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「 DEVILMAN crybaby[デビルマン クライベイビー](Webアニメ)」

総合得点
75.9
感想・評価
328
棚に入れた
1053
ランキング
756
★★★★☆ 3.9 (328)
物語
4.0
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.8

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☆の総合評価
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DEVILMAN crybaby[デビルマン クライベイビー]の感想・評価はどうでしたか?

シン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 5.0 作画 : 1.0 声優 : 4.5 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

大人のアニメ

永井豪さん漫画家デビュー50周年を記念作品。「Netflix」にて全世界190カ国に、日本語のほか9ヶ国語の吹き替え版と、25ヶ国語の字幕版で配信されたアニメです。
本作視聴に当たって原作をご存知の方は大人の方が多いと思われますので、湯浅監督の力量や原作へのリスペクトを感じながらご視聴なさって下さい。現代風にアレンジされた本作は久しぶりの衝撃と印象を残してくれる作品だと思います。
原作や物語をご存知で無い方は心して視聴して頂きたい作品であり、特に未成年の方はおすすめ出来ない作品となっております。

あにこれ的に表現すれば、成分としてはエロとグロ成分がたっぷりと詰まっており、これらに耐性の無い方は見るに堪えないものとなっております。テーマとしては悪魔と人間との境について考えさせられる大人なテーマとなっております。キャラクターの一人一人に人間らしさや悪魔らしさが見て取れる作品ですが、作品側の表現の為の駒であり、愛らしさやキャラクターが独立しているとは言い難いので低評価とさせていただきました。作画や演出については湯浅監督の独創的な表現に引き込まれる作品でしたが、少し記号化され過ぎている様に感じられ一歩下がった視点で観てしまうシーンも多かったです。(例えるならゲルニカを見せられて凄いでしょ!って言われた一般人の気持ち)

みんな大好きジャパニメーション!の対局的な位置にある作品なのかも知れない作品であり、またアニメ業界に革命を起こすかも知れない「Netflix」の作品と言う意味では非常に興味深い作品です。

投稿 : 2018/04/14
閲覧 : 245
サンキュー:

5

ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 2.0 作画 : 2.0 声優 : 3.0 音楽 : 2.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

正直に告白しよう。この湯浅政明は、ダメな方の湯浅政明だ。

私にとってのバイブルとも言うべきデビルマン。
多分100%のリスペクトで臨まれないと、この作品についてはどのような2次展開も、容認できない自分が間違いなく存在する。
それほどに、永井豪先生の漫画作品は重く大きく唯一無二の作品だ。

だから、「初めて原作のエンドマークまで映像化を実現出来た」という部分はおおいに評価したいが、
中身は到底納得できるレベルにはない。

湯浅監督には「ピンポン」みたいないい方の映像化もあるが、これはやっちゃダメだった、と思う。

何が納得出来ないか。

まず画風がNG。
ピンポンはグッジョブだったが、あれは松本大洋の原作絵との親和性が高かったから。
松本漫画も湯浅キャラも基本は「戯画」だから馴染みがいい。
で、翻って、デビルマンではどうか?
私には親和性ゼロにしか見えなかった。
永井原作が、それまで築き上げた「ギャグ絵」での評価をかなぐり捨ててまで挑んだ「劇画タッチ」が全く生かされていない。
湯浅戯作絵では、原作のもつ「鬱で暴力的で性的かつ神聖な激しい世界観」に全く近づけない。
湯浅氏が自らの作風を捨てる必要は全くない。
扱う原作の選択を間違えないことだ。

次にリメイクならではの設定アレンジがNG。
50年近く前の作品が原作なら改変の必要な部分も出て来るのは当然だろう。
それでも安易なやり方はいけない。
例えば、{netabare}デーモンが人類を凌駕するために採った「合体攻撃」の解釈。
「無差別合体は、ある条件が整わなければ、合体側・被合体側ともに拒絶反応での死」という冷厳な事実が前提として明確に存在しないと、「恐怖の遺産」としてデーモンとの合体を受け入れた不動明の覚悟の崇高さが全然おもてに出てこない。
これにリンクするところだが、子供=了と父の問題を、学者=了と先輩学者の問題にするなんて、サスペンス要素がゼロになる改変は、尺の都合だとしても全然ダメだ。
明が従える不良連中を、ラッパーにしちゃったのも作品を貶めている。美樹を陸上部にしてしまう改悪や、湯浅氏は必ずやってしまうオリジナルキャラの無駄出し(今回はカメラマンとその母親、みたいなところ)と同じで、変に話を弄って結局つまらなくしている。{/netabare}

そして何と言っても展開がNG。
デビルマンという作品自体が、性と死を色濃く映し出したものなので、{netabare}そこを強調するのは構わないし、デビルマンとシレーヌの性合を描くのも原作者の漫画誌掲載当時の宿願だったからいいのだが、それはあくまでもレイプであるべきで、シレーヌがアモンに恋しているかのような表現は劣悪にすぎて、到底あり得ない。
さらにとどめが、クライマックスの、原作にあった牧村夫妻の拷問の果ての死をスルーしてしまって、「デビルマンと人類が決別する、その瞬間の明の激情」を描かないとか、美樹の残酷な最期と明の報復のカタルシスを、ガチな恐怖とグロテスクで描かないとかいうのは、心の底から「腑抜けか!」と罵りたい。{/netabare}



今期、銀英伝とかあしたのジョーとかの名作リメイク・リブートが続いているが、
それぞれ原作厨がいる作品ながら健闘していると思うけれど、
デビルマンは、格別の作品だと思うし、原作を100%リスペクトしていない限り、手をつけてはいけなかった。

そういう風にしか、やはり思えない。

投稿 : 2018/04/09
閲覧 : 685
サンキュー:

32

とらお さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

悪魔だなっ!金を出せっ!

↑のばーちゃんの台詞が人のエゴイズムを集約してすばらしい
同じくババアである「パないのう」しか思い浮かばないほどのインパクト
どっちもババアが言わなさそうなワードがよかったのかもw

全編エログロでスピーディー展開&絵は線の少ないポップな海外アニメスタイル
進撃などウケたから残酷描写から選んだのかもしれません
ハデさ大好き外国向けな作品チョイスはさすが海外企業のネットフリックス

三浦健太郎が影響受けた作品ということで、
デビルマンがあったからベルセルクはベルセルクになったのだ、
という見方も出来てよかったです

デビルマンを知らない世代には刺さる作りに思えます

投稿 : 2018/04/08
閲覧 : 264
サンキュー:

4

ネタバレ

もの さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5
物語 : 1.5 作画 : 1.5 声優 : 1.5 音楽 : 1.5 キャラ : 1.5 状態:途中で断念した

ヒロインとラッパーがウザい

ヒロインがひどい殺され方するところくらいしか面白いところがありませんでした。
1970年頃はこれが斬新だったのかも知れませんがストーリーは陳腐です。

投稿 : 2018/03/31
閲覧 : 299
サンキュー:

1

ネタバレ

りゅぅぞぅ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 2.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

序盤はただのセクロスアニメかと思いきや・・・  終盤にかけて 人間の醜いところを表現したアニメ

 ジャンル セクロス + 人間の醜悪


 ストーリー

 不動明・・・

泣き虫で お人よし であった・・・

 ある日、旧友 リョウが現れ

サバトと呼ばれる 悪魔を降臨すると言われているパーティーに

2人でいき・・・

 そこから物語がはじまる



 物語

 悪魔・・・ デビルマンとなった

不動明は全てが変わった  肉体・精神ともに

別人へと・・・


 何で陸上部に入っているんだ?という存在から

学園の人気者に


 ただ、同時に 悪魔との闘いが始まったのだ



 キャラ

 好きなキャラトップ3

1:ククン

 あのミーコと仲良くなった メガネのラッパーね

何気に ラッパー関係の ラップ

 名曲だと思うのは俺の気のせいかい?



2:ミーコ

 純粋な女から カメラマンにペロンチョされてから

とんでもない ビッチに(゚Д゚;)

 全くなんてやつだ  ただ、元がいいやつだから

最期は良いキャラで終わっていたね



3:特になし





 感想

 スロットでも気になっていたアニメだったけど

序盤は驚きました・・・

 えっ、セクロスアニメ?

やばない・・・  どう終わるのかって思いましたが

納得する終わり方でした(゚Д゚;)

 個人的な感想ですが

人間は汚いってことを教えてくれるアニメだと思います

(私自身、ヨゴレなので 熱くなれるアニメでしたww)

投稿 : 2018/03/27
閲覧 : 240
サンキュー:

5

ネタバレ

北山アキ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

物語が古臭いと感じた

物語、特にテーマ設定とその描き方に古臭さがあったけど、これは原作由来なのだろうと思う。
(湯浅監督の「ピンポン」の原作もそれなりに古いけど、物語として古臭くはなかった。これも原作由来だと思う。)

アイデンティティ(自己同一性)は普遍的なテーマだけど、ある時代の善悪観はファッションなので、後者から前者にアプローチすれば古臭くなるのは仕方ないところでしょう。
敢えて言えば、冷戦体制を一神教的善悪観になぞらえる時代性を引き摺っていて、ダイバシティの現代における悪意にアップデートできていないみたいな印象。
SNSやらラップやら小道具を入れてどうにかなる部分ではない。
{netabare}
せめて、核戦争による人類滅亡シナリオを想起させるあの時代チックなラストはもうちょっとなんとかならなかったのだろうか?{/netabare}

面白い面白くないと、新しい新しくないを、混同するつもりはない。
大きい構図は大味なプロパガンダっぽくて、あまり魅力的ではなかっただけ。
(「健康」や「環境」みたいな現代的なプロパガンダの物語を見たいと言っているわけじゃない。)

投稿 : 2018/03/25
閲覧 : 255
サンキュー:

4

ネタバレ

setuchi さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

観なきゃ良かったw

原作は知っていた。非情なお話であることも充分知っていた。
覚悟して観たけど、覚悟が足りなかったらしいw
見終えた後、気持ちがどん底まで落ちてしまったw
ということはアニメとしては成功だったのかなと思う。

