「坂道のアポロン(TVアニメ動画)」

総合得点
86.3
感想・評価
2171
棚に入れた
10040
ランキング
202
★★★★☆ 4.0 (2171)
物語
4.0
作画
3.9
声優
3.8
音楽
4.4
キャラ
3.9

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逢駆 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

~金蘭之友~

俺の大嫌いな坂道を軽々と駆け下りていく
君にはその坂の先に何が見えているのか、それは俺が見たことのない景色なのか―――――


友情、恋愛、音楽が活き活きと描かれた眩しいくらいに気持ちいい作品!
物語の展開がやや早めだったにも関わらず、キャラクターの心情が丁寧に描かれていてよかったです。

舞台は1960年代の九州。横須賀から引っ越してきた薫は人付き合いが苦手で周囲に心を閉ざしている高校1年生。ところが転校初日、「札付きのワル」と恐れられている千太郎との出会いをきっかけに薫はジャズの魅力にはまっていく…。

まずキャラクターに関してですが、舞台が60年代ということもあって少しレトロな雰囲気のビジュアルとなっていました。
またそれぞれがとても心地よい距離感を保っていたことも印象的。各々が一方通行の恋をしながらもそこまで重たい雰囲気にもならずに、あくまで青春の1ページとして爽やかに仕上げられています。
その中でも特に魅力を感じたのは、優等生である西見薫と不良の川渕千太郎の関係。
お互い口に出さずとも音楽を通じて相手の気持ちを感じあえる、喧嘩してもセッションをすればいつもの二人に戻っていく…。
二人の互いを支えあう関係性が本当に魅力的でうらやましいほどでした。

そして『坂道のアポロン』の魅力といえば、やはり“ジャズ”です。
菅野よう子さん書き下ろしの楽曲を始め、「My Favorite Things」や「バードランドの子守唄」、
ディズニーの名作『白雪姫』で有名な楽曲「Someday My Prince Will Come~いつか星の王子様が~」などお馴染みの名曲もたくさん使用されています。
その音楽を実際に演奏しているのは、本作の登場人物と同じ年代の若手ミュージシャンの方々。
こういったこだわりがしっかりと音に出ていて主人公たちの勢いや切なさを感じとることができました。
またそのこだわりの音楽に視覚的にも説得力を出してくれた映像表現が本当に素晴らしかったです。
特にジャズセッションのシーン。
本作では先にアドリブ演奏をした後にアニメーションを合わしているそうです。
それだけでも十分に凄いことだなと思うのですが、監督曰く、ドラムシーンでの背中の筋肉の動きから、叩き終わったあとの太鼓の振動まで、すべて丁寧に描き上げているのだとか。
これらの要因があって本作の演奏シーンは音だけでなく演奏している場の空気感までもが伝わってきます。生のライブで体感する高揚感も見事に描かれていて驚きました。


西見薫と川渕千太郎。
ふたつの強烈な個性がぶつかり合って生まれた奇跡のセッションは今でも心に響いています。
ときに激しく、ときに切なく、その時々のメンタリティによって演奏が大きく左右されるジャズ。
本作はそんなジャズの深い魅力の一部を堪能できるだけでなく、
それを通じて主人公たちの苦悩や成長が描かれた昭和の香り漂うキラキラの青春アニメです!

投稿 : 2012/07/07
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サンキュー:

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