Tnguc さんの感想・評価
2.5
物語 : 2.5
作画 : 2.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
テーマはメメントモリ? 考察の多い作品というのは裏を返せば…
~
アニメーター見本市で公開されたショートアニメが、前後編のTVアニメとして帰って来た。
龍の歯医者として生きる者、そして死にゆく者を描いたファンタジー作品。
タイトルにある通り、この作品の世界には龍がいて、その龍の歯を守る歯医者たちがこの作品の舞台である。
主人公・野ノ子が働く「龍の歯医者」という組織は単純な舞台装置ではなく、
龍の歯医者はメメントモリの象徴だったりとか、何かしら考えさせる要素が含まれている。
それらの哲学的なメッセージ性を考察するのが本作の魅力の一つだと思うが、
そもそも、龍の歯医者(キタルキワ)と生死観のニュアンスが少しズレていて、同一視していいのかよく分からなかった。
あと、単純に野ノ子たちが語る価値観もあまり心に響かなかった。
死に向かって生きている私たちに向けられた言葉にしてはあまりにも乏しく、
この作品を視聴したからと言って、自分の生き方について考えさせられることは恐らくないだろう。
作画に関してはとても感動できた。
とくに3DCGの融合はかなり自然で驚いた。
序盤の戦艦シーンもそうだったが、キャラクターの引き絵や、騎乗シーンも何気に3Dで処理されていた。
BSだったから気がついたけど、ストリーミング配信だと気づかなかったかも知れない、そんなクオリティだった。
しかし、全体的にどことなくジブリを彷彿させる舞台装置や映像表現、エヴァの使途のような虫歯菌たちは、
既視感ばかりで、まるでオマージュ作品のような感覚だった。少し残念。
個人的に「前後編だから駆け足になった」というフォローはあまり好きではない。
むしろあらかじめ決まった尺に収めるのも監督や脚本の腕の見せ所だと思う。
つまり、設定や物語を欲張りすぎた印象がある。
何よりも、世界観や設定の説明を公式HP内で片づけた点はとても残念。
結局、本作も見本市の延長線上と言うか、シリーズ化させるための試作品という域のまま終わった気がする。
逆に言えば、考察好きの人にとっては嬉しい作品かも知れないが、
娯楽を楽しみたい人や、作品から何かを学び、感じとりたい人にとってはあまり喜ばしい作品ではない。
とにかくクセやアクが強い作品なので、胸を張ってオススメできる作品ではないが、
単純に自分が作中のメッセージ性を拾いきれてないだけかも知れないので、一概には何とも言えない。
物語:★★☆☆☆ (考察させる要素をあえて残した作品なのか、それともたた単純に投げやりなだけなのか…)
作画:★★★★☆ (3DCGの融合によって迫力のある画になっている)
声優:★★★★☆ (色々と話題となった清水富美加だけど、意外にも自然な演技で驚いた。脇役が大物ばかり)
音楽:★★☆☆☆ (OPは名曲だけどこの作品に持ってきた理由が謎。OP映像と相まってオナニーのよう)
人物:★★☆☆☆ (そもそも龍の歯医者の立ち位置に共感できない)
個人的評価:★★☆☆☆(2.5点)