「赤髪の白雪姫 2ndシーズン(TVアニメ動画)」

総合得点
75.8
感想・評価
641
棚に入れた
3501
ランキング
757
★★★★☆ 3.9 (641)
物語
3.9
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
4.0

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

清流に集う魚達たちが夫々の運命と向き合い成長を遂げる物語…なのだが…。

2015年7月~1期。2016年1月~2期。全24話+OVA。全話視聴済み。原作 あきづき空太(あきづきそらた。女性漫画家)。未読。
アニメ制作 ボンズ。王宮ファンタジー。恋愛要素あり。作画は美しく、描写、語りも安定した良質な作品。

【まえがき】
物語の性質上、分けて書く気合いが湧かず通しレビューをご容赦ください。

清純な乙女を中心に織り成す王宮・王室・中世的ファンタジーを、硬派な作品を手掛けるボンズが制作ということで視聴。

魔物、異形の物は登場せず、タイトルから連想されるラブストーリー性はベタつき感・嫌味は感じない。物語として解り易く悪く言えば単純で平凡…。
主張ポイントや明確なテーマを推し出す感は少ないが、良質な作画と細かな描写、セリフやカメラワーク、丁寧な設定と脚本が物語として成立させている。
主役の「赤髪」は古来より様々な解釈がされるが、その意図は?

【本編・見どころなど】
ルネッサンス~バロック、ロマネスク後期を思わせる中世。クラリネス王国と隣国タンバルン王国が舞台。

・白雪(タンバルン王国出身。赤髪の少女。18歳。タンバルン在住時に薬剤師を営んでいた赤髪の少女。ある騒動から隣国クラリネス王国へ逃亡。様々な人々との出会い・交流を通じ成長を遂げる。実直でポジティブな性格で誰かの役に立ちたいと願っている。宮廷薬剤師を目指す)

・ゼン・ウィスタリア(クラリネス王国第2王子。19歳。場外の模様や民の生活を見聞する為に度々城を脱走する行動派で正義感溢れる好青年。人を惹きつける魅力を持つ。白雪に好意を抱き、愛情へと変わってゆく)

・ミツヒデ・ルーエン(ゼンの側近。近衛兵団。23歳。ゼンのお目付け役)。

・木々・セイラン(ゼンの側近。近衛騎士団。セイラン伯爵家の次期当主。女性。20歳。剣豪。やや毒舌系クールビューティ)

・オビ(素性は不明。23歳。後にゼンの伝令役兼白雪の護衛役。頭脳明晰で他人への配慮も上手。身体能力が高く猿のように身軽。助演の中心的人物)
本作で1番気に入ったキャラ。

・リュウ(クラリネス王国 ウィスタル城 最年少宮廷薬剤師。12歳。聡明だが口数が少なく人付き合いは苦手。体力があまり無く集中しすぎると机の下ので寝てしまう。)

・ガラク・ガゼルド(クラリネス王国 ウィスタル城 薬室長。サバサバした性格の聡明な女性。イタズラ好き。)

・八房(やつふさ。ウィスタル城 薬剤師。ガラクのお守役)

・イザナ・ウィスタリア(クラリネス王国第1王子。ゼンの兄。王国の自治を司る冷徹な面を持つ切れ者。物語全体を描くような役回り)

・ハルカ(クラリネス王国 侯爵。立場や階級を重んじる考えの持ち主)

・キハル・トグリル(クラリネス王国領内 ユリウス島に住む少女。胡桃石の笛を使い、島に生息する珍しい鳥を操る。相棒の鳥はポポ。後にクラリネス王国の窮地を救う)

・ラジ・シェラザード(白雪の故郷、タンバルン王国の第1王子。傲慢で身勝手な行動から、巷ではバカ王子と評判は最低。白雪がクラリネスに逃亡するきっかけを作る。しかし様々な経験を得て、後半は白雪の友人となる)

・サカキ(タンバルン王国 ラジ王子の側近。良く気が効くラジのお目付け役)

・ロナ・シェラザード(2期~登場。ラジの妹。物語の癒し的?役割)

・ユジナ・シェラザード(タンバルン王国 第2王子。ロナの双子の弟)

