yuugetu さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
物語も作画も完成度が高い
2016年公開のアニメ映画。
川越淳監督作品繋がりでスタッフやファンの意見など調べていて、興味が湧いて視聴しました。
【物語】
おもちゃの星からやってきたお姫様・ルンダと不器用で優しいロボット・ナンダ。ルンダはなんでもおもちゃに変えられる「おもちゃスティック」を地球に落としてしまい、ナンダともはぐれてしまいます。おもちゃスティックを狙うばいきんまんはルンダに同行し、ナンダはクリームパンダちゃん達と二人を追いかけますが…。
誰かに何かをしてもらうことが当たり前と思っているお転婆なルンダの成長を追う物語。
【声優・キャラクター】
ゲスト声優さんはルンダ役に波瑠さん、ナンダ役に中川礼二さん、その他ちょっとした役に数人キャスティングされています。慣れていない感じではあるんですけど、自然体で媚びない優しい演技で良いですね。
レギュラーキャラはお馴染みの声優さんたちで盤石。声優さんが変更される前なのでジャムおじさんは増岡弘さん、ドキンちゃんは鶴ひろみさん。
【作画】
最初から最後まで素晴らしかったです!キャラクターが可愛いだけじゃなく細やかかつダイナミズムも失いません。背景美術もとても綺麗で、舞台が目まぐるしく変わるのでそれも見所。
{netabare}序盤で観客参加要素としてしらたまさんのミュージカルがあるんですけど、これが少し長め。CGのダンスと手描きのちょっとしたシーン(しらたまさんのタップなど)がこまやかに入れ替わり、飽きない楽しいシーンになっています。ナンダとクリームパンダちゃんたちが仲良くなるなどの中盤の日常シーンも繊細で手抜かりなし。
ばいきんまん&ルンダを追いかけるナンダ、さらにそれを追うアンパンマンのトロッコや川下り。ばいきんおもちゃランドへの挑戦。ばいきんまんとのバトルまで、凝ったレイアウトでメリハリのあるアクションが続きます。それでいて小さな子供が楽しめる工夫が随所にちりばめられてます。
作画にうるさいファンにもオススメですね。{/netabare}
【音楽】
テーマソングは「勇気のルンダ2016」で、作中でもキャラクターが苦しい時に自分を励ますように歌うんですよね。それがとても良い。
{netabare}監督インタビューを読んで歌からヒントをもらったとあって、興味が湧きました。
やなせたかし先生が亡くなって2作目の映画ということで、生前にプロットにはOKを貰っていたもののスタッフ間で様々に試行錯誤していた際、「勇気のルンダ」という曲をヒントに作ったとのこと。曲からテーマを探すことでやなせ先生の意思を受け取ろうという考えたそう。
{/netabare}その他の劇伴もシーンに合わせた曲が多くて、追いかけっこする時のコミカルな曲や山登りシーンの優しい曲などとても豪華です。
【全体的な感想】
{netabare}ゲストキャラのナンダとルンダがとても魅力的でした。
とにかくみんな可愛らしい。前向きで優しい物語、楽しさと明るさを損なわないアトラクション的な演出、躍動感あふれる作画、テーマソングが噛み合い満足感が高いです。
キャラの優しさと勇気に癒されるし、背景美術もとても綺麗。
ナンダとルンダの関係が微笑ましく、山登りのシーンなど日常描写も見ていて楽しい。こちらをニコニコさせる可愛らしさです。
最後にルンダはありがとうと言えるようになって少しだけ大人になるんですけど、そこでナンダがこれまでに無いくらいはしゃぐのがとても可愛い。
とても完成度が高い映画だと思います。{/netabare}
【余談】
{netabare}実は4月頃に「ゲッターロボアーク」の無観客イベントでキャラクターデザインの本橋秀之さんが登壇していたんですけど、本作「ナンダとルンダ」にも原画として参加していました。「アンパンマンでも川越監督は難しいことを求める」と言っておられたなと。
確かに始終動きっぱなしで小物も多くて作画すごく大変だろうなあと…。アクションだけでなく感情表現も細かくて、ホント作画ファンには楽しめるんじゃないでしょうか(笑)。{/netabare}
(2021.9.27)