二足歩行したくない さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態：観終わった
新海誠氏の自主制作アニメを原作とした作品
新海誠氏の素人時代に作った短編アニメを原作とした作品。
監督・脚本・美術等々、新海誠は関わっておらず、"彼女と彼女の猫"とは話的にはつながっていますが別作品なので注意が必要ですね。
なお、本作は4話構成で30分弱、原作は5分弱ほどのモノクロアニメなのですぐに見分けはつくかと思います。
独特の雰囲気で物語が進行していた原作と異なり、本作は普通にアニメです。
女性の主人公は共通の人物らしく、ラストで原作に繋がりらしい演出があります。
前日譚のような感じですが、原作で分かれた彼氏との馴れ初めが描かれているものでもなく、ストーリーとしては新規の書き下ろしです。
チョビとはまた別の、「ダル」というネコと彼女の、日常が描かれた作品で、淡々と綴られた日々をそれでも愛する仄暗い雰囲気の原作と違って、わかりやすく動物を使ったお涙頂戴な内容です。
内容は悪くなく、30分もないにしてはよくまとまっていると思います。
あざとさは感じますが、わかりやすくて万人向けの作品かと思いました。
ただ、素人臭さを残す一方で個人で作ったにしては高いクオリティと、青臭いテーマと新海誠の拙い声優が逆に良かった原作のような光るものは正直感じられないです。
本作が駄作だったというわけではないのですが、プロのアニメーターやプロの声優、作曲家など、多くの人の手が入って、"彼女と彼女の猫"という孤独な作品がカレーになってしまったというか。
また、個人的に「なぜ作った？」というところに、商業的な何かを感じたりしています。
加えて、視聴時には、主人公の女性の性格の悪さが気になってしまいました。
幼少期からわがままに描かれていて、女手一つで育ててくれた母親とケンカばかりし、勝手に家を飛び出して心配をかけ、うまくいかずに勝手に落ち込むという体たらく。
親を思うのであれば言う通り大人しく実家に帰ってから、引き続き頑張るべきなのではないのかと思いました。
次回作で彼氏に振られることへの伏線なのだろうか。
涙を誘う展開、万人向けのテーマと安定した作画で、普通に良作と感じる方が多いと思いますが、あくまでも個人的には、主人公の性格と浅薄さと、ギンギンに尖っていた原作のリスペクト不足を感じたため、本作は微妙に思いましたね。
少なくともネコの顔が原作準拠であれば良かったのに、と。