怒り、憎しみ、悲しみ、恨みつらみ云々この世にある全ての負の感情、
主人公が対峙するこの全ての負の感情を
アニメを観てる側にもガッツリ感じさせてくれる。
原作絵ではそれほどではなかったシーンが
現代のアニメの絵でそれはもう。。

残酷なお話なので耐性の無い方はあまり観ない方が
よろしいかと思います。

それでも、メッセージ性の強い物語なので
どういうお話なのか知らない人には
知っておいて欲しいかなと。。思ったりもする。。

いや。。ほんと。。きついです。。

投稿 : 2018/03/25
閲覧 : 254
サンキュー:

6

ネタバレ

一言 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 5.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

人間を人間たらしめるものって何だろう

一言で言えば、人間の醜く汚く脆く弱い、負の部分に真摯に向き合ったアニメ。


この作品を語る語彙力を持ち合わせていない…いや、語れるほどこの作品を理解しきれていないので長文レビューは控えようと思っていたのだが、、多分一度語ってしまえば長文になってしまうのだろう。

自分はデビルマンという作品を見るのは初めてで、世代も全く違う。
幼少期流行っていたアニメと言えば、おジャ魔女どれみとか、犬夜叉とか、そんな世代です。

まず興味を持ったのは、ほとんどの人が何かしらこの作品に衝撃を受けている点です。神アニメ、とかそんな容易な言葉を使っている人があまりいない。
のにも関わらず、確実に、言葉にしがたい何かを皆が感じて、衝撃を受けている。

衝撃的トラウマ、絶望感、やるせなさ。
そのような言葉に興味をそそられ、視聴。

キャストも深夜アニメでもよく見かける有名な声優で安定感がある。
作画は少し古臭く、ちょっと単調なタッチではあるが、独特の世界観があってよい。
一体どんな話なんだろう。そう思い、一話を見た。


別の意味で衝撃があった。

一話を見たとき、視聴をやめようかと何度か思った。
{netabare}
ネット限定ということもあり、女性の乳房は普通に解禁。さらに普通なら雰囲気や、上半身だけ、一部分だけの描写なのに、普通に性行為がなんの規制もなく、画面に広がっている。

エロい、とかそういう単純な言葉ではない。
生々しい。非常に生々しい。

この監督の、独特で、単調な絵柄なのにサイコパスチックな色使いとも相まって、すごく気味の悪い、気持ちの悪いものに見えた。
自分のような深夜美少女アニメのラッキースケベを見て満足しているようなオタクには、ちょっと刺激が強すぎる。。
というより、一話だけで判断するのはよくないかもしれないが、これの何が絶賛されているんだろうか…?
{/netabare}
こんなものがずっと続くなら、自分にはちょっと早すぎる作品なのだ。
やはり保留にしよう。。

そう思いながらも、2話を見て。3話を見て。
この話がどのようになるのか気になってしまって、どんどん見てしまい。
他にも見たいアニメが溜まっているのにもかかわらず、一つの作品を一気見したのは初めてだった。


というわけで、見終えてみて。

冒頭でも述べたように、完璧には理解できていない。
原作も知らないので、伏線などを完全に理解できていないし、なにぶん理解力の低い人間なので、意味を理解しないまま見終えてしまっているシーンはいくつかあると思う。


しかし。何かとんでもないものをみた、そんな衝撃が走った。
見て良かったーとか、神アニメだったー、とか誰かにおすすめしたいなーとか。
そういう感情はない。

ただ、凄い作品を見た。目の当たりにした。

見終えてから数時間、何度か気になるシーンを見直してみたり、感想レビューを片っ端から読み漁ったりした。
それでもまだ、うまく言語化できそうにないが、出来る範囲で述べてみる。(前置きが長くて申し訳ない)



この物語は、タイトルでも述べているように、「人間を人間たらしめるものとは何か」を描いている。
そのために、人間の汚く、醜い部分をこれでもかというくらい見せつけている。
{netabare}
動物のようにおこなわれる理性のかけらも感じられない、本能のままの行為である性行為や、自慰行為などの様々な性に関する描写、一話を見たときは嫌悪感しか抱かなかったが、これも作品を語る上では重要で必要なものだったのだと今になってわかる。
なぜなら、人間がシンプルに本能で行っている数少ない行為だからである。
「しかし人間には理性がある」を語る上で、動物的本能のままの行為を描くことは必須だ。


人間には心がある。思いやりがある。
他者の為に涙を流せる、不動明はまさしく人間そのものだ。
人格や見た目が変わっても、人のために涙を流す優しい人間であり、本能のまま人間を殺害する悪魔から、人間達を守ろうと必死だった。


しかし、人間はどうか。
サタンの記憶を取り戻した飛鳥了が、悪魔になる前の人間を殺さねばならない、と言ったことにより、パニックになり、次々と人を殺していく人間。

特に、牧村家の父が、妻を食べている息子を庇うシーンで無残にも殺されているシーンは見ていられなかった。

皆、悪魔が怖い。誰が悪魔なのかわからない。
しかし生きたい。誰だって死にたくない。それが生き物の本能だ、必然だ。
(自殺を考える生き物なんて理性のある人間くらいだろう…)
生きたい、ではどうする?
もちろん、絶望して自殺を選ぶ人間もいただろう。
でも、人間は理性があると同時に本能だってある。


生きたいから、悪魔のような疑いのある人間は殺す。異質なものは殺す。弱い者は殺す。少数派は殺す。
そうして生きるために、次々と排除していく。

果たして、これが理性をもった人間と言えるだろうか?

自分が生きるために、本能のままに暴力を行い、弱い者を倒して生きる悪魔。
そのような悪魔と、何の違いがあろうか?
そのように問いかけられているような気がした。


このことを踏まえると、牧村一家は皆、明と同じ、人間だった。
それも弱くない。強い人間だ。一家心中を選んだり、無差別に殺害をして生き延びる選択をしなかったのだから。

息子を悪魔と知っても、息子を殺さず。娘と父に被害がないよう、息子と二人で家を離れた母親。
悪魔に負け、とりつかれてしまったというのに、涙をいっぱい流しながら母親を捕食する息子。
そんな悪魔化した息子を打つことが出来ない父親。

そして最後、悪魔狩りをしている人間(のような悪魔)たちに、無残にも殺されてしまう牧村一家。


これほどの悲劇があっただろうか。



悪魔は人間とは違い、本能的で、動物そのものである。
暴力衝動を抑えることが出来ず、殺害をする。弱肉強食の世界。
強いやつが残る、弱いやつは死ぬ。単純明快。動物そのもの。

しかし、シレーヌとカイムという悪魔たちは違った。
明を倒すためにカイムがシレーヌのために命を投げ打ち、またそのことに驚いて、愛を感じたシレーヌは、目的であった明を殺すことなく、満足に死んだ。
これを考えると、悪魔にも愛はある…、となる。
ここがまだうまく解釈しきれていないのだが、今の時点で思うに、人間と悪魔は同じとまではいかなくとも、似たようなものだと伝えるためのシーンなのではないだろうか。

となると、愛とは何か。という話に発展していくのだが、あまりにも哲学的になりすぎる故、また自分がそこまで考察できそうにない故、ここでは置いておく。


そして物語の後半。9~10話にかけて。
あの悪魔化した明の映像をみてもなお、明を家族と信じ、人間であるとSNSを通して世界へ向けて主張した美樹。
そのSNSのコメント欄は本当に酷いもので、しかし妙にリアルさがあった。
きっと日頃から自分もネットでそのような人の争いや誹謗中傷をたくさん目にしているからだと思う。

一方、了のところへ向かった明は、悪魔狩りと称して人間を痛めつけている人間たちを見かけ、止めに入り、涙を流す。
まるで悪魔のように人を痛めつける人間の姿をした人間たち。
悪魔の姿をしてもなお人間の心をもって、涙を流し止めに入るデビルマン。

どちらが人間かなんて明白だ。

悪魔狩りは、美樹のSNSでの投稿と平行して、だんだんと治まっていく。。
「人のために泣いて、人のことを考えて そんなの夢かもしれない。でも、そんな心を持っている人なら、それが悪魔でも、人間でも、受け入れます。無条件で愛します。みんながそう思えば、平和が訪れる。私一人が無力でも、一人一人が無力でもみんながそう思えは、世界は一瞬で変わる。」

人間は集団で生きる生き物だから、数の多い方が正解として、異質なものを排除しようとする。
たとえそれが正しくても、正義でも。
それが弱さ。ある意味で、悪魔にはない弱さだと思う。

そんな時、明が助けたデビルマンの一人、幸田が明を襲うのも皮肉だ。
幸田は悪魔に屈さず、己で抑えたが、デビルマンとして人間を守ることはせず、助けてもらった明を裏切ってでも、悪魔側についた。
この幸田というキャラクターを一人とってみても、悪魔と人間は似たようなものだと言わざるを得ない。

幸田の裏切り行為は、ある意味人間らしく、また悪魔らしくもあるように見て取れる。


もうここからは悲劇でしかなかった。
美樹は、陸上界の魔女だという別名が物語の序盤で何度か出てきていた。
最初、魔女という言葉が美樹というキャラクターにぴったりこなかった。どちらかと言えば天使…とは言わなくとも、陸上界のスターとか女神とか。
とても可愛らしく、凛とした、魅力的なヒロインなのだから、こちらの方がしっくりくるのにと思っていた。


きっと、魔女と言う名は、この最終局面に意味を持たせるためだったのだろう。

デビルマンを庇うマイノリティな存在、この異質なものを排除しようと悪魔狩り…もとい魔女狩りをしている人間から、ミーコと共に必死で逃げる。
しかしミーコは傷つき、美樹だけが走る。

この時、悪魔の姿をしたミーコが、人間たちに、「お前たちに問う。人間であること、善良であるということは?正義とは…?」と問いかけるシーンがある。
それに真面目に返す人間などだれ一人おらず、早く死ね!とミーコに銃を撃つ姿。

ミーコの台詞は、このシーンを見ている視聴者への問いかけであると感じた。
人間の定義とは何だろう。
悪魔の姿をしているからミーコは悪魔なのか?
人間の姿をしている彼らは人間なのか?

