「マルドゥック・スクランブル 圧縮(アニメ映画)」

総合得点
67.2
感想・評価
335
棚に入れた
1804
ランキング
2493
★★★★☆ 3.8 (335)
物語
3.8
作画
4.1
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.8

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「それは、彼女の選択──」

SFですが、それはあくまでも舞台設定、つまり、土台部分のような感じです。
物語としては、どちらかと言うとサスペンス的な要素が強いかもしれません。

この物語では、主人公の少女が、ネズミ型の万能兵器と行動を共にします。
その兵器は、人と会話ができ、少女が心を通わせられる相手になっていきます。
そして、少女は、次第にその兵器の"彼"に対して特別な感情を抱いていきます。
しかし、一方で、その兵器の力を手に入れた少女は、無双状態にもなっていきます。
その結果、その兵器の彼を追い詰めてしまうことになるのですが・・・。


■3部構成
{netabare}
この物語は、『圧縮』、『燃焼』、『排気』と3部構成になっています。
3部構成だからと言って、単純に1つの物語を3分割したわけではありません。
1つの部をアクションパートと頭脳戦パートで構成し飽きさせません。

主人公の少女は、正直、ちょっとあかぬけないキャラデザです。
しかし、頭脳戦パートでは、必ずお色直しをして、それがとても綺麗で可愛いです。
しかも、3部とも違うお色直しをするのでそこが見どころの1つとなっています。
{/netabare}


■タイトルについて
{netabare}
最初、「マルドゥック・スクランブル」と言うタイトルってなんだろうと思います。

台湾版の現地タイトルは、「殻中少女」です。
これは、この物語そのままの実に分かりやすいタイトルです。
この物語は、あることがきっかけで自分の「殻」に閉じこもってしまった少女の話です。
それが、3部を通して自分の「殻」を破り飛び出す物語だからです。

「マルドゥック」とは、劇中に登場する法律の名前です。
神話の神様の名前にちなんだものです。
一方、面白いのは「スクランブル」の方です。
「はい登る、よじ登る、奮闘する」等の意味があり、まさしくこの少女の姿そのもの。
「殻中少女」は、この物語の内容を良く表しています。
しかし、「スクランブル」は、さらにそこから一歩踏み出した意味になっています。

そして、「スクランブル」と言えば、かき混ぜると言う意味があります。
この物語のテーマは、全体的に「卵」がモチーフになっています。
そして、少女がその「殻」を破り出てくることがテーマになっています。
でも、ただ卵の「殻」を割って中身を出すだけではダメなんです。
「殻」の中に閉じこもってしまった原因となったこの世界に一矢報いないと。

そこで、少女を助けたドクターの「卵をかき混ぜるぞ」と言うセリフ。
これは、この世界をひっかき回し、事件を解決することを象徴しています。
それと同時に「殻」に閉じこもった彼女自身もひっかき回すことを意味しています。

「スクランブル」には、「奮闘する」と言う彼女自身の成長の姿を表す主観的な意味。
そして、今までの彼女を「かき混ぜて」壊し、新しい彼女にするという客観的な意味。
その両方が掛け合わされていた言うところが面白いなと思いました。
{/netabare}


■まとめ

この第1部のキャッチコピーは、「それは、彼女の選択──」です。
この物語では、ある事件により、少女が生きるか死ぬかの選択を迫られます。
少女は、最初、生きていても仕方ないと自分の「殻」に閉じこもっていました。
それでも彼女は、「生きたい」と願いました。
それは、同時に自分の「殻」から飛び出す「選択」をしたと言うことになります。
この後、この物語は、その「選択」の実現に向かって進んでいきます。

この作品は、最初は少し暗いですし、舞台設定にも戸惑います。
しかし、後に向かってじわじわ面白くなっていき、目が離せなくなります。
特に第2部以降に登場するカジノ編は、ギャンブルアニメとしても優秀です。
「これ、SFだよね?」って思うぐらい、SFのことを忘れて手に汗握ります。

投稿 : 2022/07/23
閲覧 : 181
サンキュー:

9

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