退会済のユーザー さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
🏅クラシック・リテラチュア
演劇アイドルでゲキドルって結局アイドルかよと思わせといて…。
スーパーマテリアルシアターの「いずみ」の演技を見て芝居に憧れた「せりあ」は偶然いずみの出身劇団アリスインシアターに入団する。
・アリスインシアター(AIT)
守野 せりあ/内気/フルコピーモノマネ師
各務 あいり/快活/いずみの元パートナー
ドール ──/綾波/演者も出来る舞台装置ロボ子
榊原 かをる/酒豪/AIT座長
浅葱 晃─/寡黙/創設メンバー(代表代行)
藤田 愛美/イタイ子/創設メンバー
山本 和春/ジト目/覚えやすい見た目だがほぼ空気
中村 繭璃/遅刻魔/一番可愛いが完全に空気、後半は喋る
美濃 雅弘/陽気/AITのビルオーナー
・スーパーマテリアルシアター(SMT)
雛咲 いずみ/SMTトップアイドル/せりあの憧れ
竹崎 宏和─/野心家(理想家)/SMTオーナー
・シアトリカルマテリアルシステム(TMS)
3Dホログラムを使った舞台装置。
例えるならステージ上で中二恋妄想バトルが可能。
・世界同時都市消失
世界中の複数の都市がごっそり破壊された大災害。
せりあの家族も巻き込まれる。
Stage.1「芝居」
{netabare}
アイドルアニメと見せかけた何か。どうみても普通のアイドルアニメじゃない(笑)。でも第一話の話の筋は完璧なアイドルテンプレなのが面白い。展開自体は凡庸なポジションの主人公が衝撃を受けて業界に飛び込んで試しにやってみたらスゴイ能力があって…てなパーフェクトテンプレ。ですが物語の舞台は世界同時都市消滅という災害の復興のさなかという世界観。そんな世界情勢の中でも希望を捨てず明るく前向きに生きていく主人公の物語だとしても、アイドルアニメには完全に不要な設定。授業中に世界観を説明する演出もバトル作品のテンプレのよう、不穏な演出も度々差し込まれる。
主人公は異能持ちって描写になってるしバトル?ゲキドルってタイトルも演劇のゲキと見せかけて撃かも(笑)。サブタイもACTIDOLだしアイドルとは言ってないキリッだよね多分。普通に舞台俳優でアイドルやっても仕方ないし。
{/netabare}
Stage.2「欲望という名の劇場」
{netabare}主人公が憧れたいずみを輩出した過去があるも現状のAITは貧乏劇団。劇場の家賃を払うため、劇団員たちでアイドルをやって稼ごうとの流れに。SMTにいずみを引き抜かれシステムもパクられで恨み節全開の先輩あいりとひと悶着あるもライブ開催にこぎつける。電源遮断と言うトラブルに見舞われるもせりあの機転でなんとか成功。ライブ客の一人から久しぶりと声を掛けられるも知らないと突っぱねるあいり。
タイトルからしていきなりぶっこんで来るかと思えば肩透かし。ドールと呼ばれるアンドロイドもいたが紹介のみで絡んでこない。え?やっぱり劇団員がアイドルやるってだけのアニメなの?って思わせたいのかな。なんかでも面白いねこれ。 77{/netabare}
Stage.3「アイリを待ちながら」
{netabare}アイドルライブに演劇の演出を入れて両方やるから「ゲキドル」なんですって。前回のトラブルの際にせりあの機転でアドリブで芝居をやったらそれが演出と思われてて意外と好評でそれからライブに取り入れてみたら大ウケで今後もその方針でやっていきましょう!ですってよ。ロボ子は質問したらヒントくれるNPCのよう。この様子だと話が動くのは中盤以降になりそうかな。でもなんか観てしまうなコレ。108{/netabare}
Stage.4「バースディ・パーティー」
{netabare}なんだこれ(笑)。全然意味わからんぞ(笑)。あいりの百合属性は置いとくとしてとしてSMTのオッサンがわざわざ寝落ちするほど必死に監視してたロボ子が鍵になる展開か。このオッサンはマトリックスみたいなことをやりたいのかな。自分たちでは開発出来ないから横取りの機会を待ってんのかも。技術で解決しようとするSMTと生身で勝負のAITとの対比で人間万歳みたいなやつなのかな。せりあは誕生日が災害と紐ついているのはキツイ。誕生日当日、都市消失に巻き込まれ妹と両親が死亡して祖母は健在。妹に関してはトラウマなのに毒親の両親に対しては怨むどころかミリも関心が無いってなかなかのサイコパスでいい感じ。ロボ子の詳細とせりあのコピー能力、都市消失の真相、SMTの思惑等、色んな謎をブチあげてるが、奇策に走って自爆するのかうまいこと纏めるのか。判別も難しいほどあえてキャラを立たせてない設定勝負の作品づくり。どうみてもアイドル要素はガワでしかないのだが画面に映すのは劇団の日常ばかりで謎は隙間に差し込む程度。どっちつかずにはならないで欲しいところ。でもあいりのアレでちょっと雲行き怪しいかもとは思った。次も見ようと思わせる不思議な何かがある。でも謎に釣られる嫌悪感はない。謎。150{/netabare}