美樹は逃げ切れるはずもなく。挟み撃ちにされ、背中をナイフでざっくりと引き裂かれ、悲痛な叫び声が広がる。
絶望という言葉以外何もなかった。
この人間に対する怒りとか、美樹が引き裂かれた悲しみとか、そんな生ぬるい表現では到底表せない。
呆然と画面を見つめることしかできなかった…。

明が戻ってきたころには更なる絶望だった。
ミーコや、味方になってくれたラッパーの少年、そして美樹。
皆、手、足、上半身、下半身、生首とバラバラにされ、その体を棒に指しながら、悪魔を倒したぞと踊るように喜んでいるシーン。

ラッパーの4人のうち2人が裏切って、悪魔狩り側へついていたのも、幸田と同じような、人間的な悪魔的なものを感じられる。

これが、明が身を呈して守ろうとした人間の姿なのか?

人間とは、悪魔とは何か?
その問いかけがこのシーンに凝縮されている。

そしてこの作品、ここまできて救いがすでにないのだが、最後の最期まで絶望的だった。
サタンとなり覚醒した了を殺すと言い切る明。
お前のために流す涙も枯れ果てた、というセリフが印象的だった。

明のような、人のために涙を流す人間が。愛する人をすべて失い、その元凶であり、しかしそれでいて友人である了を殺す、という形でしか道が残されていないのが、本当に絶望的だ。

その後、抗いもむなしく人類は当然悪魔たちから滅ぼされ、明が集めたデビルマンたちも、必死に戦うが死に、次々と死に、最終的に了と明のみになる。
了は明に優しく幼少の頃の思い出を話し始めるのだが、明はすでに上半身のみで、目は黒く、唇は渇ききっており、返答はない。死んだのだ。


了についての考察と理解がまだ不十分で、いつから記憶が神にあやふやにされたのかとか、結局目的はなんだったのかとか、一つに絞れないのだが…、おそらく、サタンではなく飛鳥了として、不動明をそばに置きたい…しかし、人間は弱いし滅びる、だからアモンと合体させ、共に生きたいという気持ちが深層心理のさらに深いところにあったのではないだろうか。


しかしそれが何かが分からなかった。
何度も描かれたバトンのシーン、あのバトンを何度渡されても受け取らなかったが、あのバトンとは、愛を表現しているように解釈したい。
家族だったり、友人だったり…そのような他者から愛を受け取り、また自分も他者へ愛を渡す。つなげる。

美樹の言葉を少し借りるなら、マイノリティでも、一人一人が無力でも、他人を思いやって、慈しみ、愛を受け取り、それをまた他者へとつなげる。
そうしたら世界は変わる。
まだ抽象的な解釈かもしれないが、あのバトンに「人間とは何か」の全てが詰まっているような気がする。


最後、了が死んだ明に狼狽し、涙を流しながら「今の俺の気持ちを感じてくれ。いままで俺と一緒にいたことを忘れるな。俺をひとりにしないでくれ」と言ったシーン。

あそこで初めて了は、バトンの意味を理解したんじゃないだろうか。
しかし、受け取らなかったバトンは、落ちたバトンは、そのままで。
明が再び口を開くことは一度もなかった。


一話の冒頭を思い出す。
了が「愛はない。愛などない。故に悲しみもない。そう思っていた」という台詞から始まる。
これは、この最後のシーンに繋がる。

この台詞は、きっと了が明を失ったときに涙を流した時の台詞なのではないだろうか。

バトンを受け取らなかった。
愛はない。愛などない。故に悲しみもない。涙を流したことなんてなかった。
しかし、明を失って気づく。
これは愛だったのだ、と。
友人を失って悲しむ、泣く、それこそが愛だったのだと。



サタン(悪魔)だとか、デビルマンだとか、人間だとか。

果たしてこれらに、明確な違いはあるのだろうか?

自分はまだその答えを出せないでいる。 {/netabare}
自分にはまだ、この作品の全てを理解することはできないのだろう。
これから先も、理解できるかはわからない。
なんせヘビーで壮大なテーマを扱った作品だから、そう頻繁に見返せそうにない。


しかし、短文でレビューしようとしていた自分が、改めて言語化することによって、視聴直後より理解を深められたこと。また、様々な方の解釈や感想を読んで、この作品と自分なりに向き合えたこと。

何時間もこうして長文にしてこの作品への思いを書いたが、この行為こそ、この作品を視聴した意味があったと思う。



物語の内容ばかり語っていたので、他を簡単に。
BGMが凄く良かった。
終末世界感がひしひしと伝わって来るあの物悲しいBGM。
救われない、報われない、絶望感を掻き立て、さらに視聴者を追い込む。
とても良かった。
OPは不気味な感じがものすごくマッチしてました。ポップで不気味な作風とも合うし、頭にもかなり残る。

そしてキャスト。了役の村瀬さん、この方、女性のような声も出せる方なんですよね。{netabare}なのに、ちゃんと冷徹なサタンらしさが出ていたし、何より、両性を持つサタンの声に非常にあっていた。男とも、女ともとれる中性的な声。{/netabare}いい演技でした。声幅もとても広い方ですよね。
明役の内山さんも、 {netabare} 初期明のナヨッとした演技から、デビルマンの男らしい明の切り替え、良かったです。 {/netabare}主人公らしい声質ですよね。
そして美樹の藩めぐみさん。 {netabare}引き裂かれるシーンの断末魔は凄かった…{/netabare}そして、美樹の、男勝りなのにヒロインらしい可愛さが表現されていてとても良かった。


やはりアニメは、見るだけを目的とせず、こうして真面目に考えることこそ意味があるのだろうなあ。
美少女が沢山出るアニメも大好きですが、やはり色んなアニメ作品を見て刺激を受けたいですね。

ここまで目を通した方がいるかは分かりませんが…お疲れさまでした。

投稿 : 2018/03/25
閲覧 : 448
サンキュー:

9

ネタバレ

ひらめ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

つらいお話

{netabare}
物語終盤の、みんなで一緒に食事をしてるシーン。
明の家族がいて、ミキの家族がいる。
みんな楽しそうに飯食べてる。
それをみてニッコリする明をみて
すごく胸が苦しくなりましたね。

あの悲惨なラストをみると
どうしてあんな幸せな世界にならなかったんだって
思っちゃいますね。

あそこで映るのが
変化前の明ってのがまた辛い。
悪魔なんていなければあの風景がみられたんだろうな…
ってつくづく思います。

{/netabare}
悪魔なんていない、
明がデビルマンにならないような、
みんな普通に平凡に暮らす世界を観たくなります。

投稿 : 2018/03/18
閲覧 : 308
サンキュー:

7

バジリコver1.5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

原作を土壌として作られた全く別の「デビルマン」

リメイクやリブートにはブーイングが付き物で何故原作の魅力を損なうのかと問われる作品が多くある。

が、本作はよく出来たリメイクで全く別の作品を作りながらも原作をしっかりとリスペクトしている。衝撃だったのはあの問題作と言われる実写版まで設定を輸入していたことだ(明が陸上部、クライマックスで月が割れる、ラップ要素等)

今では嘲笑されることの多い実写版の設定を引っ張りながらも決して茶化した感じがせず。良いところは生かしてやる!という気概が感じられます
大きな流れは原作通りなんですけれど、テーマが少し原作デビルマンとは違うところに落ち着いていて「お、こうやってまとめてくるのか」と驚かされました。

原作は悪魔は何故悪なのか?人間は悪ではないのか?種族を超えた愛はあるのか?等色んな問いが感じられましたが、本作は愛がメッセージ性として非常に強かったかな

あのラストのサタンのセリフ…美樹から明へのバトンが最後の最後でサタンに渡ったんだなぁ…と感慨深い終わり方になっていて、原作が苦味の強いバッドなら今作はしっとりビターなエンドです。結果はほぼ原作と同じですけれど、演出とセリフが大幅に違うものになっていて、所謂原作通りな作品では無かったです

まあ、リメイクですからこういう時代を今風にしてメッセージを一新するという試みは非常に面白いと思いますよ。

投稿 : 2018/03/16
閲覧 : 221
サンキュー:

7

ネタバレ

teji さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

とりあえず 見終わった

とりあえず 見終わった 

投稿 : 2018/03/16
閲覧 : 251
サンキュー:

0

ネタバレ

がぁべら♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

永井豪画業50周年記念として制作されたアニメーション作品

フドウアキラは居候先の牧村家の娘・ミキと仲良く学校に通う大人しい少年であったが、ある日、親友のアスカリョウから、他の生物との合体能力を持った地球の先住人類「デーモン(悪魔)」が二百万年の眠りから目覚めて復活し、地球を人類から奪い返そうとしていることと、デーモンの研究をしていたリョウの父が、デーモンと合体して心を支配される前に自殺したことを知らされ、デーモンと合体し、その超能力を取り入れてデーモンと戦う話を持ちかけられる。しかし、これを得るには、理性を捨て本能のみで動いている時に憑依させ、かつ、デーモンの意思を正義の心で抑え込まなければならなかった。デーモンに襲われた恐怖で理性を失ったアキラはデーモンの一人であるアモンに憑依され、悪魔の力と人間の心を持つデビルマンとなる所から物語は始まる。
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「デビルマン」の存在は知っていましたが、原作もアニメも見たことがなかったので、とりあえず見てみる事にしました。
とにかく色んな意味で衝撃的デシタ。
絵は独特な雰囲気デス。
ストーリーは重く、深かったデス。
最初はエロテックな場面が多かったデスが、話が進むにつれ、暴力的で残虐性の高い内容になっているので、見る時はご注意下さい。
最後まで、色々と考えさせられるお話デシタ。
後半は涙なしで見れませんデシタ。

投稿 : 2018/03/13
閲覧 : 230
サンキュー:

7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

本当の悪魔を、まだ誰も知らない…

きっと誰もが一度は耳にしたことのある不朽の名作です。
原作者が永井豪先生であること…
身体は悪魔だけれど心は人間のままで、人間を守るためデビルマンは悪魔と戦い続けた…
作品の名前だけでなく、この様な設定だって我々の中に深く浸透していると思いますが、私が原作を読んだのは、もう何十年も前…
しかも、原作も飛び飛びで全部読破した訳ではなかったので、放送が楽しみではありました。