・武風(むかぜ。2期~登場。タンバルン王国の自治集団・義賊 山の獅子の頭目。白雪の父)

・鹿月(かずき。2期~登場。山の獅子のメンバー。武風に救われた経緯から、武風に忠義を立ており、誤って?白雪の誘拐の主犯となる)

・イトヤ(2期~登場。山の獅子のメンバー。オビと互角の戦闘力を持つ)

・ウミヘビ(2期~登場。海の鉤爪の女頭目。物語の最もな悪役)

1期は、白雪が宮廷薬剤師を目指し奮闘する描写を中心に、キャラ夫々の性格や立場立ち位置、その周囲の環境の変化・夫々の成長とゼン王子等との関係性が描かれる。

自分の信じた道を真っ直ぐに進むことは容易では無い。様々な出来事を通じ、地位や立場を超えた信頼と信用。何かを成すために人の上に立つ者の在り方の難しさ。誰かを思い行動を起こす大切さ、その努力が報われる喜びなど物語の骨子が描かれる。

4話...。白雪は宮廷薬剤師見習い試験中、何者かより薬草園に閉じ込められる。しかし、ある薬草が毒性を発している事に気が付き、それを防ぐため大胆な行動に出る。王子であるゼンを労働力にするとか!?
翌朝ガラク室長が確認に来た際、ゼンが泥まみれでへっているのを見て大笑いするシーンは白雪の性格が明確に示され面白い。

白雪はガラクより、ゼンの薬歴を渡される...。それはゼン13歳~の毒薬投与の記録だった...。王子という立場故、万一に備えた対策とはいえ、その過酷な記録に大粒の涙を流す白雪...。それを見たリュウは慌ててゼンに「白雪が泣いている」と告げる。ゼンは「それは自分の記録だと」し、窓辺でそっと白雪を抱き寄せる...。
白雪は自分のために走ってくれたリュウに感謝と微笑みを...。心地よい春風を思わせる感情描写が美しい.。

前半のこの2話に好感を持ったので期待した。

10話。鳥使いキハルと出会う。キハルが鳥達と住まう島の領主(鳥を狩猟の対象とする悪いやつ)と対立し、その仲裁をゼンに依頼するも、領主と住民との問題としてゼンは公に領主の裁定範疇として介入を避けるが、白雪の提案で鳥を伝令に使えるならと試技する事に...。しかし悪徳領主の妨害で試技が失敗仕掛けるが、白雪とオビの活躍で事なきを得、鳥使いが国の正式な伝令手段として採用が決まる。守りたいものをどう守るかを伝える事を強く意識したシーンだが…。

1期後半で、白雪はゼンに対する気持ちが尊敬や好意以上である事を打ち明け、ゼンも白雪と共に在りたいと告げる。愛しいと想う気持ちはお互いを高め合うとした美しい描写だ。
ミツヒデ、木々もそれを知り応援し、白雪は天に向かう光の粒を観ながら、この先も自分を、そして自分を支え応援してくれる人達と共に歩むと決めるのだった…。

2期も、様々な出来事や日常を通じ、夫々の成長が描かれてゆく。

すっかり宮廷薬剤師見習いとしての日常に慣れ、知識を得るために行動を起こすポジティブさは変わらない白雪の描写には和める。

屋外で仕事中のリュウ。風で書類が飛ばされ木の枝に引っかかってしまうが、リュウは木登りが出来ない...オビに肩車され書類を手にした後、そのまま薬室まで走る。オビの屈託なく人と接する描写、ゼンの仕事の原動力は常に白雪の行動にあったり、ミツヒデ、木々のゼンへの忠義心、信頼、上手な手網さばきは微笑ましい。こうした日常描写を穏やかに描きながら、細かなセリフ、仕草から夫々の心情や人間関係を示す描写は好感が持てる。

そして鹿月(かずき。山の獅子メンバー。)、イトヤが白雪を探す理由とは...?