Stage.5「桜の園」
{netabare}不穏な演出バラまいておいてまさか普通のアイドルものじゃないよね?からの~結局は演劇とアイドルでゲキドルなのかよ~と思わせといてからの~前回でカオスな展開で混乱させて何がどうなってんだこれ?からの~まさかのガチSF(笑)。すげえ。なんだこれ。ロボが自我を~とか電脳とか陳腐な奴じゃない。そして今回は狂気も狂気。ドールに都市消失で亡くした妹を重ね合わせアリス(妹の名)と勝手に命名した挙句、ドールを本番で使ってくれだの暴走するせりあ。画面に映るせりあは嬉しくて可愛くはしゃいだり、ドールに対し一生懸命なだけなのだが、初回から観てせりあのキャラクターを知っていれば明らかに異常な行動に映る。せりあはこれまでとなんら変わらない幼い笑顔でキャピキャピしてるだけなのだがそれが逆に怖い。やたら見切れる程の顔面ドアップを多用してて素直に見たならキラキラ可愛い笑顔。でも完全に狂っててもうホラーの域。過去に捕らわれたままのせりあとあいり。ドールを見てそれぞれの目に映るのは自らの弱さ(執着対象)。消失した都市に何か秘密がありそう。シアトリカルマテリアルシステムは演劇の舞台装置ってだけじゃないんだろう。ここまで匂わせだけで一切の説明が無かったが、次回で色々判明しそう。ここからどう転がすのか。真っ当なSFをやると地味にしかならんからなあ。250{/netabare}
Stage.6「人形の家」
{netabare}怪我した主役あいりの代役はせりあ。あいりは自分の癖までコピーするせりあを厳しく詰める。「モノマネなんて意味がない」の言葉に激高するせりあ。「モノマネの何が悪いの」。せりあのコピー能力を育んだのは幼少期、双子同士のスイッチを重ねた日々。ドールにより閉じ込めた過去を思い出すせりあ。あの日の軽率な思い付き。ありすを殺したのは─。激しく自分を責めるせりあを、優しく抱きしめるあいり。降りしきる雨の中、屋上から落下する〇〇〇。
おもしれえ。アイドルの皮を被った○○ではなくて前半もあってこそのこの展開できちんとアイドルものでもある。ある意味、○○かと思いきや─実はッ○○でしたッ!ではあるんだけど、この作品ってここまで全く嘘はついてないんですよね。前半からきちんと繋がってる。ここがよくあるビックリアニメとは違うところ。只のフェイクが意外な展開ッって喜ばれるけど、慣れない文脈だと違和感に映るんだろうか。まあ好みの問題か。ビックリ好きにはインパクトが足りないかも。実写映画やSF好きなら楽しめるかな。双子スイッチは古典ネタですが完全にファンタジー。他人はともかく親は絶対わかる。双子の親でも他所の双子はわからんけどね。EDも今回のできちんと意味ある演出だったってわかる。豚仕様とか言ってすまんかった。でもまだ半分なのでどうとでもできるが…どうしたいのか。先が楽しみ。307{/netabare}
Stage.7「から騒ぎ」
{netabare} TMSの故障から三か月休業のAIT。TMSの修理が終わるもドールは修理不能とのこと。次の舞台はあいりとせりあのW主役。古参の晃と愛美はせりあの抜擢に腐りかけるも、かをるの相談を機にAITを支える覚悟を決める。ある日、竹崎から呼び出しを受けたいずみ。SMTメンバーたちに次作の主役を発表する竹崎。次の主役とは──ドールだった。
から騒ぎにヒーローってまんまじゃないですか。ここまで匂わせ程度だったのに。もうここで誰しも気づいたでしょう。サブタイが戯曲からの引用って。でもこのグラデーションはマジで巧い。こういう権威主義的な著名作からの引用って本来大嫌いなんだけど、これはドヤ臭もせずむしろ好印象。やっぱり名セリフやら名シーンやらの鼻につく演出でドヤらない作風だからだろうな。そういうお約束キメキメ演出はバトル作品だけでいい。アニオタにはキャラの見分けがつかないわ話もよくわからないわでつまんないでしょう。かといって演劇とか観る層がこれ観て面白いかと言えば…まずキャラデザの時点で観ないでしょう。そして来ましたバトル展開。バトルものの舞台を演るってことで葛藤の表現を中二恋みたいな演出にするのかな。
