「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する ~レベルアップは人生を変えた~(TVアニメ動画)」

総合得点
65.0
感想・評価
259
棚に入れた
693
ランキング
3473
★★★★☆ 3.1 (259)
物語
2.8
作画
3.3
声優
3.3
音楽
3.2
キャラ
3.0

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

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【概要】

アニメーション制作:ミルパンセ
2023年4月7日 - 6月30日に放映された全13話のTVアニメ。

原作は、「カクヨム」に連載中で、
KADOKAWAのファンタジア文庫から刊行されている美紅によるライトノベル。
原作イラストは、桑島黎音が担当。
KADOKAWAのwebサイトの「Comic Walker」にて、
漫画家・港川一臣 によるコミカライズ版が連載中。

監督は、田辺慎吾。総監督は、板垣伸。

【あらすじ】

春休み。中学を卒業して高校入学目前の天上優夜は、
幼い頃から『デブ』『醜い』『何一つまともにできない』と言われ続け、
学校で男女両方から嫌われ暴力を含めたイジメを受け続けてるだけでなく、
家では両親の愛情は容姿に優れた双子の弟妹に注がれて、父母弟妹からも迫害され続けてきた。
唯一の味方だった祖父が亡くなり、遺言で祖父が遺した家を継いだ優夜は、
遺産を狙っていた両親に実家を追い出されてアルバイトで自活をしていたが、
コンビニで暴走族のレッドオーガにしつこく絡まれていた美少女を庇ったときに、
暴走族からの暴行を受け、その時の負傷で傷だらけの上に遅刻は困ると、
アルバイトもクビになった。

努力しても痩せられないし勉強も運動もできない誰からも嫌われる優夜は、
焦ること無く人に優しく生きていれば幸せはやってくるとの祖父の言葉を守ってきたが、
それも我慢の限界だった。怒りと絶望で自宅の鏡を殴って割った優夜は、
隠し倉庫につながる隠し扉を見つける。倉庫には『異世界への扉』があり、
異世界にある賢者の家で優夜は、家の所有権といくつかのスキルと伝説級の武器を取得。

レベル300のブラッディ・オーガが現れ優夜に襲いかかるが、結界の中に入ってこれない。
安全な家の中から最強武器の一つである《絶槍》を投げると、オーガは消滅死。
優夜は経験値を取得してレベルが1→100になった。
自宅に戻った優夜は激痛に見舞われながら寝ていると、
一晩で身長が伸びて足の長い筋肉質のイケメンの姿に変貌していたが、
鏡を割ってしまっていたので気が付かない優夜だった。

春休みが終わり、中高一貫校なのでほとんど知り合いしかいない高校に進学。
学校に行くと別人のようなイケメンになった優夜が同一人物だと思えずに誰もが驚く。
中学時代に優夜を暴力で屈服させていた不良も、レベルアップした今の優夜の相手ではなかった。

コンビニで助けた美少女の宝城佳織が高級車で高校にやってきて、
姿が激変してるのに優夜だと人目で見抜き、
人格が最重要で恩人である優夜こそ相応しいと勧誘されて、
彼女の父親が理事長である国内トップレベルの超エリート校の王星学園に優夜が転入したり、

異世界での王国の後継者候補間での問題で暗殺者に狙われて逃げた先で、
ゴブリンの集団を率いるゴブリン・ジェネラルに殺されそうになった、
アルセリア王国の王女を救って、優夜が王女のルクシアに一目惚れされたり、

いろんな美少女・美女から、ものすごく好かれている優夜であったが、
生まれてからずっと蔑まれて生きてきた自信の無さゆえか、
彼女たちの好意が理解できない優夜だった。

【感想】

進化の実と同じ作者ということでルッキズムとご都合主義だらけなのは同じパターン。
いじめられっ子が妄想ノートに書いた「理想の本当の自分」みたいな夢物語なのも相変わらずです。

嘲笑や暴力などの差別などの受け続けてきた男性主人公が異世界チートで、
見た目がイケメンになって天才になったら人生バラ色みたいな?このパターンの創作では、
従来の作品では元の姿と美形化した姿を行ったり来たりの二重生活で、
最終的には元の姿で前向きに生きていけるようなハッピーエンドだったりするのが常ですが、
この作品では元の姿には戻ることはないっぽい?

祖父以外の家族全員からと学校生活で散々迫害を受けてきたものの歪まず優しい心を持ち、
優れた容姿と能力を得たあとも刷り込まれた自己評価の低さから主人公がイキってないだけ、
恥ずかしい展開だらけながらも、一応は見やすいアニメですね。

この作品の主人公の優夜は、イケメン化とチート能力を手に入れて、
道行くモブ女性たちが振り返って彼に見とれずにはいられない存在になってるのですが、
以前の太った姿のままであったら、彼女らは優夜に興味を一欠片も示さなかったろう、
ルッキズム(外見至上主義)丸出しの展開にモヤッとしながらも、

