九条さんが選びぬいた『秀作十選(映画)』【あにこれβ】

秀作十選(映画)

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　サンキュー(7)

①98分②85分③120分④113分⑤16分⑥103分⑦100分⑧90分⑨98分⑩124分

BEST10作成日：2012.11.10

近代的国家の創出である国民国家の概念を狼の群れへの帰属意識へと還元し、組織に従属する中での個人の確立や正義をミリタリズムに敷衍する作品。押井守の戦後歴史観を赤裸々に表象している「立喰師列伝」を補足として視聴しておくと、理解を深める上で恩恵を得るだろう。

　3.8

言うまでもなく、世界を震撼させ、ハリウッドも唸らせた電脳アニメの先駆的作品であり、1995年時点で公開されたことは、未だに驚きの念を禁じ得ない。士郎正宗の先見性と押井守の映像表現は、連綿と語り継がれていくであろう。

　4.2

1年戦争における両軍の英雄であり、宿命のライバルであるアムロとシャアの最終決戦が描かれており、ガンダムファンならば　感慨も一入であろう作品。名実ともにジャパニーズ･アニメーションの金字塔と言えるだろう。

　4.1

平和ボケした日本の防衛体制への警告から始まり、テロリストとの攻防や政治闘争、自衛隊の存在意義など、おおよそアニメの領分ではないところまで踏み込んでおり、日本とはどのような国家なのか、果たして守る価値があるのかといった、「ガサラキ」の西田に通ずる思想が垣間見える挑戦的な作品。

　4.2

短編アニメーションではあるが、その創意からカルト的人気を博している作品であり、監督は敏腕クリエイターとして定評のある森本晃司、世界観設定や作画監督は湯浅政明が担当し、それらを菅野よう子の音楽が彩るという珠玉の短編アニメーション。

　3.6

今や押しも押されもせぬ湯浅政明の初監督作品であり、本作と同年公開「ハウルの動く城」、「イノセンス」、「スチームボーイ」を抑え、数々の賞を総なめにする。宮崎駿、押井守、大友克洋の三大巨匠に引導を渡す妙技は、鬼才以外の何者でもない。

　3.8

観る者を幻惑し置き去りにする押井守の圧巻の映像美や創造的なメタファー表現は無論のこと、劇中における相当数の台詞が多分野の書物からの引用であるが故に、ペタンジックとも捉えられるほどの観念性を含意する難解な作品。

　4.1

最新型サイコセラピー機器(DCミニ)の極秘開発によって、個人の主観が反映される夢に対して、他者が干渉し共有することが　可能となった近未来の世界を今敏が描くサイコサスペンスであり、虚実皮膜に通ずる思想が説かれている作品。

　4.0

押井守のネームバリューを世に知らしめた作品であり、夢と現実の境目は何かと問われる。それまでのアニメーションにおける演出や話法が再構築されており、その上に成り立つ作家性は、後続作品への範になっていると言っても過言ではない。

　4.1

日本よりも寧ろ海外での評価が高い大友克洋の代表的かつ古典的な名作であり、戦火で荒れ果てたサラエボの戦地において　空爆を受け瓦解した壁の一部に、本作のワンシーンが描かれていたというエピソードは、最早、語り草であろう。

　4.0

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