せりあのドール修理不能に対するあっさりとした反応。これはもうサスペンスホラーって言ってもいいんですかね。
今回からOPもバトル作品みたい。EDはもろアイドル。これ楽曲は良曲多いと思うが歌唱が好みではないのが凄く残念。392{/netabare}
Stage.8「何が彼女をそうさせたか」
{netabare} T存亡の危機を乗り越える為、竹崎の提示した動員数クリアに燃える一同。ドールを手に入れた竹崎は、かをるまでも手中に収めんとする。竹崎を変えてしまった責任を感じつつも、自分の道を進むと言い放つかをる。無事千秋楽を迎えたAITを和春に託し、かをるは単身過去の因縁に立ち向かう。
最初と最後はもろSFアニメ(笑)。竹崎もよくある闇落ちラスボス。異能や超兵器や近未来に頼らないSFというなんとチャレンジングな作品なのか。バトルSF作品のバトルをアイドルに差し替えた印象。かをるは別の時代(世界)から来たっぽいが、戦禍を生き抜いた人物のその後の人生の物語って感じかな。これで過去に戻ってやり直すってなったら個人的には萎える。もう自分が居なくとも大丈夫だとAITに別れを告げたのだからそれはないか。さすがにここまで捻ってるんだから安易によくあるタイムリープものにはしないと思うけど。ここからが正念場かなあ。SF部分はしっかりとオチをつける必要があり、アイドル部分も疎かにはできんというなんとも難しいことやるよなあ。{/netabare}
Stage.9「生ける屍」
{netabare}かをるの失踪を盾に竹崎は約束を反故。劇場を退去させられたAITの面々は資金調達の為ゲキドルを再開。そこにせりあがSMTを辞めたいずみを連れてくる。今更虫が良すぎると、繭璃は辛辣に非難するも最終的に和解。無事廃校を借りられたAITは練習を重ね、ドールもTMSも無い昔ながらの演劇で観衆を魅了する。一方その頃竹崎は遂にクレーターの秘密、自身の願望を叶える為の一歩手前まで辿り着く。しかしその先に進むにはかをるの持つある物が必要だった。
アイドル部分はよくある展開ながらもサブキャラにもスポットが当たり良い話に纏まってていい感じ。テクノロジーに頼らないAITと不相応な技術に溺れるSMT竹崎という構図が整理されてきてわかりやすくなってきたと思う。それぞれ単品で見ればシンプルな話だけどこの組み合わせは面白い。この設定だと竹崎をブッ飛ばして暴力で解決ってのは出来ないわけで、どういった落としどころにするのかは興味深い。演劇での動員数バトルとか安易な方向にはいって欲しくはないな。というかサブタイトルがもうね。もうここで完全にただのアイドルアニメではないと宣言してるよね。これ戯曲でもありSFミステリでもあるという同タイトル引用によるダブルミーニングでもある。凄まじいセンス。脱帽するしかない。431{/netabare}
Stage.10「世界の創造とその他の事」
{netabare}新生AITをアピールすべく、TMSには無い完全オリジナルでいこうと意気込む晃。かをるの所持品であった妄想日記を元ネタに愛美が脚本を担当。主役がいずみかせりあかで意見が分かれ多数決で勝負。いずみは持ち前の演技力で圧倒するも、役の理解度の深さでせりあに軍配があがる。一方竹崎は、クレーターの奥でかをるを発見する。
演劇パートは…話的にはせりあを主役にしたいのはわかるが、この状況ならまず知名度のあるいずみの主役が前提になる演目にするのが自然だと思うが。どうしてもこの脚本でないといけないという理由は本人達には無いし。興行を意識した晃が簡単に折れすぎ。そこやる尺はないから別にご都合でいんだけど。SFパートはさすがに今回いきなりぶっこんできた要素だけでは意味不明なので次回を待つしかない。ほんとにこれどう畳む気なのか。EDはせりあ。前回までのいずみの曲が良すぎた。サブタイのワードセンスは神がかってる。497{/netabare}
Stage.11「わたしたち死んだものが目覚めたら」
Stage.12「終わりよければすべてよし」
SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!