でも、視聴する上で障壁が無かった訳ではありません。
一番の障害は「Netflix」でしか視聴できなかったことです。
きっとこの作品だけしか放送されなかったら、円盤のレンタルまで視聴を我慢したと思います。
でも、調べてみると「Netflix」から発信される作品がまだまだあるんですよね。

毎期必ずアニメが放送されるかが分からないので、見なくなったら何時でも簡単に解約できる事を踏まえ、結局申し込んでしまいましたけれど…
実際に申し込んでみて分かったこと…それは、過去作はもちろんのこと、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「Fate/EXTRA Last Encore」など旬の作品も結構取り扱っているんです。
それに、申し込みプランによってはタブレット端末にダウンロードして移動しながら視聴する事もできるんです。
私のように通勤時間をアニメ視聴に充てている方にとっては、かなり使い勝手の良い機能だと思います。

そして視聴に踏み切ったもう一つの理由…
それは、これまでに映像化された数多くの作品は、原作の最後までを描いたモノではないということ…
そして、この作品でついにラストまで描かれるということ…
もともと原作が発表されたのは1970年代前半…つまりこれまで40年以上の月日が流れているんです。
永井豪先生の50周年という節目がいかに重みを持っているかが推察されます。

こうして本編の視聴に踏み切った訳ですが…
画面を一目見て「どこかで見たようなタッチ…」と思ったら、監督は「ピンポン THE ANIMATION」を手掛けた湯浅政明さんだったんですね。
キャラの躍動感を強調したり、不鮮明なタッチの中に不気味さや奥深さが見え隠れしたりと作画のタッチは独特です。

でも、やはり作品の核は何と言っても物語の内容と展開です…
主人公である不動明の序盤は「翻弄された」という表現がピッタリ…
彼は自ら望んでデビルマンになった訳ではありませんでしたから…

相手を心底思いやれる心…相手の痛みを知る心…
その相手は人だけに留まりません。
そして何より、人のために泣ける心…
自分より相手を優先する心…

こんな眩しい心…身も心も人間で持ちえる人が一体どれくらい存在するのでしょうか…
苦しみたくない…楽をしたい…
人間であれば湧き上がっても全然おかしくない欲求だと思います。
でも、デビルマンの心はそんな目の前の欲望に屈するほどヤワじゃありません。
何度も何度も自分の心にしがみついて…更なる激しい欲望に何度も何度も耐え抜いて…
不動明がいかにヒトとしての心を捨てたくなかったかが画面から容易に推定されます。
だから中途半端な人間よりよっぽど眩しいんです…

でも、人は異質を排除したがる生き物でもあります。
きっと人間の臆病な側面…或いは危機回避的な側面が脊髄に「危ない」と警鐘を鳴らすのでしょう…
どんなに心が綺麗でも身体が悪魔なら…人間の尺度ではもう十分なくらい異質なんです。

「俺は人間だっ…!」
「俺は絶対に人間には危害を加えないっ…!」
どんなにボロボロになっても彼は叫び続けました…

彼の悲痛な叫びは届いたのでしょうか…?

少なくても彼を目の当たりにした人々には、しっかり届いたと思います。
それ故に9話のラストシーンの衝撃には言葉を失いました…
本質を見誤った人たちによる惨劇は誰もが望まない状況でしかなかったから…
あんな事をして…何が楽しいんだろう…何で笑えるのだろう…
9話の最後に残したデビルマンの一言が胸に刺さります…

大切なことに何時気付くことができるか…
我を通すだけでなく、周りの囁きに耳を傾けることができたら、こんな結末にはならなかったのに…

少なくても完走した人は目にしたと思います…
人間の心を持ったヒトとアクマは共存だってできるし、同じ目標を持って進むことだってできるし、感情が無いと言われたアクマの中にだって昂る熱い感情があることを…

だからこの作品で気になったのは結末の迎え方です。
本当にこの終わり方がベストだったのでしょうか…?
原作のラストはこうだったのかもしれない…
けれど、たくさんの血と涙を流して得た結果に改変の余地は無かったのでしょうか…?
それだけが唯一の心残りとなった作品になりました。

1クール10話の物語でした。
大人向けの作品なので、視聴には上述した痛みを伴うと思います。
それでも気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

投稿 : 2018/03/11
閲覧 : 381
サンキュー:

27

のび太 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

残念賞w

原作は1972年なんですね。もはや古典漫画といってもいい作品です。
これを「四畳半神話大系」「夜明け告げるルーのうた」の湯浅監督がアニメ化するという話題作でした。

しかし永井豪の基地外漫画と、湯浅監督のアート的な作風の見事なミスマッチw
結果としてかなり痛い作品になってしまったような気がします。

湯浅監督の黒歴史的な作品として燦然と輝かなければいいのだけどw

投稿 : 2018/03/11
閲覧 : 280
サンキュー:

13

askima さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

救いがない

虚しさがすごい。

見てよかったと見なきゃよかったがせめぎ合う感覚。
後味の悪さと9話目の絶望感が見所。

精神年齢大人向けの作品。

投稿 : 2018/03/09
閲覧 : 331
サンキュー:

6

ネタバレ

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

視聴者が漫画既読、OVA視聴済か否かによって感想が大きく変わる

このアニメはネットフリックスで配信されている
永井豪の漫画「デビルマン」を原作としたWebアニメである。
原作を忠実にそのまま再現したというよりは、現代風に
アレンジを加えた平成のデビルマンと考えた方がいいだろう。
私自身は、以前に漫画を読んだことがあり、
OVA3作品全てを視聴済みの人間だ。
漫画既読者、OVA視聴済みの方ならすぐに気づくだろうが
結構変更点が多い。OVA版とクライベイビーを通じ、私が
特に気になった部分のみ抜粋する。(ネタバレあり)

{netabare}
OVA版
ヤクザな風貌を覗かせる不良少年が登場。
飛鳥了にデーモンの存在を教えたのは飛鳥の父親。
ジンメンは純粋(悪い意味で)なデーモンとして描かれている。
ゲルマーは、シレーヌの部下という立ち位置。
シレーヌとカイムは最初から最後までデーモンの姿のまま活躍する。
太郎は最後まで人間として描かれている。

クライベイビー版
非常に癖のあるラッパーが登場。
飛鳥了にデーモンの存在を教えたのはフィキラ教授。
ジンメンは人間の意識が介入している半デビルマンとして描かれている。
ゲルマーは、シレーヌとはあまり関連性がないデーモンという立ち位置。
シレーヌとカイムは人間の姿で身を潜めながら、人間を恐怖に陥れる
デーモンとして活躍する。
太郎は最後にデーモンへ変貌する。
{/netabare}

良いなと感じたところは、現代でよく見かける道具
スマートフォンやパソコン、SNS等を上手く絡めていた部分。
試合中継を利用して、デーモンの知名度を高めようと
裏で工作するシーンはとても良かったように思う。

一部のオリジナルキャラクターもいい味を出していた。
特に好きな人物は幸田と長崎。
幸田は、明のようなデビルマンとは対照的な存在として描かれている。
終盤における、明とのやりとりでそれがよく分かる。
違った側面を持つデビルマンとしても印象的な人物だった。
長崎は、作中の中では影が薄く出番も少ないが、引き立て役としての
役目はきちんと果たしている。少しばかし小物臭はするが
モブキャラの中では特に気に入っている。

太郎のラストは、作中の中でも特に良いと感じた場面だ。
まさか、人間ではなくデーモンとして描かれるとは
思わなかった。途中、目ヤニ(?)らしきものがついていたので
もしやと思ったが。実は、漫画版における牧村家はクリスチャン
ではないのだが、クライベイビーではクリスチャン一家という立ち位置だ。
なぜわざわざ変えたのか疑問に思ったのだが、ここを描きたかったのが
一番の理由だろう。大いに納得した。

気になるシーンもいくつか見受けられた。
ラッパーを登場させることで、漫画との差別化を図りたいという意思は
凄く伝わるのだが裏目に出ている場面も多く見受けられた。
特にくどいと感じたのは、ミーコに一人のラッパーが告白をするシーン。
誠に申し訳ないが、私には興ざめだった。

終盤で演出のくどいシーンがあった。確かバトンを渡す場面だったような。
1回だけならまだしも、3回はさすがに出しすぎである。
ラストのシーンは良かっただけに、途中変に気分が萎えてしまった。
他の部分に尺を使用すべき。

海外向けに発信したいということもあり、飛鳥了が必然的に
英語を駆使する場面が多かったのだが、そこまでする必要はないと感じた。
漫画のように、無理をせずに日本の学者をそのまま登場させれば
違和感を感じることなくすんなり理解できたのに…。まあ仕方なかろう。

それにしても、飛鳥了が序盤から明らかに怪しい人物だと示唆する
場面が多すぎるような気がする。特に、序盤のサバトが行われた時に
発する台詞の一部は入れる必要はないように感じる。
勘がいい漫画未読者ならすぐに気づいてしまう。

ゼノンが、人間達に恐怖を常に煽るようなデーモンに見えなかった。
確か漫画では、サタンと会話する場面がありデーモンの中でも
トップクラスに位の高いデーモンだと分かるのが、そこも省いたようだ。
終盤に関しては、「どうも~ゼノンで~す」みたいな軽いノリで
明と戦闘し、そのままご臨終。う~ん。あまりにも味気ない退場だ。
もっと出番を増やしてあげて欲しかった。可哀そう。

デーモン関連で一番残念だったのは、ジンメンだ。
あのデーモンだけは、変に改変するべきではなかった。
なぜ、余りにも中途半端な半デビルマンとして登場させたのか。
人間を介入させるのならば、明と出会う前には既に人間の意識を奪うほどの
精神的な強さも描く場面を挿入すべきだ。ジンメンの
残忍さが損なわれている。あれでは、只の半端者だ。
当然、ジンメンの有名な台詞を聴くこともできずそのまま退場。無念。

素晴らしいと思える場面も多かったのだが、気になる点もいくつか
見受けられたのでこのような評価になった。
対象を、漫画既読者ではなく漫画未読者として制作したのが
一番の狙いだったのだろう。漫画未読者であれば驚く場面が
多々あるため、楽しめるはずだ。OVA版ほどではないが
グロテスクな描写もあったり、エロティックな場面も挿入されているため
ある程度耐性を付けた上での視聴をお勧めする。
個人的には良作だと思う。

投稿 : 2018/03/03
閲覧 : 358
サンキュー:

14

ネタバレ

聖剣 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

黒船来航!

