「サマータイムレンダ(TVアニメ動画)」

総合得点
83.4
感想・評価
578
棚に入れた
1909
ランキング
321
★★★★☆ 3.9 (578)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

7でもない さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

変遷

まず製作に感謝したい。今はオタク向けのアニメは減っていって、よりマスを狙った、宣伝広告広報戦略アドマーケティングをこれでもかこれでもかと強制的に飲み込ませようと迫ってくる売れ線アニメがひしめく中、メインストリームからちょっと離れた感じのオタク作品なのにこんなに金・時間・人材をかけて、バトル作画には進撃アニメーターまでひっぱってきてくれた事は純粋にうれしい。ありがとうございました。これは偽らざる本当の気持ち。

バトル作画、背景美術、作品世界、前半の空気は良い。1期OPEDも曲も映像も独特に引き込まれる。EDの曲、歌詞、映像の抒情性もいいけど、OPの映像も独特でいいなあ。好き。いつの日にかこういう感じの何かを表現してみたい。

和歌山弁と時代に取り残されたような離島、過去に置いて来た人間関係との邂逅が独特な世界を創り上げていて視聴者を異世界に誘う。東京から連絡船で島に帰るのはさながら三途の川渡のよう。しかしずいぶん「でっかい」渡し守のカロンさんだな。

キャラはひづるを始め、ジンパチ?のおっちゃん、アラン(パパ)、影澪と澪、潮などなど素敵なキャラがいっぱいいる。ひづるの最後のこれを本にするぞという展開は若干ありふれてるなとは思ったが。一時期女の子ばっかりのアニメが多く作られていたけど、最近はちょっとずつ、男女のバランスの良いのも増えてきた事も嬉しい。もちろん日常系、美少女動物園はそれはそれで別腹で頂きます。

主人公しんぺーは日常と非日常が入り混じった歪な世界で怪異の殺人事件に巻き込まれてく。圧倒的不利な状況の中、しんぺーはまず一人で孤独にもがいていたが知的に立ち回ることで、徐々に周りを巻き込み対抗手段を増やしていく。最初孤独で敵だらけのように見えたの徐々に仲間に付けていくのは熱い。ひづる、根津のおっちゃん、糸目のトキコ、凸村巡査(この人ゾンビランドサガにもいた気がする)、澪、影澪、菱形青銅。ハイネですら最後は仲間だ。
ループに限界を設けたり、敵味方が知恵を振り絞って戦う緊張感が気持ち良い。そんな中15話で敵対勢力がループ先回りして主人公が狙撃で強制ループされる所がこのアニメの真骨頂。どんどん盛り上がって行ってこの瞬間、見てきてよかったと思った。ここは好きでやまない。だけど体育館の中の決戦も思ったよりあっさり勝てた事を皮切りに以後気持ちは冷めてく。
後半は作者が作ったルールを破ったり(影を切ると本体にダメージがいくはずなのになんで?)潮中心に後出しで強力な解決策がぽんぽん出てきて作品からの拒絶されてるのを感じるのは自分だけだろうか。インテリジェントな知能戦っぽく売り出されたのに、途中からは週間連載のライブ感覚で奇跡の大安売りで気分がさーっと下降していく。

後半のバトルはスケールが大きくなっていき、ものすごいスケールの戦いを今まで見た事の無い視点で描写してる。逃げずにここらへんを真正面から描いた事は好きだし、映像作品として「新しい画」を作る事はとても大切だと思う反面、前述の理由で心の中は空っぽで空しくなっていてバトルも作画も楽しむ余裕が無い。

後日譚にわざわざ1話かけた事は最高。最後はちゃちゃっと済ます手法もありだけど、ちゃんと24分かけてキャラのフォロースルーを描いているのはとても良い。2クールアニメの最大の強みだと思う。でも自分の意見に矛盾するわけではないが、ループというジャンル上、やってきたことを全部なかった事にしたのは情緒に欠ける。例え最後の最後でしんぺーが気づいて帰ってきたとしても。

このアニメの納得できない点を他のジャンプ漫画アニメで例えてみたいと思う。ジョジョ三部最後の承太郎とDIOの大クライマックスで、時間の止まった中で承太郎が時間を止めたり、止まった中でしゃべれる事とか、止まった中で磁石は効果を発揮するなど、非常に「怪しい」場面がある。そこらへんは勢いで乗り越え、視聴者側が粗に目をつむるから名作なのに、本作の場合はそういうダメな部分を得意げにこれでもかこれでもかと投げつけてくる。どういうつもりなのだろう。後出しジャンケンみたいで空しい。作者はジョジョ荒木のアシだった事からたぶん描きたかったのはむしろ後半なのだろうけど、この作品の構造は接ぎ木みたいで非常に不自然で人工な感じがする。何か意図があってこういう風な作りにしたのか?とすらいぶかってしまう。

最近なんとなく視聴者を試すアニメが増えている気がする。例えば、異世界ハーレムの公式ツイッターが放送数か月前に嘘のキャラデザを流した事。あれはいったいなんだったんだ……。例えばこの作品。例えばギャグだからと唄ってるから色々我慢して途中まで見たのに普通のなろうだった陰の実力者になりたくて!

まどかマギカ、がっこうぐらし、ハイスクールフリートみたいな作品は途中で作品の雰囲気をがらっと変えて視聴者を驚かして楽しませたいみたいな善意の悪意ある作りは問題なく楽しめたし、出会って5秒でバトルは途中で原作者が逃げた事でバトル寄りに話を切り替えたのはしょうがない。

異世界おじさんが最初は異世界とのギャップ、なろうのお約束を裏切る楽しさ、そしてセガギャグがあったのに、途中からは作者のネタが枯れたのか、それとも意図的なのかはわからないけど普通のハーレムなろうっぽくなってしまい残念だが、この作品の場合はどういう理由・意図でこのような接ぎ木状態なのだろう。
どうせ視聴者はアホだし、彼らがいったん作品を好きになってしまったのなら、普通なチートハーレムものになってもわからんだろう、途中からライブ感覚なジャンプ作品にジャンルチェンジしてもわからんだろう。みたいな意図で作られたとしたら大変不愉快だし創作に対し不信感を覚える。

このレビュー自体も序盤、中盤、最後でだいぶ空気が変わっているようだ。


初見
2022/6

追記2023/05
似たようなスティーブンキング・荒木飛呂彦テイストのあるハリウッド作品、オッドトーマス死神と奇妙な救世主が面白かった

投稿 : 2023/05/04
閲覧 : 225
サンキュー:

6

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