「魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)」

総合得点
90.9
感想・評価
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ランキング
45
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 3.0 作画 : 2.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

「魔法少女」という言葉から連想されるそれとはまったく異なる物語。

魔法少女と銘を打っておきながらそのきらびやかな世界は一切見せず彼女らをどんどん精神的に追い詰めていきます。

世の中の不条理は全て魔女のせい。
それを倒せる唯一の存在が魔法少女。
願うは希望、それに応じるように堕ちてくる絶望。
代償、犠牲、表裏、論理に基づくそれらに少女たちが葛藤します。

アニメの背景はCGを使って綺麗な線で描かれた規則的で非現実感のある画。
それとは相反し魔女の異空間はたくさんのメタファーであふれるまるで夢の中のようなカオス世界。
そしてその2つより浮くようにして描かれるのが人。手書きな感じでいささか下手にも見える画でした。

この作品は女性主体であったと感じました。
まどかの父親は専業主夫で、弟は言葉を使えないですし上条くんはケガと、男性はどこか蚊帳の外でした。

面白かったか?と聞かれるとうーんといった感じ。
個人的思うところはいろいろありましたがアニメとして特別面白いとは思えませんでした。
何がしたいのかいまいち掴めませんし。

まどかの声優が不評のようですが僕はすごく上手だと思いました。
耳がおかしいのかな?w 叫ぶ声からささやく声まで。ええ、もちろんおはようからおやすみまでw
声の微妙な震えといいますか、弱弱しい感じがとても伝わってきたと思います。

意外性が武器の作品だったと思います。

{netabare}

きゅうべえさん嫌われてますねw
嫌われるということはキャラとしては成功でしたね。

きゅうべえは「論理」を使ってしか思考しない、思考できない生物です。
そのせいあってか、わかることもありました。
「論理的に正しい」ことが必ずしも「正しい」とは限らない。
論理の穴と言いますか、それだけでは全てのものごとを言い切れないことがわかります。
論理的に正しくとも、具体性に欠けることもあることから、「論理」に過剰な信用、信頼は置けないことがわかります。
だから論理的に書かれている文が漠然とすごいだとか他ならぬ正しさに満ちているなんてことはありません。
単なるレトリックの一つに過ぎないですから、盲信は危険です。

きゅべえは人と家畜と並べて話をしていましたが
世界に存在するものは全て記号的存在ではないと思います。
たとえ関係性を持ち出したとしても(それが論理的に正しいとしても)その正当性を押し切るには至りません。
『海辺のカフカ』の大島さんの言葉を借りるならば「世界の万物はメタファーだ。」
恋人に互換性はありませんからね。まあ当たり前のことではありますが。

まどかが消えたあと、「悪」は形を変えてやってくるという
世界の認識の仕方といいますか、とても共感できました。
僕も同意見です。
世界に形而上であれ形而下であれ存在するすべてはいるべくしているのだと思います。
賛成も反対も、善も悪も、資本主義も社会主義も、革命も、
道行く人も、飛び降りる人も、歌う人も、踊る人も、みんなみんな。

・どうして魔法少女だったのか?

個人的に残る疑問はこれです。
正直、僕は魔法少女が大嫌いですw というか年齢的に受け入れにくいのは必然とも言えるでしょう。
デジモンの映画を昔観たときにおじゃまじょドレミの同時上映があったのを覚えているのですが
当時小学生だった僕はそのときすでにダメでした。

閑話休題
以下は大変未熟な考察であり、人によっては失礼にあたることを含みます。
もちろん僕には一切そのつもりはありませんので。

作中でもよくみられた「表裏」のイメージ
表があれば裏がある、誰かへの希望は誰かへの絶望に、といったことを強調する要素であったこと、
また少女たちの葛藤や苦悩を幻想世界を通して伝えられる面白さがあったことなどがあげられます。
これらが魔法少女を扱った最大の理由でしょうか。

そしてその魅力のようなものについても考えてみようと思います。
宮崎駿監督の作品でも多くの少女たちが主人公に選ばれます。
多くに共通するのは、彼女たち自身ものごとを考える基準が定まっていないこと。
そしてもう一つは、「処女」であることがあげられると思います。
処女、処女性。男性に免疫がない。あらゆることに対してウブである暗喩。非常に重要なファクターだと思います。
歴史的にみても尊ばれるものですし(例えば聖母マリアが処女であること)
人を(主に男性を)惹きつけるなにかがあるのでしょうか。
『変猫』の王子wがオスカー・ワイルドの言葉を引用していました。
「男は愛する女の最初の男になる事を願い、女は愛する男の最後の女になる事を願う」
本作で男性をできるだけ排除していたのもそれを強調するものではないかとも思います。
つまり、物語に登場する女の子は(現実でもそうであるように)「処女」である方が人を惹きつけることは多少なりとも言えます。
そして話が戻ってしまいますが魔法少女はその性質を大いに持つことが本作で起用された理由の一つでもあったとも言えます。

総括し、簡単にまとめると
本作は葛藤する純朴な女の子を商業的、大衆的作品として描いたものである。

ここで語ることではなかったかもしれません。
一応断っておきますが、僕は女性に対する偏見や差別は一切持っていませんのでご了承を。

長々と書いてしまいました。
作品の面白さより細部に関する感想が多かったです。
ここまで読んで下さった方ありがとうございます。

まったく関係ないのですが『海辺のカフカ』面白いです。価値観がガラッと変わりますぞよ。
興味があればぜひ。
{/netabare}

投稿 : 2014/01/26
閲覧 : 367
サンキュー:

24

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