ひっく さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
犬屋敷という人
何の取り柄もなく、家庭からも社会からも疎まれ、生きる意味も見出せずにいた老人・犬屋敷が、偶然宇宙人の事故に遭遇したことで機械の身体を手に入れ、その力で人知れず多くの人々を救っていく話。
同じ力を手に入れた高校生・獅子神がそれを用いて悪虐非道な殺戮を繰り返していくのを対照的に見せることで、犬屋敷の「こんな僕でも世の中の役に立てるかもしれない」「こんな僕でも誰かを笑顔にできるかもしれない」という、人生の諦めの先に差した搾りかすの希望のような、細やかで、だからこそとてつもなく純粋な気持ちの尊さが際立っていく。そして、相対するこの両者がいつ対峙し、戦うことになるのかと期待が高まっていく構造がすごく熱い。
原作・アニメともに話の畳み方が丸すぎるというか、素直なヒーロー譚に帰着したことで若干のしぼみを感じてしまったけれど、それでも全編を通してずっと面白かったので個人的には強くオススメしたい作品。 <2024年12月追記> 最近になって最終話まで見返した所、まったく文句のつけようのない素晴らしい畳み方だった。リアルタイム当時と自身の受け取り方が変わったのかもしれない。
中盤、{netabare}獅子神によって、不特定多数を以って誹謗中傷するネット民たちが{/netabare} 次々と殺されるシーンなどからは作者の怒りや強いメッセージ性を感じる。話の節々で自分なら莫大な力を手に入れた時に何に使うのか、そんな思考実験をさせられる。