海外の下着メーカーのヴィクトリアズ・シークレットが、
ポリコレや多様性に配慮しすぎて、ファッションモデルに多様な人種だけでなくて、
極端に太った女性などを採用したことによって、株価の時価総額が半減した話を見るに、

ショービジネスとは夢を見せるもので、キラキラした夢に特化した作品は、
一概に否定できないものではないか?と思ったりしています。

主人公がいじめられ続けていた前の環境が悲惨な現実であり、
美形の善人しか存在しない甘ったるい王星学園が現実逃避先の楽園に見えてしまうのは、
夢を見せるフィクションとしても、過剰に見えますけどね。

楽園のような王星学園でも、クラスメイトが仲良くしてくれても、
異世界でのレベルアップがもたらしたルックスとスーパーマンさを褒め称えるばかりで、
作者の承認欲求を自らの創作主人公で代行してるみたいで、
薄っぺらい関係に見えてしまいますね。元の姿のままでも迫害はされないでしょうけど、
主人公・優夜にここまで親しげに接してはくれないでしょうね。

主人公が太ってたときと痩せて細マッチョイケメン化したあとと両方の姿を知っていて、
全く変わらない誠実な態度で接してくれるメインヒロインの宝城佳織だけが特別な存在で、
主人公・優夜に都合の良い聖女のような匕ロインであると言えなくもないですが、
露悪=リアルとも思ってない自分としては、
善良すぎる変わり者という個性として許容範囲でしょうか。

何故、レベルアップ前の優夜が家族で唯一ブサイクな姿で異常に虐げられ続けてきたのか、
本当の理由がアニメではカットされた「カクヨム」の第59話で明らかになるのですが、
あー、オカルト的な強力なパワーの素質を持って生まれた副作用での、
呪い体質のせいで嫌われる姿になっていて、妖気で周囲が精神操作に近い影響を受けていた?
レベルアップしたことで呪いの力が制御されて本来育つべき姿に戻って、
周囲の人間が優夜に無性に危害を加えたくなる精神汚染を受けなくなった?

というふうに優夜が全然悪くなくて、呪いの力が全部悪いんだー!と冗談みたいな話だと、
優夜の葛藤とか精神的成長とか真剣に考えるものではないですね。
もとからそんな人はいないかもですが。

祖父と佳織だけは呪いを跳ね除ける強い心を持ってたという認識でOKですか?

アニメ制作会社のミルパンセはアニメの出来が芳しくなくて低評価が定着していますね。
今作では漫画版を読んだイメージに忠実にルッキズムを意識した作画。
総監督の板垣伸氏は、やりがい搾取の過剰労働が多いアニメ業界の現状を疑問視していて、
少ない人員でのアニメ制作の実現のためにペーパーレスの完全デジタル環境に早くから移行して、
これまでは良作画とは言い難いことが常態化していましたが、
ようやくソフトを使う側の人間の熟練度が上がってきたかな。

欠点としてよく挙げられる省エネアニメの技法や男性モブの作画がいまいちであるなど、
悪い意味でのミルパンセらしさは今作でも健在ですが、
メインアニメーターの木村博美さんが率先してキャラのアップ作画に手を入れてるそうで、
メインキャラや女性キャラの顔面に特化した作画は、
美形イラスト集的な意味では作品の性質によく合ってると思います。

コマ数が少ないながらも仕上げと撮影の効果で見栄えが保たれていて、
「蜘蛛ですが、なにか?」よりは、わかりやすい作画の破綻がなかったですね。
とはいえ、間に合わなくなったのか12話で森などの背景をバックに、
キャラを映さずに台詞が続いたりはいただけないですね。
そこには演出的な効果や意図はないでしょう。パッケージ版での要修正ポイントですね。

作品の方向性に問題があるとしたら、中学生の黒歴史ノートみたいな、
イタイ内容を大真面目に執筆している原作者由来のものであって、
それに真面目にダメ出しするか、シリアスギャグとしてネタとして楽しめるか、
感想は人それぞれであると思いますが、少なくともこのアニメ化自体は原作を理解していて、
再現性においてはできる限りのことをアニメ会社が行っているのでイメージは悪くはないですね。

クビになった前監督のヤ●カンが「革命の三ヶ月」と称して叩きを扇動してきた、
「Wake Up, Girls!新章」(板垣氏はヤ●カンの逆恨みで延々と粘着され続けていますが、
直結厨のヤ●カンによって新人女性声優が精神的苦痛を受けていた旧章よりは新章はマトモですね!)
共同制作のはずだったアニメ会社(NAZという噂があります)が途中で降りたために、
人手不足でクオリティ維持に手が回らずに後半に作画崩壊が目立った「蜘蛛ですが、なにか? 」
など、いろいろいわくつきの作品が多いミルパンセですが、
今回は無難に最終回まで持ちこたえられたほうですね。
TMS(トムスエンタテインメント)がプロデュース面でサポートしているとのことで、
制作体力が足りてないというミルパンセの致命的な弱点をカバーする一定の効果はあったかと。

世間の評判はともかく、2期があったら見てみたい候補程度には楽しめました。


これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/08/25
閲覧 : 432
サンキュー:

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