まず、
伊集院光のラジオ番組内における言葉を借りるなら、
全話通して、
4回は泣いて3回はフル○起するというのはあながちウソではない。

敢えて訂正するのならば、
せいぜい半○ち程度です!(笑)


さて、
この作品を語るにあたり、
大きく2つの要素に着目!

1つ目は
デビルマンの原作漫画をトレースしながら
現代的にアップデートされた内容
{netabare}
原作漫画を読んでいないし、
当時の社会通念や倫理観との齟齬もありますので
この際、この点についてはあえて言及しません!

まず、漫画版とTVアニメ版の違いについてはWikipediaを参照して欲しい。
その上で、
TVアニメという縛鎖から逃れた本作品は
普段見ることのない表現に溢れている点で顕著です。

単に
『あぁ、ここまで描いていいもんなんだぁ』って、やり過ごしがち。
でも
そう思ってしまうことの背後には、
制作サイドの表現できる自由度が広がっていて、
Netflixという黒船来航が
今後のジャパニメーションの命運を握っているようで
期待せざるを得ません。

願わくば、
有能なクリエイターの育成に寄与できるよう
Netflixの商業的成功を祈りつつ、
次の佳作を期待して毎月課金したくもなります。{/netabare}


2つ目は
監督湯浅政明の手に拠ることへの評価
{netabare}
昨今、いくつかのめぼしい作品を手掛け
指名買いして視聴を選択した人も多いのかもしれませんね。

知っていれば何の事はない、歴とした湯浅作品である!
そうなると
短距離走のあのフォームは
もう、あの『詭弁踊り』にしか見えない(笑)
が、
少々やっかいなのは、
湯浅の作風と『デビルマン』との相性であり、
その作風に惑わされ、
かつての『デビルマン』を汚されたという考え方も一理ある。

たぶんそれって
TVアニメ『デビルマン』への思い出補正が強いのではと勝手に解釈。
知らないが故に楽しめた自分には
新しい宝物を見つけたかのような高揚感があります(^^)v{/netabare}


と、締めとして
{netabare}TVアニメの予定調和に辟易していた人にとっては
とても好印象に映るに違いない。
結果として後味が悪く感じたのであれば、
それはこの作品に魅了されてしまった証拠!
きっとロマンチストなんでしょうね。{/netabare}

これから見始める人には
イッキ見もできる作品ではあるものの
あえて数回に分けて見ることを個人的におススメしたいです!
できれば
前後半5話ずつ、夕方暗くなり始める頃に
部屋を暗くして、
独り悶々としながら観ると世界観に浸れるかとb( ̄ー ̄)ニヤリ

投稿 : 2018/02/28
閲覧 : 237
サンキュー:

16

Tetsuo さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

トラウマ的衝撃

デビルマンという漫画を読んだことが無い人ほどこのDevilman Crybabyを観ることをオススメします!自分はデビルマンを知ってはいたけど世代ではなく、原作の漫画もアニメも興味はあったけど観れていませんでした。(漫画は小学生頃、最初の所らへんだけ見て怖くなりやめ、今になりまた気になっていました)今回Netflixでデビルマンをやると知って、まずはコレから観てみようと思いDevilman Crybabyを観ました。世界観は最高、キャラもいい、ストーリーも面白く、そしてトラウマ的な衝撃がありました。そしてすぐに原作漫画を購入しました。今は原作を読んでいるところです。このアニメを見る前に原作で衝撃を受けている方達からするとこのアニメの衝撃は少なく、原作と比べてしまうかもしれません。しかし原作を知らない人は、今の時代背景になっているこのアニメを観て大きな衝撃を受けるはずです!観て興味が湧いたら原作を読むとデビルマンという作品の魅力に完全にハマってしまいます。デビルマン、そしてデビルマンの魅力をアニメで表現したDevilman Crybaby、偉大です。

投稿 : 2018/02/23
閲覧 : 149
サンキュー:

6

ネタバレ

weds さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

衝撃的でまっすぐな絶望感

私は20代前半であまり内容は知らずに「デビルマン...? 聞いたことはあるけど、内容は全く知らないな...」という人です。

グロ・エロの描写が多いことなども全く知らずにみると、かなりの衝撃を覚えました。一応、まどマギ・エヴァ、ゆゆゆだとか「えげつねぇ」と言われるようなものは見てきたのですが、ここまで尖らせた絶望感はなかったように思います。
難しい心理描写だとか世界観とかで魅せているわけではなく、ドストレートに人と悪魔とその生存競争の醜さが描かれています。

{netabare} ~
終盤らへんは「これはもう人間滅ぶしかないな」と腹落ちしてバッドエンドを迎えたので、そんなに最後も衝撃ではないかったです。ただできれば明以外のデビルマンとなった人間たちがいてもいなくてもおんなじのような扱いになっていたので、デビルマンの中でも人間派と悪魔派で争うとかそういったことがあると個人的にはうれしかったかも。私自身、ヒロインの首で人間が狂い踊って喜んでいるシーンを経て「いや、これ俺がデビルマンだったら人間見放すかも」と思ったので、そういうデビルマンもいたと思うんですよね。
{/netabare}

残虐さ・救いのなさなどで内容の好みは賛否が分かれるところだとは思いますが、間違いなく尖っていて価値があるものだと思いました。おススメするときは人を選びますね...

投稿 : 2018/02/20
閲覧 : 179
サンキュー:

3

ネタバレ

ういすけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

感想は、国民的名作のカバー曲

5話まで視聴。

デビルマンは原作既読済み。

シレーヌ戦に関しては感動した。
作画、音響、見せ方というより、原作そのままの展開に感動した。
国民的名作は、時代が変わっても色褪せない。
シナリオ的な古臭さを感じさせなかった。

現代風にアレンジして、スマホも出てくるし、
ラッパーも徘徊している(←今風?)
そのあたりは、まあ許容範囲。
永井豪の作画、そのままだと、
おそらく絵が雑すぎて、残虐すぎて、古臭くもあり、見るに堪えない為、
現代アレンジ版としては、上手く作り上げられていると思う。

原作を知らない人にとっては、新しい!凄い!衝撃的!美しい!
名作だあ~~ってなると思う。

いや、ほんと、EXIL〇が、過去の国民的アーティストの曲をパク・・いや失礼、
アレンジしてカバーしている感覚と言えば良いかな?

やっぱりオリジナルを超える事はできない。

曲に対する産みの辛さ、思い入れの差がどうしても出てしまう。軽い。

美しくファッション的に作り上げていると思う。
現代風にアレンジしている所も、ラッパー以外特に文句を言うつもりはない。

強いて言うなら、敵である悪魔の存在が薄っぺらい。
原作での悪魔は、シレーヌ以外本当に憎むべき存在。
得も知れぬ恐怖と、戦わなければならない切迫感。
そして憎たらしいほど卑怯。
それが原作ではヒシヒシと伝わってくるが、
この作品では、そこが希薄。。

人間と悪魔の生存競争が、この物語の核心的な部分だと思うので、
悪魔に対しての憤りや、憎しみ、恐怖、決して相容れない敵という部分が
希薄だと、作品自体が薄っぺらくなってしまう。

今のチャラチャラした若い歌手が、ダンス踊りながら昔の名曲を現代風にアレンジしてワーキャー騒がれている感じ。そこに深さはない。

ジンメンなんて、原作では殺した人の顔をコレクションにしてるんだぜ!そして顔だけじゃなく、魂までも解放させず、痛い、苦しい、寒いと言った苦痛の言葉を聞いて悦に浸ってるんだぜ!しかも、デビルマンの攻撃の盾に人の顔を使うんだぜ!で、「人殺し!」とデビルマンを精神的に追い詰めるんだぞ。。。その顔の中には、主人公の明を好いていた幼い子、さっちゃんがいたんだよ。。。鬼畜、非道。。。

ゲルマーなんて、くつろぎの空間であるはずの自宅の風呂の浴槽から、襲ってくるんだぜ!いつでも24時間襲えますよ的な恐怖。
みきを人質に取ってるくせに、「おぼえていたか、アモン。おまえと戦えるとはうれしいぞ。」って、勝てれば何してもいいという悪魔的な考え。糞だ

そういう許し難き行いを、さらっと省くこのアニメ。。ドロドロ感がまるでない。

原作既読者からしたら物足りない。

駄作ではないが、カバー曲はオリジナルには勝てませんっていう感想です。

採点は、、、保留という事で。。

シレーヌ戦では感動したけれども、これは監督の手腕なのか?
まるまる原作のコピーではないか?。。。

採点は、原作の価値を、このアニメの評価にしてしまっていいものか?
逆に原作のストーリーのおもしろさを、引き抜いて評価していいものか?
そうなると、どうしても原作と比べた評価となるため、低評価になる。
大いに悩んでおります。
とりあえずは保留ということで。。。



最後まで見終わりました。
ラストが分かってるというのは不幸ですね。

最後、つながらなかったバトンという事で、何度もリピートしていたけど、
原作既読の私からしたら、そこ、別に強調しなくて良いんじゃね?って思ってしまった。
感想は、うまくまとまってるなあ。良作ですね。
原作ファンからしたら、物足りなさを感じるが、初めて見る人には、私が幼い頃、読んだ原作のあの衝撃をきちんと表現されていたのではないかと思います。原作のほうが作画的に残虐ですが、あれほどアレンジしているのに、そのイメージは損なわれていない。

