退会済のユーザー さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
🏅「障壁」の向こうへ
ウサ耳メイドの格闘アクション作品。百合萌えも可。
セリフで説明しない演出が好きな設定厨にもお勧め。
原案/士郎正宗「攻殻機動隊」
原作/六道神士「エクセルサーガ」
制作/スタジオ五組/「きんモザ」「ゆゆゆ」
攻殻踏襲の原案を負けず劣らずの設定厨が構成し、ガール・ミーツ・ガール(微百合)を十八番とする五組による制作。各々の本領がこれでもかと発揮されたドタバタSFコメディの傑作。暴力的ではあるがあっけらかんとしたドタバタギャグは90年代の香りが漂う。ガンダム等様々なパロディもたまりません。FSS(アヌビスかも)パロディは最高。
士郎正宗作品を読んだ人間からみればアニメ作品では一番テイストが近いと思うはず。アニメ版は原作を意図的に曲解した押井版のインパクトが強く、アニメはこの押井版を発展させる形で広まったためシリアス一辺倒。色調の暗い画面で長身キャラが長々と小難しい漢字とカタカナ英語を羅列する長台詞を捲し立てるアニメシリーズは「ククク…俺はけいおんなんかでブヒブヒ言ってる萌え豚共とは違うぜッ俺はッ本物のアニメを見ているんだッッ」とキリッキリッする雰囲気オ〇ニーアニメとなりかねない構造。SFとか士郎正宗とかどうでもよくてただカッコいいキャラのいるアニメが良いって方には本作はキモい駄作でしょうし、その感想でいいと思います。
いつまでもアニメ版の攻殻機動隊のイメージを期待される状況に辟易してたんでしょう。一度売れてしまえば何十年も同じようなものを作らされ解放されることの無いアニメ界。ただの原作者でしかなかったゆえのしがらみの無さでコレを作れた士郎正宗はしてやったりでしょう。叩かれる度に喜んでいたと思います。
ロリ百合メイドやパンドーラデバイスの起動シークエンス等、今作には様々な「障壁」が存在し、劇中のブエル攻略同様それらを突破して進まなければ終盤にたどり着けないというデザインで作品自体がテーマに紐ついている構造というのも面白い。
ブエル攻略のシーンは例えばアニメ観たときにWikipediaやYouTubeやブログなどの他の誰かの解説が「真実」だと思い込んで自身の考えをも持たぬ者、安易に外部の力に頼る者は決して自らの力では「本質」に辿り着けないという痛烈な皮肉でもあります。アニメの攻殻同様に社会学、心理学、精神医学、実在論等の堅苦しくなりそうなテーマを二人のワチャワチャの中でカッコつけずに柔らかく描いています。全身義体に関する様々な懸念も言えてるし、結構原案者は満足してるのではないかと思います。演出の違いはあれどSFとしては少なくとも攻殻よりは新しいでしょう。
義手等のモーションコントロールプログラムや、車輪の付いた4足ドローンなど現実ではようやくそれっぽい技術が出始めて来ています。だからといって全身義体だけは絶対無理でしょうけど。
ある意味難解な作品なんでしょう。
もちろんリアルではこんな作品知らねえってフリしますよ。