最終回観たら全て納得。これは確かに演劇でないとあかんわ。アイドル要素も企画通すためのガワでしかないと思ってたがこれも違う。やられた。凄い。よくこんなの作れたな。というか作れるんじゃん。伏線好きやミスリード好きにはたまらないんじゃないですか。上質なSFサスペンスミステリーのようでいて、タイトルの引用元と同様に問題劇であるのかもしれない。
最後まで何も知らないせりあ達。全て自分の思い通りと思い込んでた竹崎。裏をかいたつもりが掌の上だったかをる。今話しているの相手は本物なのか、ドールなのか。人物が発する台詞は本気で言ってるのか、操られて(騙されて・自分でも気づかずに)言っているのか、演技(台詞・強がり・ブラフ・嘘)で言ってるのか。それぞれの登場人物の認知してる情報量が違う。同じ空間に立っていても見てるもの、世界の解像度が違う。こいつは一体どこまでわかってて言ってるのか。セリフ一つで謎の強度が変わる。サスペンスとミステリーの共存は小説なら可能でも映像作品だと困難というのが通説。絵で見えちゃってたらごまかせない。だがドールの設定でこれを華麗にクリア。すべてドールの幻覚ってことに出来る。めちゃくちゃ面白くないですか。せりあ達はただ演劇してるだけでゲイザー達のバトルからは全く蚊帳の外。なのに世界の命運はせりあ達にかかってる。安直なセカイ系への皮肉ですかね。そりゃあの脚本であの配役でなければならんわな。何気に曲もいい。さすがアイドルアニメ(笑)。
ただ作品としてニッチ過ぎ。萌豚には意味不明だろうし、掛け合いアニメが好きな層にはゴチャゴチャして支離滅裂だろうし、かと言って映画や舞台を観る層には長すぎる。ジョーカーゲームやサイコパス見たく長身キャラデザにして「大人の鑑賞に堪える硬派な作品であるキリッ」みたいな雰囲気だったら良かったのか。ただこれはキャピキャピアイドルでやったからこその味わいなんだよね。キャラデザと風味を合わせたんだろうけど、メカの表現は塗りをもう少しなんとかして欲しかったとは思う。あれだけでかなり安っぽく見えてしまう。
ロリっぽいキャラデザは本気で萌豚を捕りにいったのか、ハズしたのかどうかはよくわからん。逆にキャラデザにハマった人の方が肩透かし喰らったのかな。
エヴァの様に「アニメばかり見ないで現実を見なさい」ってのは古臭い。それはアニメは子供の見るものだった世代の価値観。現代では大人になっても観続ける。これは「だったらもうアニメしか観なくても構わないけど、それならもうちょっと頭使う作品もたまには観た方がいいかもよ」っていうメッセージなのかもしれない。でも本格派気取りで高尚ぶってないところがまた最高。
結局SCHOOLって何なんだよとふと思ったが学校が文字通り舞台にはなったけどそれじゃあんまりなので「流儀・生き方」って意味かもしれない。
この作品が企画され無事に放映された事実に感動。紛うことなき傑作。