原作をリスペクトした点数を付ければ良いのかどうか、まだ迷い中です。。


原作の評価を含めた点数をつけたいと思います。

物語の評価 5.0
幼い頃に読んだ原作の恐怖、衝撃から比べれば、
かなりマイルドな仕上がりだが、40年以上前の昨品なのに、
古臭くささをまったく感じられない。
原作が日本を代表する名作で、永井豪って凄い!ってのはあるが、
監督の原作に対する思い入れが感じ取れる。
また、その手腕も見事と言う他ない。
この監督さんがリメイクしてくれて、本当に良かった。
また、シレーヌに会えてうれしい。エロすぎだったけど^^;

声優の評価 4.0
可もなく不可もなく。
まったく違和感を感じず見れたので、それはそれで凄いのかと。。
こういう場合、他の作品では3.5なのだが、
この問題作を演じきれたのは凄いことであるし、
私は、あまり記憶にないが、一度アニメ化されている作品では、
イメージがとか、言われそうだがそれもないので、0.5加点しました。

キャラの評価 2.5
不動明の変貌が別人すぎる。確かに悪魔が入り込んだ分、質量が増えて
体格など変化があったといえば辻褄が合うが、周囲の反応が、誰?おまえレベルなのに、変わったね。っていう反応に違和感を感じる。
原作では、目つきと髪型が変わっただけなのに、このアニメでは顎のラインとかシャープになって、鼻筋も高くなって、ほんともう別人。全身整形レベル。
飛鳥了も、なんだろう。原作のような迫力がない。
こいつ何やらかすんだろう的な、目的を選ばない的なやばさが、絵柄から感じ取れない。目が逝ってない。脚本のせいなのか?そういう見せ場は確かにあったが、こいつ本当に信用しても良いのか?的なゾクゾクする怖さがない。全体的にキャラが薄い。
ヒロインみきも、確かに原作でも利発で男勝りな部分もあるが、そこは忠実に描いているものの薄っぺらい。ヒロインのくせに、彼女を守ってあげたい!とか、この子とエロしたい!とか、惚れ要素がまったくなかった。決して魅力的ではない単なる幼馴染。恋人、愛おしい人とは程遠い。この違いが終盤の衝撃度合に大きく関わってくる。原作よりマイルドと感じたのはそのせいかな?
ドス六が、ラッパーに。。。ただの傍観者に成り下がっていた。そこが一番残念な点。人の正義感というか、義理人情というか、が、悲劇の前では、糞の役にも立たないという描写が傍観者では演じきれない。ザンネン。
まだまだある。
キャラでいうと、悪魔たちもそうだ。
本当に憎くて憎くて、ずるくて非道で圧倒的に強くて気持ち悪い。
人として許せない!
デビルマンよ、ぐっちゃぐちゃに引き裂いてくれ!っていう願望を微塵も感じさせてくれなかった。
単なる敵としての描写でしたね。明の両親についても、事故にあってしまって不運でしたレベル。その中でもシレーヌだけは良かった。端折らず放映してくれてありがとうって切に思う。
悪魔は悪魔たちのルールがあって、人を捕食したり、コレクションにしたり、人の苦しみを楽しんだり、そこに罪悪感は微塵もない。美しい悪魔や、死を前に恐怖する哀れな悪魔もいるが、決して人とは相容れぬ存在。
単なる敵ではない。
原作では、そういう悪魔に対する恐怖や、滅ぼして!っていう人としての残忍な気持ちが、最後の悲劇へスーッと感情移入できる。
人が起こす暴動や、悪魔たちに対しての残忍な処刑を、なんで?そこまでしなくても!っていう感想にならないし、ああ、そういう暴動起こす人って、世の中にはいるよね~的な傍観者意識にもならない。当事者になっていてもおかしくないという恐怖。あの場面にいれば、私も殺してしまうのではないかという恐怖。悪魔と疑われたらどうしようっていう恐怖。弟君のオリジナル描写があったので、多少は暴動に対しての理解もできたと思うが、飛鳥了の発言一つで、街が激変したのに対して、え?いきなり?って違和感を感じたのは、そこの描写が薄かったからではないかと思う。

キャラが薄かったので、2.5の評価は妥当だと思う。
う~む。どうしても原作と比べてしまうなあ。。

作画 4.0
作画は綺麗だったけど、感動するレベルではなかったので4.0

音楽 3.5
まったくメロディーが思い出せない。邪魔なラップしか思い出せないw
まあ、でも違和感なく見れたので、可も不可もなく。
3.0かなぁ?
でも、感動する場面もあったし、そこにBGMの効果も大きかっただろうし、まったく思い出せないけど^^;
ってことで、3.5です。

長々と読んで下さった皆様、ありがとうございました。

投稿 : 2018/02/14
閲覧 : 262
サンキュー:

6

ネタバレ

サイテージェニー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

和解というキーワードで解くcrybaby

デビルマンcrybaby 1話で、不動明を「海から上がってきた人魚」と呼んだのはどういう理由か。
不動明も「はーい、海から上がってきた人魚でーす」と答え、後日、牧村美樹と再会したワムが「海から上がってきた人魚はどうした?」と。このフレーズは三回使われている。

そんなもの単なる冗談なんだから意味なんかないのかもしれないが、わざわざ三回も使用しているからには何か隠れた意味があるのではないか。
そこで強引な推論。
クラベビ不動明は「夜明け告げるルーのうた」の世界から来た。

「夜明け告げるルーのうた」の世界とは何かというと、
「人間と異形の者とが、和解に成功した世界」である。

町を大規模な水害が襲ったとき、人魚たちが人間を救助し始める。
しかし人魚は太陽光に当たると燃えて死んでしまう。
救助に気を取られ帰るのが遅れた人魚たちは次々焼死する。
人間たちは、人魚のために太陽光線よけの大量の傘を提供する。
人類と人魚の和解した瞬間である。

人類(集団)と異形の者(集団)が基本的に敵対していて、主人公(個人)だけが単独の異形の者とのあいだで、愛や友情や信頼を結ぶ話は他にもある。
人類(集団)と人魚(集団)との間で和解が成立する、という点でルーの世界は特異である。

「夜明け告げるルーのうた」が、人類と異形の者とが和解に成功する世界
「デビルマンcrybaby」が、人類と異形の者とが和解に失敗する世界
ふたつの世界は鏡に写したように対応している、と言ったらこじつけ過ぎだろうか。

人類と異形の者との和解、をキーワードにデビルマンcrybaby 9話を見ると、解釈が変わってくる。
自分は最初、crybaby 9話を、こんな奇怪な作劇、こんな異常な構成を見たことない、なのになんで心に刺さってくるんだろう、という感想だった。

だが「和解」をキーワードにすると、9話の構成は奇怪でもムチャクチャでもなく、むしろストレートで、シンプルである。

和解する(不動明と牧村美樹が)→和解する(美樹とミーコが)→和解を求める(デビルマンが群集に)→和解を求める(美樹が全人類に)→和解を求める(ミーコが群集に)→和解は拒絶される(人類から三人へ)9話全体で、最初から最後まで和解の話しかしていない。

人間と異形の者との和解、という要素は、原作マンガにはない。だから原作を既読で原作の再現にこだわる人ほど、この要素を見落とすのでないか。原作を未読、チラッとしか知らない、という人のほうが、すんなり頭に入ってくるのかもしれない。すくなくとも私は見落とした。

牧村美樹はSNSで、人類の一人として同族の人類に不動明=デビルマンとの和解を求め、かつ人類の一人として他のデビルマンにも人類との和解を求める。彼女の求めるものは、人類(集団)と、異形の者デビルマン(集団)とが和解する世界である。途方もない望みである。

幸田燃寛がさっさと人類と決別して悪魔のもとへ行ったのは、異形の者である自分にはもう人類との和解はない、と判断したからである。こちらの発想のほうが普通だ。

原作の牧村美樹とcrybabyの牧村美樹は同じように殺されるが、その理由は異なる。原作の牧村美樹は、家族に悪魔がいたから悪魔の仲間とみなされ殺された。それは誤解であり言いがかりである。

だが、crybabyの牧村美樹は、人類と異形の者デビルマンとの和解をストレートに要求した「から」殺されたのである、そこに誤解はない。

牧村美樹の死にも、crybabyではもう一つの意味が加えられる。原作美樹の死は一個人の死だが、crybaby美樹の死はそれだけでない、不動明・牧村美樹・ミーコがそれぞれ和解を求めたことに対する、人類の側の回答。拒絶。これ以上はない拒絶である。

9話を最初視聴したとき最も心に引っかかった最大の疑問は、
「ミーコはその気になれば追ってきた暴徒を全員殺せたのではないか?
そうすれば牧村美樹は死ななかった」ということだ。

幸田デビルマンとミーコデビルマンの戦力は互角、陸上競技場での幸田デビルマンの大虐殺を見れば、あのときやってきた規模の追手なら余裕で全員殺せるはずである。

牧村美樹と和解して人間性を取り戻したミーコはもう人を殺したくなかった、人間でいたいと思ったので殺さなかった、この理屈もわかるのだが、じゃあそれで牧村美樹を死なせていいのか。

「人間でいたい、だから人を殺したくない」
「牧村美樹を助けたい」
二つを天秤にかけて前者を優先できるのか? となるとやはり納得がいなかった。

ミーコが求めたものが和解であるなら、相手が簡単に殺せる相手だとしても皆殺しにはできない。それは和解の可能性をつぶす行為である。

追ってきた暴徒を皆殺しにすれば牧村美樹は救えるが、牧村美樹が主張した人類とデビルマンとの和解の可能性は閉ざされる。何もしなければ自分も牧村美樹も殺される。魂の焦げるような葛藤の果てに「あんたらに問う」以降のセリフが吐かれたと考えると、腑に落ちる。

ほぼ無駄と分かった上で、最悪の結果に向かって歩いていることが分かっていながら、あの場面は苛烈に熱いのである。

投稿 : 2018/02/14
閲覧 : 202
サンキュー:

5

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

理屈じゃなくて感性で感じる作品だと思います

{netabare} 永井豪さん漫画家デビュー50周年を記念し、2018年に新作アニメとして蘇る『デビルマン』。タイトルを『DEVILMAN crybaby』とする本作は、「Netflix」にて全世界190カ国に、日本語のほか9ヶ国語の吹き替え版と、25ヶ国語の字幕版で配信される予定です。{/netabare}

