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「我は神なり(アニメ映画)」

総合得点
計測不能
感想・評価
8
棚に入れた
32
ランキング
7907
★★★★☆ 3.9 (8)
物語
4.3
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.5
キャラ
4.1

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我は神なりの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

カルト宗教の醜さと救いの無さを描いた韓国映画。凄まじく鬱アニメだけど考えさせられる

じきダムに沈む寒村にクズ親父(ひぐらしの鉄平みたい)が帰ってくるが、村はカルト詐欺に支配されていて、怒った親父がカルトに立ち向かう。

【良い点】
心弱き人々を搾取するカルト詐欺の醜悪さを徹底的に描いている。圧巻。
同監督のソウル・ステーション パンデミックと共通して、キャラや作風がクズな割には比較的不快感が少ない。

単純な勧善懲悪ではない、人間の弱さや醜いエゴを真摯に描いており、登場人物がクズか愚か者しかいないのに、むしろだからこその共感と悲しみを感じる。
主人公は唯一カルト否定できる理性はあるが他の人格面がクズで誰にも信用されず、牧師は偽善者だけど人々を救いたい想いと信仰は本物、主人公の娘は精一杯努力したが父に人生踏み躙られてカルトに縋った末に悲劇的末路。
他にも主人公の唯一の味方だった弟分も、半ばカルトを理解しつつも愛する妻に殉じる諦念。
一番邪悪な俗物だった教祖(長老様)ですら、言動から過去に信仰して救われなかった悲哀を感じる。
皆どうしようもない。弱く愚か。自己責任と断じるにはあまりにも無力。
作中で「自分の目で確かめろ」などのメッセージもあるが、無理だろうと思わせる。
個々人の自己責任だ、弱く愚かな彼らが悪い?という逃げ道を徹底的に塞ぎ、現実の社会病理に対しこれでいいのか?と痛烈に訴える内容だった。
…この点は別の韓国アニメ映画でルッキズム地獄を風刺した「整形水」も共通していて、抗い難い社会病理に対する人間の無力さを痛感させる。
こういう諦念と徹底は韓国作品の底力だと思った。あまり本数見てないけれど。

一切救いの無い鬱アニメだが示唆に富んでいる。
本作は宗教自体を悪と断じているわけではない点も深みがあると同時に残酷。
フェイクであっても信仰で救いを求める者、救わんとする者は確かにいる。
真実であっても主人公の生き方では結局娘も本人も破滅は変わらなかったと思われ。
何が悪かったのか?勧善懲悪で一筋縄ではいかない生き地獄。
「フェイク 我は神なり」のタイトル(あにこれではフェイク省かれているが)の意味とは?
明快には分からないが、考えさせられた。
ただ、主人公が心折れて信仰に閉じこもるバットエンドを見るに、信仰に縋るというか、縋らざるを得ない情勢自体を否定したと見てよいか。

韓国語の良し悪しは分からないが、声優陣の気迫は伝わってきた。

実写でよくね?という視点については、アニメ好きとしてはアニメでもよくね?と肯定的立場。
派手さはないが作画に特に欠陥は無い。

【悪い点】
題材や作風自体が不愉快なので、娯楽作品としては全く楽しくない。
序盤時点で犬撲殺したり、ラストも一切救いが無いので鬱になる。

作画や楽曲などアニメ作品としての面白味は乏しい。

【総合評価】8点
善行や善意だけでは報われない社会病理を真摯に描いた力作。
不愉快だけど一見の価値はある。
評価は「とても良い」

【余談】
カルト宗教扱ったアニメとしては中国アニメの「霊剣山叡智への資格」も。
無力な村人がカルトに支配されているのを主人公が立ち向かうが、霊剣山の主人公は無双ヒーローとして痛快に打ち破る。
娯楽小説の霊剣山とリアル路線の我は神なりは真逆の着眼点。
主人公王陸の主張は自己責任論、救われたきゃ強くあれ!俺様が導いてやる!
良くも悪くも傲慢だけど、こちらも一理ある。

投稿 : 2022/08/16
閲覧 : 191
サンキュー:

3

lll1 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

金が絡んだら、友人関係は成立しない。家族もまた例外ではない。

 傑作でしょう。「新感染ファイナルエクスプレス」をヨン・サンホが本当に撮りたかったのかすら、疑問に思う。
 「ソウル・ステーション パンデミック」もそうだけど、ヨン・サンホの本領は、あんな娯楽の映画じゃない。


 日本は無宗教の人が多いけど、長崎の方ではキリスト教徒の方は多くいるし、世界中の人々が何かを信仰している。
 キリスト教、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教。だけど、日本人にはあまり馴染みがない。

 清水富美加が幸福の科学に出家すると話題になったとき「なんだそんな胡散臭いものは」と思った人は多くいる。甲子園常連の天理高校は、天理教信者の人たちだ。天理教があっての天理市で、天理高校。

 エホバやオウムなどの冗談抜きでヤバいやつや、KKK等の秘密結社はおいておいて、意外と身近にあるものが私は"マルチ企業"だと思う。
 あれも一種の""信仰""だと思う。あえて洗脳とは言わない。

 とあるきっかけで、(というか騙された)マルチのセミナーに参加したことがある。率直な感想としては、気持ち悪かった。講師のクソつまんないボケで会場の人たちが皆笑う。数年前からニュースになっていることなのに、講師の人がそれを話すと、会場の人たちは「へー、面白い」といった初めて知るような反応を見せる。
 
