「紅-kurenai-(TVアニメ動画)」

総合得点
70.5
感想・評価
734
棚に入れた
4438
ランキング
1512
★★★★☆ 3.7 (734)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.9

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ネタバレ

jethro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

拳銃のないハードボイルド

紅 真九郎(くれない しんくろう)は高校に通う傍ら
揉め事処理屋という表向きの看板をかかげる事が出来ない
プロフェッショナルな大人の業界に足を踏み入れている
ある日、揉め事処理屋の元締めでもある紅香(べにか)から
7歳になる女の子 九鳳院 紫(くほういん むらさき)の
保護とボディガードの依頼を受ける
そして二人の奇妙な生活が始まるのだが

プレスコの絶大な効果と渋い世界観が沁みるハードボイルドアニメ

とにかく何もかもが渋い大人向きアニメ
高校生と7歳の女の子という
どこか哀愁漂わせる風景が例えようもないコントラストとなり
高校生なのに世間のすべてを悟ってしまっている
その憐れでヨレヨレのトレンチコートのような青春が
拳銃をもたないハードボイルドという
およそ相応しいとは思えないジャンルにピッタリとはまり込みます。

主人公のヘタレ批判がありますが
ラブコメまがいのヘタレとは訳が違いますので
十分に作品をご覧になって御理解いただきたいと思います。

{netabare}主人公は、高校生でありながら、テロ事件での両親の死別
自らも巻き込まれた誘拐事件など通常では考えられない
経験をしており、とてつもないトラウマを抱えています。
彼の極端なまでの無感情さ無表情さは
これらを押しつぶした果てのものと考えてよいでしょう
そんな光も差し込まない暗闇の中で彼が思った事は
「強くなりたい」というささやかな希望でした。
彼は誘拐事件で救ってくれた紅香のところへ弟子入りし
紅香の紹介で
裏の武術にして殺人拳「崩月流(ほおづきりゅう)」を身につけます。
だから彼は、とてつもなく強い
しかし彼が求める強さは、本当の強さは「心の強さ」にあります。
だから腕に隠し持った武器を使う事を「弱さ」と考え忌嫌います。
彼のこの思慮深さは
地下鉄で不良に絡まれるシーンにおいては無益な戦いは行わないというものであり
紫が連れ去られて以降の虚無感は感情に任せた行動をしないという
プロの理念に基づきます。
「無益な戦いはしない」「負けと解っている戦いはしない」プロの理念
九鳳院家へ乗り込む事、それすなわち「心の弱さ」
彼の思慮深さが葛藤を生みます。
それは「正義感」というものだったのかもしれません
彼は生れてはじめて、その感情に従い行動を起こします。
奥ノ院まで乗り込む真九郎ですが
戦いは敗北に終わります。
しかも、あろうことか味方であった奥の院の女中の死をもっての敗北
真九郎は感情に任せた自分の行動に後悔します。
紅香の言葉に従い撤退・・・
見事な引き際
しかし、車のエンジンをかけたとき
今までずっと心の奥底に封印してきた
「人間の感情」というものが溢れだします。
「個としての感情」それは紫に対する「愛」だったのかも知れません
戦いの決着は紫を連れ戻すという単純なものではありません
紫の決意を尊重する、紫の「本当の戦い」を支援する決断です。
この決断こそが、この決断する勇気こそが
真九郎にとっての本当の強さ「心の強さ」だったのではないでしょうか
彼と紫の戦いは始まったばかりです。{/netabare}

大人向きのアニメをじっくり堪能したい
そんなあなたを満足させてくれる極上のハードボイルド作品です。

投稿 : 2013/12/17
閲覧 : 268
サンキュー:

8

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