監督は湯浅政明さん 脚本は大河内一楼さん

Netflixオリジナルアニメとなっています

デビルマン名前は聞いたことありましたが見た事はなかったですし内容も知りませんでした。今回リメイクされたものを見て言葉が出ませんでした。衝撃的作品になりました。

絵のタッチが独特でしたがこのアニメの不気味さ・恐怖を演出するにあたって効果的だったのかなぁと思います。かなり生々しいシーンがありましたがこの作品にはそれが必要なのは間違いありません。1話のシーンが繋がっていくなど構成も素晴らしい。メッセージ性も強く感じるものがあります。正直完璧な作品だと思いました。凄すぎて上手く表現できないのですが心に残る名作中の名作なのは間違いないです。

得点99点

投稿 : 2018/02/13
閲覧 : 273

yowano さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 1.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

良くも悪くも非常に刺激的な作品

悪魔の力と人間の心を併せ持つデビルマンの苦悩に満ちた戦いを描く物語です。

ネットのみの配信ということで、
過激なエロティック/グロテスクな表現を始めとして、
生理的嫌悪を呼び起こす悪魔のデザインや人間の欲など、
本作の八割以上は醜い表現で構成されています。

物語としても決して気持ちの良いものではなく、
最初から最後まで純粋に悲劇だったという印象です。

ただそれだけに地上波のアニメにはない衝撃と刺激があり、
作品を通して発せられるメッセージが鮮明且つ強烈に伝わりました。

昨今のマンガでは人間観や現代風刺など複雑なテーマを描くことは当たり前なため、
この作品の持つメッセージ自体は目新しいものではありませんが、
視聴者を惹き込む力、メッセージを伝える力は眼を見張るものがあった思います。

ただし、過去に評価されたものが現代も評価されるとは限りません。
そして、古典としての評価と娯楽としての評価は別物です。
デビルマンに限った話ではありませんが、名高い作品だからと過度な期待は抱かず、
フラットな視点で視聴することをお勧めします。

投稿 : 2018/02/12
閲覧 : 223
サンキュー:

4

ネタバレ

kakizaki さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

多くの人が評価しているがどうなのだろうか?

原作はしっかり読んでいなく、多少知識がある程度であった。
Netflixにわざわざ入ってすべて観終わったのだが・・・

{netabare}
最後の、残虐なシーンはグリム童話を彷彿とした映像で衝撃的なものであった。

ここまでは残虐だと予想してなかったがああ、やっぱりそうなったか・・・という感じだった。

原作読んでないので何とも言えんが、永井豪さんこれを伝えたかったのかな・・・とモヤモヤします。

絵が個性的で、スタイリッシュぽくみえ・・・うーんラップは古い気がする・・・海外でも評価されている名監督・・・
そんな状況にごまかされて最初は面白く感じていたが、終わってみると何か空っぽな感じがした。

恐らくこういう展開や衝撃は、エヴァで卒業してしまったからかと思われる。人によっては、ガンダムとかまどマギなんだろうなと。

{/netabare}

今期のアニメと比べればレベルも高いのは確かだが、期待が高かっただけに少しがっかりしました。

投稿 : 2018/02/12
閲覧 : 435
サンキュー:

11

lcXEE65136 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

まどマギ以来の良作

なんとなく見始めたが、ホント良かったよ。
テレビを通さなかったら今でもこういう作品を作れるんだなと安心できた。
もっとこういう作品が増えればええのにな。

原作も見てきた
子供向け、大人向けの違いはあれど、やはり良いリメイクをした。

投稿 : 2018/02/12
閲覧 : 287
サンキュー:

4

ネタバレ

ペヤン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

久しぶりに泣いた

悲しくて可哀想である意味見ない方が良かった。
序盤はあまり絵は良くないなと思いましたが、中盤から色々考えさせられました。

投稿 : 2018/02/09
閲覧 : 186
サンキュー:

2

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 3.5 作画 : 1.0 声優 : 2.5 音楽 : 4.0 キャラ : 1.5 状態:今観てる

監督の自己満と劣化コピー作品

アニメ視聴前に原作を読んでいる者の感想です。
端的に言えば監督の自己満による名作の劣化コピーという印象です。
ストーリーこそ原作のテイストそのままに再現できているものの、終始崩壊している作画、なぜか出てくるラッパーと下手くそな演技、頭お花畑な牧村美樹、英語で話しまくる飛鳥了、不必要なエログロなどなど。監督も強すぎる自己主張が作品を殺していると言わざるを得ません。そういう主張はオリジナル作品でやってほしいですね。
原作を読んだことない人はそれでもこの作品を見て衝撃を受けるでしょう。それはこの作品が優れているからではなく、単純に原作が持っているパワーでしかありません。良いと思ったのは音楽くらいで、それ以外見るべきものはないですね。

投稿 : 2018/02/06
閲覧 : 215
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

いろいろ考えさせられた

【あらすじ】
 まだ人間のいなかった地球に君臨していた悍ましき生物、悪魔。人間を駆逐し地球を奪い返そうとする悪魔たちと戦える存在はただ一つ。人の心を持ったまま悪魔の体を手に入れた「デビルマン」だけ。

【成分表】
笑い☆☆☆☆☆ ゆる☆☆☆☆☆
恋愛★★☆☆☆ 熱血★★★★☆
頭脳★★★☆☆ 感動★★★☆☆

【ジャンル】
シリアス、ヒーロー、セックス&バイオレンス

【こういう人におすすめ】
正義とか愛とかについて深く考えたい人。「なんかすげえモンを見せて俺の心をぶち壊してくれ!」みたいなこと考えてる人。深いことはわからなくてもセックス&バイオレンスに無条件で引き寄せられる人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
67.0点。評価上昇途中?

【個人的評価】
すごいガツンとくる。疲れた。けどすごい。けど万人には薦めない。

【他なんか書きたかったこと】
 伊集院光さんのラジオで湯浅さんの名前が出てたのでびっくりして視聴。
 ネットフリックスで見れます。初月無料っぽいです。
 {netabare} デビルマンという単語?は知ってましたが、他はなにも知りませんでした。あ、テーマソングと、プラチナジャズがテーマソングをアレンジした曲は知ってました。←これおすすめ(youtubeで聞けます)。
 アニメ見た後で原作漫画を読みました。このアニメを観た後だったので、すんなり理解できてしまいました。原作だけ読んだらどうだったんだろう。

 一連のストーリーの中で「人の世に確かに存在する見たくないもの」はだいたい見せてもらいました。疲れました。
 ものすごい色々なことを考えさせられましたが最終的に3つ。
・正義と愛はもうよくわからん。関わりたくない。(おいw)
・「遠くからの声」ってこんなダサいんだ。
・湯浅政明監督は地上の星を教えるツバメ。

 単純にわからなかったのは「神は攻撃を開始した。人間には手を下さず、悪魔だけを」みたいなことを了が言ってたけど、あれは原作にはない設定だし、結局その後は神の追撃(人間に加勢する様子?)もなく、人間も滅び、結局地球も神によって第二の月にされてしまったわけで、なんか意味ない設定だったかなあと。もしかして神が無差別爆撃するような展開はキリスト教からクレームきたりするのかな。まさかね。
 ↓以下、うじうじ考えている。
{netabare}  あと「愛、人の心」ってバトンでほかの人に繋ぐようなものなのかな、と。明→了でバトンを渡したいけどつながらないっていう展開はもちろんわかるけど、明はミキから、ミキはミーコからそれを貰ったのか……?ミキに関しては「知ってた」って言ってたけど……。でもこのへんを否定しちゃうと陸上部っていう追加設定がまるまる意味なくなっちゃうな…。
 あ、違う。わかった。ミーコ→ミキ→明→了っていう順で、「対立する存在だったのに愛した」っていう共通点がある。つまりはそれが無償の愛?それが湯浅さんがデビルマンという漫画に感じた真実?でも明は最後までは了を愛していない。むしろバトンの向きはミーコ→ミキ→明←了で終わる。最後の殺し合いが明から了への愛なのか?あの、仲間を千切って武器にするような惨劇が?それとも遥か昔、猫をめぐって「対立したのに愛した」あの時に、明の役目は終わっていたとでもいうのか?
 それすら否?ミキが死んだあの時から、リレーの完成はもはやあり得なかったのか……? よくわからない。
 あと明を「純粋な正義、人間の味方」とは思わない。彼は明らかに「知り合い」が死んだときと、「人間」が死んだときの怒り方が違う。「人間を守る、人間のために」というのは大義名分で、真意をあからさまに言えば「俺の仲間に指一本触れさせねえぞ」って感じになる。でも人間が死んだときもちゃんと悲しんでいるし、考えてみれば知り合いのほうが感情が大きくなるのは純粋なことなわけで。そうなると私が認める正義とは了のように合理的に無感情に「人間平等に救います、悪魔平等に殺します。行ってきまーす」みたいな存在なのか?それはそれで違うような……。
 あと自分でもびっくりだが、ミキがSNSでみんなに思いを告げる感動的な(はずの)シーンが、全然心に来なかった。これはもちろん、「私が何も知らない、このSNSを見ただけの人だったらどう感じただろう」という気持ちで見たからだが、ほぼ画面に流れる言葉と同じようなことを思った。現実だったとしても私は「なんだこいつ、怖っ」と思って画面を閉じるだけのモブだったと思う。だって松居一代さん事件がそうだったから。あの事件とこのミキのSNSでの告白になんの違いがあるのか。当人は心から必死に訴え、しかしほかのメディアでは違うことを言っているという、あの状況に。
 このアニメで流れる軽薄な外野からの発言を見て、「あいつらは酷い奴だ。俺はあいつらとは違うから、ちゃんと真実を見極めるんだ」と思っているならば、そうじゃない。
 そんなの絶対無理。あれに居合わせて「聡明」という体裁を保ちたいのであれば、何も発言しない以外にない。私のように、画面の向こうでこたつに入って鼻ほじりながらスマホをスイスイやっている人間に、当事者だけが知っている真実を見極めることなど絶対にできない。
 それが怖い。あんなダサくて、軽薄で、泥を煮詰めた混沌の底から浮かび上がる臭いあぶくのような発言をしたくない。しかし画面をのぞき込む以上、私は常にそっち側にいる。それが怖い。
 それが怖い、というのが、このアニメで得た私の武器。
{/netabare}