 会場に行けば、あの居心地の悪さと違和感が、気持ち悪くてしょうがないことが分かるけど、その会場にいる人たちはいたって普通の人たち。服装も普通、何かしらが統一されている訳でもない、年齢層も幅広く、20歳から70歳近い人までいた。街を歩いていたらすれ違っているかも、映画館で隣に座った人かも。こういった人たちが身近に居るんだなと実感したとき、少し怖かった。

 セミナーの内容は、「仕事で困っている人たち」や、「夢を追いたい、けど…」というような迷っている人を助けたいといった様な内容だった。「これから世界はこう動く」、「こんな生き方がある」「こんな働き方がある」「こういう考え方がある」とか言っていたけれど、そこに具体性は一切なかった。違和感や疑問を持たれる前に次の内容に移行していた。

 要するに、迷っている人たちが、このセミナーに来ているはずなのに、より惑わせるような内容だった。

 セミナーが終わったあと、周りの人と少し喋った。そこで出たのが「難しかったね」や「頭がパンクする」といった感想だった。思うつぼじゃん。

 私は講師はそれが狙いだろうと思った。理由はこのセミナーが"有料"だったから。しかも、質疑応答は存在しない。帰りには是非DVDを買って行ってくれと言い、本当がどうかも分からないものへの募金もあった。

 来ている人に答えを見つけられては困るから。このセミナーに来てくれなくなるから。講師の人の収入源が減ってしまうから。だからわざと、困らせる、迷わせる、惑わせる。
 講師の人は頭がいいよ。こんな金の稼ぎ方を思いついちまうんだもん。この講師の人は世界遺産をまわるのが趣味らしい。お金を稼ぐってことは、誰かがお金を払ってる。

 マルチは、迷っている人を見つけ誘い、バカに育て、そのバカを使って儲けるクソだ。
 この映画「我は神なり」はキリスト教を使っているけれど、そうじゃなくても良いと思う。私の場合はマルチに置き換えたし、人によってはまた違うものかも。

 ここまで鋭く、突いた映画はなかなかない。登場人物はクズばかりだし、残酷な描写もあるし、観終わって良い気分にはならないと思う。だけど、眼を背けず観るべき映画。このサイトで書くようなことじゃないことを、長々と書いてしまったけど、本当に衝撃を受けた。考えさせられた。本当はこの映画で学んだことが活かされないのが、一番良いのかも知れない。


 私が気付いたときには、その人は想像のつかないところまで来ていた。あんなモノは仲が悪くなるだけだ、喧嘩するだけだ。元の友人を無くし、新たな友人関係が生まれることはない。そして、家族もまた例外ではない。

投稿 : 2018/10/10
閲覧 : 397
サンキュー:

1

ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

エゴによる人間の醜さを追求した一本

新感染、ソウルステーション・パンデミックの流れで、ヨン・サンホの最高傑作とうたわれるこちらも視聴。
韓国公開は2013年で、4年たちようやく日本で公開されました。

閉塞的な農村のカルト宗教による人間関係を描いており、決して楽しい話ではありませんでしたが、徹底的に描いた醜いエゴイズムに、目を離すことが出来ませんでした。正に最高傑作の冠も頷ける内容だったと思います。
ヨン・サンホ監督の今後の作品に期待したいですね。

主に物語を語る人物は3人、
一人目は金遣いが荒く、すぐ頭に血がのぼるが自分はまともな人間でなはいと疑ったこともないミンチョル。
二人目は自分が利用されていることに薄々気づきながらも、気づかないふりをして、自分の立場を守ってきた牧師のソン。
三人目は父ミンチョルに振り回され、人生を滅茶苦茶にされたことを悲観し、精神的な救いをソンに求めたヨンソン。

二人が自らのエゴに気づき後悔したときには何もかも手遅れだったと、ラストはしめやかに幕を引きますが、どんな形であれ気づけたことこそが成長であり救いだったと思います。
安直な終わらせ方だったかもしれませんが新感染のブン投げエンドやソウルステーションの皆殺しエンドよりも、終わった感がしっかり出ていたこちらの方が断然好みです。

作画については良く動くのが特徴です。
演技的に良いか、気持ちのいい動きをするかについては別の問題ですが、韓国ではこのくらいぬるぬる動く方が売れるのかしら。
正直、実写でも良かったかもしれません。アニメだからこその魅力は感じませんでした。

投稿 : 2018/02/21
閲覧 : 272
サンキュー:

8

じぇ~むず さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/08/24
閲覧 : 38

ルカ☆ルカ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2021/04/05
閲覧 : 67

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2020/07/01
閲覧 : 70

いぬわん! さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2018/02/08
閲覧 : 90

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2017/10/22
閲覧 : 99

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我は神なりのストーリー・あらすじ

 選ばれしは、神の子―。「あなたの信じていることは、“本当”ですか?」 ダムの建設によって水没することが運命づけられた田舎の村に、粗暴なトラブルメーカーのミンチョルが久しぶりに帰ってくる。ところがミンチョルの妻子を含む村人たちは皆、彼の不在中に建てられた教会に通い、若きカリスマ牧師ソンを崇めていた。それがインチキ教団を率いる詐欺師ギョンソクの陰謀だと察知したミンチョルは、村人たちのなけなしの財産を狙うギョンソクの悪行を阻止しようと奮闘する。しかし村人も警察も札付きのワルであるミンチョルの言い分にまったく耳を傾けず、四面楚歌に陥った彼は“悪魔に憑かれた男”の烙印を押されてしまうのだった…。(アニメ映画『我は神なり』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2017年10月21日

スタッフ

監督:ヨン・サンホ

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