「新世界より(TVアニメ動画)」

総合得点
87.4
感想・評価
3341
棚に入れた
15919
ランキング
149
★★★★☆ 3.9 (3341)
物語
4.2
作画
3.6
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 3.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

Oh, my god...

原作未読、2クール全25話。
一部の人間に「呪力」と呼ばれる人の手に余る危険な能力が備わり
人間社会のシステムは大きな変貌を遂げた。
物語の舞台は、人々が呪力を手にしてから1000年後の日本。

いやはや、これは圧巻でした。
綿密に練られた設定、世界観、後半からの怒涛の展開、最終話の衝撃。
個人的に10話を過ぎた辺りから、もう続きが気になって気になって気になってしょうがなかった。
あまりこういう褒め方はしたくないんだけど、これ程のものを見せられてしまうと
他のストーリー重視の作品を見る目が厳しくなってしまいますね。

ただ原作の恩恵を多分に受けているは明白で
シナリオに関しては申し分ないけど、アニメとしての完成度はそこまで高くはない。
序盤の退屈さはネタ蒔きの段階ってのもあるけど
脚本やカット割り、演出の雑さも相まって、正直何度も視聴断念しそうになった。
作画も低調で、止め絵アップですら崩れていたり、セリフのとこで口が動いてなかったりと散々。

それでも要所要所の演出には目を見張るものがあって
特に第19話「暗闇」における恐怖表現の秀逸さは近年ないレベルと言っていい。
音楽・音響面に関しては文句なしのクオリテイ。
メインテーマっぽい、あーあーあーのやつとか(曲名分からん)耳に残るものも多い。

視聴中はあまり深く考えず、ストーリーの流れに素直に身を任せた方が良いでしょう。
最後まで観れば、観続けて良かったと思える秀作。


{netabare}本作の一番の魅力は、最後の最後で驚愕の事実を明かすことで
人間(新人類)とバケネズミ(旧人類)に対して抱いてた感情が逆転させられることによる
負のカタルシスに尽きると思う。
仮に、初期の段階でバケネズミの正体に気付いたとしても
裁判時におけるスクィーラの悲壮な叫びには胸を打たれてしまう(浪川さんの迫真の演技もあって)

人間(新人類)とバケネズミ(旧人類)を隔てるもの。
それは呪力の有無もそうだけど、容姿の違いというものが大きい。
旧人類を醜い姿に変貌させた新人類側の動機のおぞましさには戦慄させられる。
サトルの「彼らはやっぱり人間じゃない。同胞として見れるか?」
安易に否定できないこの台詞の重さ。新人類側の偽らざる本音ってところでしょうか。

はっきり言って、状況的には何も変わっていない。
相変わらず新人類はバケネズミを奴隷として管理しているし
最後は良い話風にまとめてるけど、勝者こそが絶対正義である事を否応なしに痛感させられる。
サキが肉塊となったスクィーラに語りかけるシーンも
正面から見据えず、上から見下ろすように語りかける構図は
新人類と旧人類の立ち位置を如実に示しているようにも思える。
我ながら相当歪んだ見方だと思うけれど。


とにもかくにも、非常に見応えがあり、心にずっしりくる作品だった。
人間とバケネズミそれぞれに信念や業の深さがよく表現されていた。
勝者=正義なのかもしれないが、どちらかが悪ってことではないだろう。
この世界に「悪」が存在するとすれば、ある日突然、人間に呪力なんてものを授けた神だ。{/netabare}

投稿 : 2013/10/14
閲覧 : 625
サンキュー:

56

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