Witch さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
この「世界観」初見で理解できるの? →先に「四畳半神話大系」で学習することをオススメ
【レビューNo79】(初回登録:2023/8/27)
小説原作のアニメ映画で2017作品。90分程度。
視聴理由は「四畳半神話大系」の森見登美彦×湯浅政明作品だったので。
キャッチコピーは「こうして出逢ったのも、何かのご縁」
(ストーリー)
舞台はある京都の大学。
「先輩」は、1年前から同じクラブの後輩である「黒髪の乙女」に恋をして
いる。
彼は日々彼女を追い掛け、なるべくその目に留まろうと「ナカメ作戦(なる
べく彼女の目に止まる)」を実行していた。
そんな先輩の気持ちはつゆ知らず、乙女は好奇心の赴くまま、夜の先斗町を
歩いていく。
これはそんな2人の夜にまつわる物語。
(評 価)
・「四畳半神話大系」は別格ながらも、個人的には本作も評価
前回レビューしましたが、そもそも「四畳半神話大系」は1クール使って、
最初は「平行世界」を描いて同じような展開を繰り返しつつも、伏線を巧
妙にバラマキながら、終盤でこれらを見事に回収していき、皆を「あっ」
と言わせる「神作品」ですからね。
それを踏まえ本作は「四畳半神話大系」を彷彿させる世界観を描きつつも、
映画の尺の中で、キャッチコピー「こうして出逢ったのも、何かのご縁」
をしっかり落とし込んでいたので、個人的にはかなり評価できる作品かな
と思います。
・この「世界観」初見で理解できるの?
ただ私は「四畳半神話大系」で、この手の作品に免疫があったから楽しめ
ましたが、これ本当に何も知らない方が視聴されたら「ついていけるの?」
というところに疑問を感じました。
「四畳半神話大系」も正直最初は「??」って感じで、上述の通り「平行
世界モノ」で3回ほど同じような展開を観て、それでようやく馴染んできて、
この作品の良さや味が判ってきたって感じなので・・・
個人的には先に「四畳半神話大系」で、この世界観を学習することをオス
スメします。
・内容は奇天烈感が強い(上述の補足)
この作品の格子はシンプルで
★黒髪の乙女に恋する先輩は始めは縁遠く、「ナカメ作戦」等ヘタレな状
況から、いろいろな人との「ご縁」などが巡り巡って、先輩も勇気を出
して行動し、本当の「ご縁」にたどり着く。
という「純愛もの」なのですが、この「いろいろな人との「ご縁」が曲者
で、この部分の厚みが凄いんですね。ここが「森見登美彦×湯浅政明」作
品の真骨頂であり、雰囲気を例えるなら(四畳半でも書きましたが)
「ベクトルの違う『西尾維新×シャフト』」みたいな?!
ストーリー展開も奇天烈感が強く、通常の「ピュアラブストーリー」感覚
で観てると面食らう感じですね。なのでちょっと耐性が必要かなっと。
・以下簡単なあらあらすじを書いておきます(章立ては原作から)
・先斗町での一夜の物語
原作では京都の四季になぞられ、各季節毎の4編の物語として描かれてい
るらしいのですが、本作では「一夜の物語」と改変されたようです。個人
的にはこの演出は◎。
「夜の帳が下りてから夜明けまでを、2人がどう過したのか。」
→ タイトル「夜は短し歩けよ乙女」にピッタリハマる感じが心地よい。
・第一章(春):夜は短し歩けよ乙女
{netabare}「恥ずかしながら、このとき私は単身、魅惑の大人世界に乗り出したい
と思いました。要するに先輩方に遠慮することなく、無手勝流にお酒が
飲みたかったのです。」
この黒髪の乙女、かなりの酒豪です(笑)
このお酒の「ご縁」から様々な「ご縁」を紡いでいき・・・
樋口君&羽貫さんの「四畳半神話大系メンバー」が話を先導していく演出
がニクい。{/netabare}
・第二章(夏):深海魚たち
{netabare}「ここはまるで本の海。私は深海魚となって獲物を求めて回遊する所存」
「下鴨納涼古本祭り」を舞台に、2人はどんな本と「ご縁」があるのか。
特に先輩にとっては、彼女にまつわる「古い絵本」をゲットするという、
重要な使命が・・・{/netabare}
・第三章(秋):ご都合主義者かく語りき
{netabare}「学園祭とは青春の押し売り、たたき売り、いや青春闇市なり」
学園祭事務局は、神出鬼没な集団「韋駄天コタツ」とゲリラ演劇「偏屈王」
に頭を悩ませていた。そして黒髪の乙女もゲリラ演劇騒動に巻き込まれ、
それを知った先輩は・・・
ゲリラ演劇→「ミュージカル」と「恋愛」が見せ場になっています。{/netabare}
・第四章(冬):魔風邪恋風邪
{netabare}「君はどんどん進んでいくから、なかなか誰も追いつけない。なのに何度
も通りかかるやつっておかしいと思わない?」
これまでの喧騒が嘘のように、巷では「李白風邪」が大流行。一人元気な
な「黒髪の乙女」はそれまでの「ご縁」に沿って、いろいろな人の元にお
見舞いに訪れます。
そして最後にお見舞いに向かった先は・・・{/netabare}
テーマの「ご縁」に沿って、様々な個性的なキャラが登場しては入れ替わって
いき、上述の通り四季のイベントも入ってくるので、物語の展開はかなり早い
です。そして
「最初『点』で出会っていた人たちは、実は『線』で繋がっていた」
という仕掛けは、テーマ「ご縁」にピッタリで思わず唸ってしまいます。
{netabare}最後に「お見舞い」という形で、キャッチコピー
「こうして出逢ったのも、何かのご縁」
を回収していくストーリー展開は本当に秀逸です。{/netabare}
問題はその見せ方が好みにあうかどうか・・・
でも、こんな作品も楽しめるようになると世界が広がるのは確かなので、まず
は「四畳半神話大系」から「森見登美彦×湯浅政明作品」の世界に足を踏み入
れてはいかがでしょう。
って「何の作品のレビューやねん!」って感じですが(笑)