「ペイル・コクーン(OVA)」

総合得点
61.0
感想・評価
187
棚に入れた
835
ランキング
5501
★★★★☆ 3.5 (187)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.2
音楽
3.5
キャラ
3.3

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ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

終末の後の世界を、発掘する

私もそうです。発掘したんです(笑)
{netabare}知らずに観そびれていた、
大好物な「ポスト・アポカリプス」の秀作を発掘してしまいました。

縦方向にしか空間の広がりが無い、色彩も乏しい未来世界。

そこに、アポカリプスの後を生きる僅かな人々が暮らしています。

吉浦監督と言えば、
水のコトバでもイヴの時間でもアイの歌声を聴かせてでも、
AIやロボットと、人との関わりを描く。
そういったイメージでしたが、
こういう硬質な世界観で、
こんなに希望の持てない空間で、
これほど人の存在の意味を伝えられる、
そういう物語を、
たった23分の作品世界で描く。
その優れた目と手とアイデアに、
アタマの奥の、芯の方にシビレるような感覚が残りました。

そして、
イメージとして膨らんだのが、
少女終末旅行。
あの作品世界では、
雨だれが空き缶に響く音が、ふたりの少女の無垢な遊びで、原初的音楽の発生に繋がりました。
ストーリー終盤、ついに人々の歴史の遺物である様々な映像媒体に触れることで、ふたりが初めから失っていた世界の秘密に触れることになります。

一方で、
このペイル・コクーンの物語の中では、
序盤に発掘された記録が、
終盤に近づき解読されるにつれて、
そこに音声が附いていて、
しかもそれが、弾き語りの、
歌声と楽器で奏でられる音楽であることがわかります。
そして最後の最後に、
この色彩感乏しい世界にあって、
鮮やかな「青」という「色彩」が浮かび上がります。
この「青=色彩」の意味はもちろん、
人々の求めて来ていたものですが、
そのことさえ知らずに、人々は長い長い滅びの日からの年月を、
きっと、生きて、暮らして来たのでしょう。

一生懸命に解読を続けてきた人類の記録。
その記録の意義を瞭然と告げる宇宙の深淵。

{/netabare}15年以上前につくられた、
今も刺激にあふれる秀逸な作品です。

投稿 : 2023/01/23
閲覧 : 157
サンキュー:

14

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