 話を戻すけど、了はなぜ死にかけた猫を殺そうとしたんですかね。
 本当に合理的な考え方しかしないなら、あの場面では死にかけの猫なんかほっといて三味線の練習でもすればいい。「雑菌まみれの禿げた雑巾にカッターを突き刺しても刃の無駄遣いでしかない」と思わなかったのか。「苦しんでるから、解放してあげよう」っていうのも、慈悲の心なんじゃないですかね。「りょうちゃんも泣いてる」っていうのは、それを感じ取ったからの言葉かもしれません。
 つまりあれは思い返すと「二つの正義が戦ってるだけのシーン」だったのかも。いや、もっと言えば「悪魔の側」も「人間の側」も正義としてなんの違いがあったのか。「人間の側」なら正しいのか、「弱い側」なら正しいのか、「他人を助ける側」なら正しいのか、「愛がある側」なら正しいのか。
 うん。やっぱ正義とか愛とかわからん。むりぽ。

 湯浅政明さん、知らない間に有名になってました。いや、私が知る前から数々の賞を取ってたっぽいんで「さらに有名になってた」っていうほうが正しいのか。たぶん近いうちに表のメディア(?)にも出てくる存在になりそうです。君の名の新海さんといい、宮崎駿さんの引退?を受けてアニメ監督戦国時代が始まってたんですね。私は誰押しで行こうかなー。オッズ高そうだからスタジオ六花にしとこうかな(笑)
 今のところ私が知ってる湯浅さんの魅力は「原作選び」と「原作への深い理解」という2つで、挑戦的な絵の躍動感はその結果かなあ、みたいな認識です。森見登美彦さんとか松本大洋さんとか。
 今回のアニメのコラムをネットでぱらぱら読んでたんですが、やっぱり原作を理解することには相当力を入れているようです。今まで「天才を理解する天才」かと思ってましたが意識したうえでの努力の結果なのかもしれません。
 というわけで逆に気になり始めたのが「夜明けを告げるルーのうた」で、こっちは原作のない湯浅政明さん自身が見れそうです。全然詳細を知らないけど、ポニョじゃないんだよね……?まあ気が向いたら見るってことで。
 っていうか公開時期的に「夜は短し」はただの客集めで片手間で作ったのか??くそう、片手間で私の心をつかみやがって。

 あ、あと書き忘れてましたが9話
 {netabare} あれでいいですよね。あれがあったからこそデビルマンという物語が後世に残ることになったんですよね?多分。永井豪さんも「それまでの展開を否定することになるから、やるしかなかった」みたいなことをネット記事のインタビューでおっしゃってました。
 逆になんか、うーん、現代の漫画ももっとこれやったほうが……。
 しっかり設定がある重要人物で、主人公に近くて、主人公の周りの人とも今後どんどん絡んでいって物語を紡ぐだろうと思われる人物で、むしろそのキャラが今後の展開を引っ張っていくだろうみたいな。これまでのストーリーで主人公たちと積み重ねてきた歴史があって、なにより「絶対にこいつだけは死んじゃダメだろ」と思われるようなキャラ。
 そういうキャラが全く唐突に、道半ばで、何度も助かりそうなフラグを立てながら、無残に、「その展開だけはやめてくれ」と読者に思われながら、それでも妙にあっさりと死んでいく。
 それが「戦闘」ってもんなんじゃないですかね。
 いや、戦闘というものについてあんま知らんけどさ。
 死ぬために出てきたようなキャラが慌ててフラグ立てて死んでもなんか逆に命が軽く感じてしまうというか……。
 でもわかる。物語の筆者的にもこういうキャラを捨てたくはないんだろうなあ、と。一番手塩に掛けたキャラだろうし。でもそこを一歩踏み出すと名作になるのかなあ、ってちょっと思いました、まる。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2018/01/31
閲覧 : 498
サンキュー:

19

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

半世紀の時を超え蘇った半人半魔のデビルマン ついにアーマゲドンが映像化

2018年 Netflixで配信されたアニメーション

原作 永井豪 監督 湯浅政明 脚本 大河内一楼 音楽 牛尾憲輔
制作 サイエンスSARU

漫画 1972年~1973年 53話
テレビアニメ 1972年~1873年 39話
OVA デビルマン誕生編 1987年 妖鳥シレーヌ編 1990年 AMON デビルマン黙示録 2000年

多分すべて観たんですが記憶が混乱しています。
永井豪は学生運動から影響を受けたと思われるガクエン退屈男で混乱と崩壊のラストを描き、
少年マガジンに連載したデビルマンでは、テレビアニメと連動する形で、
異形のヒーローデビルマンと悪魔族の戦いを描くはずでした。
実際問題として、テレビアニメは多人数制作、漫画は一人でネームを考えると言う創作法の違いから、
同タイトルで全くの別作品が出来たのは、妥協を許さない永井氏の執念と言えるでしょう。

バイオレンスジャックやマジンガーシリーズでも世界の終末や崩壊を描いた永井氏ですが、
デビルマンは短い作品でありながら別格の評価を受けています。
少年漫画で滅亡ストーリーが初だったのかは分かりませんが、自分が読んだ中では最も古い作品です。
永井豪ファンクラブの会長だった筒井康隆は人類滅亡作を書くぞと宣言しつつ、
1969年に「霊長類南へ」という長編を書いているので、サークル内では盛り上がっていたテーマかも知れません。

50年代から60年代にかけて英米では大量の人類滅亡小説が発表されましたが、
デビルマンもその系譜であることは間違いありません。
これほどの名作がぽっと出であるはずがないのです。
例えばブッダとブラフマーの滅亡戦争を描いたロジャーゼラズニーの光の王など。

永井豪のデビルマンはテレビ版のキャラデザ担当からのスタートであるので、
キャラ造形がキャッチーで分かりやすいことが親しまれた理由だと思います。
デビルマンや妖鳥シレーヌやカイム、ジンメン、魔王ゼノンなど、
非常に優れているとはいえ、テレビアニメの怪物の範囲内です。
しかし、テレビアニメが迷走を始めた頃から漫画版は異常な展開を迎えます。
悪魔が人間に乗り移ると言う古~い発想を現代の若者に身をもって味合わせたシーン。
漫画版では女子高生の制服の下に溶解液を発する化物が見える回。
ここから始まる物語はヒーローものを大きく逸脱した地獄の黙示録です。

なので、前半のヒーローものから後半の種としての運命の切り替えをどう描くかが注目でした。
はっきり言って前半はいらないとも思いましたが、
編集部に却下されたデビルマンとシレーヌのSEXシーンはいれるべきと言う圧力もあったんでしょう。

半世紀近く前の原作を現代の設定でよみがえらせた作品ですから、
いろいろ噛み合わない部分も散見されましたが、ラストまで突っ走る潔さがこの作品の価値です。
ついに魔王サタンの美しいお姿がアニメーション化され、
デビルマンとの因縁も納得できる形(つまり原作通り)で決着がついた決定版。

パタリロに似てるとか変なところに突っ込まず、まずは全身全霊で味わって観るべき奇跡のリメイク。
あっなんかサターニャにも似てるような・・・・

気に入らない部分も多々ありましたが、ファーストインプレッションとしては盛大な拍手を送りたいと思いました。

どっちかと言うと怪作扱いですが。

投稿 : 2018/01/30
閲覧 : 696
サンキュー:

34

migo さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ここ数年のアニメでは最高の出来

第一話を見た時点ではそんな凄い作品とは思いませんでした。
実はそれは原作の漫画も同じで「噂では聞いていたけどこれくらいか」、というのが正直な感想でした。
ただ、アニメ版の話数を重ねるごとに原作の要素や演出が非常に濃い濃度で映像化されていく展開に夢中になりました。
基本的には原作の再現なのにも関わらず、私のような若い世代にも伝わるように世界観やキャラクターを上手く改変しているのは見事だと思います。
デビルマンって、永井豪って、こんなにすごかったんだと心から思いました。たぶんそう思えたのは湯浅監督を初めとするスタッフが原作に対するリスペクトを最後まで妥協しなかったからだと思います。
湯浅作品の中でもダントツでトップ、というかこの10年くらいのアニメの中では一番すごかった作品。
心に響くクオリティでした。

投稿 : 2018/01/29
閲覧 : 222
サンキュー:

6

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DEVILMAN crybaby[デビルマン クライベイビー]のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

DEVILMAN crybaby[デビルマン クライベイビー]のストーリー・あらすじ

永井豪さん漫画家デビュー50周年を記念し、2018年に新作アニメとして蘇る『デビルマン』。タイトルを『DEVILMAN crybaby』とする本作は、「Netflix」にて全世界190カ国に、日本語のほか9ヶ国語の吹き替え版と、25ヶ国語の字幕版で配信される予定です。(Webアニメ『 DEVILMAN crybaby[デビルマン クライベイビー]』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
Webアニメ
放送時期
2018年1月5日
制作会社
サイエンスSARU
主題歌
電気グル―ヴ『MAN HUMAN』≪第9話特別エンディング≫卓球と旅人『今夜だけ』

声優・キャラクター

内山昂輝、村瀬歩、潘めぐみ、小清水亜美、田中敦子、小山力也、津田健次郎、木村昴、KEN THE 390、YOUNG DAIS、般若、AFRA

スタッフ

原作:永井豪「デビルマン」、監督:湯浅政明、脚本:大河内一楼、音楽:牛尾憲輔、キャラクターデザイン:倉島亜由美、デビルデザイン:押山清高、ラップ監修:KEN THE 390、色彩設計:橋本賢、美術監督:河野羚、撮影監督:久野利和、編集:齋藤朱里、音響監督:木村絵理子、プロデューサー:新宅洋平/永井一巨、アニメーションプロデューサー:チェ・ウニョン

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