絵ではなく、人間の優しさや嫉妬などの心情を分かりやすく伝えることができる画風になっていて、他アニメにないアプローチだと思います。
 最近はアニメに食傷ぎみでテレビ版を視ていないのですが、時間を作って観てみようと思えるくらいの良作です。

投稿 : 2020/03/15
閲覧 : 202
サンキュー:

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リズと青い鳥のストーリー・あらすじ

北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当している鎧塚みぞれと、フルートを担当している傘木希美。

高校三年生、二人の最後のコンクール。
その自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。

「なんだかこの曲、わたしたちみたい」

屈託もなくそう言ってソロを嬉しそうに吹く希美と、希美と過ごす日々に幸せを感じつつも終わりが近づくことを恐れるみぞれ。

親友のはずの二人。
しかしオーボエとフルートのソロは上手くかみ合わず、距離を感じさせるものだった。(アニメ映画『リズと青い鳥』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2018年4月21日
制作会社
京都アニメーション

声優・キャラクター

種﨑敦美、東山奈央、藤村鼓乃美、山岡ゆり、杉浦しおり、黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、桑島法子、中村悠一、櫻井孝宏

スタッフ

原作:武田綾乃(宝島社文庫『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)、監督:山田尚子、脚本:吉田玲子、キャラクターデザイン:西屋太志、美術監督:篠原睦雄、色彩設計:石田奈央美、楽器設定:髙橋博行、撮影監督:髙尾一也、3D監督:梅津哲郎、音響監督:鶴岡陽太、音楽:牛尾憲輔、音楽制作:ランティス、音楽制作協力:洗足学園音楽大学、吹奏楽監修:大和田雅洋

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