イザナ王子から、タンバルンの夜会に出席することを命じられた白雪...。久しぶりの故郷へ帰れる嬉しさ反面...ラジ王子との再会に不安も抱く…。

ラジとの再会等、間話を挟み後半に…。

鹿月らに白雪が拉致される。
白雪を護れなかった事を悔やみ、自分に憤するオビは白雪奪還に動く…。

鹿月はウミヘビのお気に入りである事から、付け狙われている…。
白雪を拉致した後、山中で海の鉤爪連中に白雪共々連れ去られ海賊船に捕えられる。

白雪と鹿月は、捕らえられたウミヘビの海賊船から脱出を試みるが…。

一方、ウミヘビと対立する山の獅子と接触し、山の獅子の頭目、武風の志しと、白雪救出の目的画一致した事で共闘する事にしたゼン一行は、ウミヘビ討伐に向かう。

鉤爪の海賊船が停泊している酒場街を見つけ、木々が囚われの身を装い侵入する。それと並行して元没落貴族ミハヤにより、鉤爪のアジトを吸収する作戦が立てられる。木々からゼンが救出に来ていると知らされ涙する白雪。

これ迄のバカな行動ばかりのラジの王子は、タンバルン王国の民に全く信頼されていないが、自ら乗船団員達に願い、申し出ることで商船団の協力を取り付ける。

此処から山場だが…。

商船が海兵隊の旗をかかげたり、ラジが唐突に善人に転換し(よく言えば変化だが)「貴様らが捉えた赤髪の娘は、こタンバルン王国でただ一人、王家の友人の称号を与えられた者だ」と言い放つ。

航行困難な海域を突破し、鉤爪の海賊船に体当たりする!?(王国の船に大砲の一門も備えはないのに疑問…)この辺から設定の無理・矛盾、ストーリーを急ぐ焦りを違和感として感じ始める…。

間一髪で白雪達の救出に成功し、悪役鉤爪達を蹴散らす戦闘シーン。

そして、山の獅子の頭目、武風は実は白雪の父親役だった…というサプライズ設定?。

武風は死んだ事になっていたが、白雪は幼い頃、祖父母から父は存命であると聞かされており、自身も祖父母が営む酒場で目にしていた。実は武風は地方の地主だったが、婚約者(白雪の母)が叔父に嫁がされそうになり、それを奪い返した為、追放され流浪となった…。そして当時の山の獅子に救われ、白雪が生まれた。しかし母親が他界し、はみ出し者集団の中で白雪を育てるには危険と判断した武風は、白雪を祖父母に預けたのだった。

白雪は、武風達が大切だと思う山の獅子の場所と同様にタンバルんが白雪にとって大切な場所とする。この物語の重要なシーンなのだが…。

私は、その後、白雪がオビに礼を告げるために再開し、そこでオビが自ら志願して白雪の護衛となったのに護れなかった事を悔やみ、白雪の言葉を遮って「いくらあんたの言葉でも聞けない…俺はあんたを護るために来たから…」そして白雪が「今度タンバルンに来た時は下町に行けるって言ったでしょ?」それに「白雪…」と言いかけて…「お嬢さん」と言い直す描写。オビの本心が垣間見え本作で一番印象的だった。

22話。
タンバルから帰城した一行。白雪も薬剤師としての日常に戻る。
ゼンの妃選び、お見合いの話し。形だけの見合い相手として木々が選ばれる。木々さん綺麗♡
敢えて引っ張り、この回でそこに至る木々の反応や白雪を初め周囲の夫々の感情描写をコミカルに描いたのは正解だと思う。

イザナ王子とゼンとの会話。ゼンが白雪を諦めないと告げる。イザナは「ならば、俺をお前と白雪がたどる道の味方に付けてみろ」と投げかける。

結論は見えているが…。ゼンと白雪の結ばれ方をどう描くのか?…。

最終話。
白雪はタンバルンより正式に「王家の友人」の称号を受け取り、王子であるゼンに1歩近ずき、それを周囲も応援するのであった。

【あとがき】
この物語はとても清々しい。恋愛描写も嫌らしさを感じなず、各描写は丁寧に描かれ良質と言える…。
でも…。登場するキャラが1部の悪役を除き、殆ど裏表が無く、爽やか、ひたむき、真っ直ぐ、純粋な描写(原作がそうなのだろうが…)にどうしても違和感を感じる。苦難や壁を乗り越える描写はあるが、全てのキャラが善良すぎる…。そして最後まで白雪を何故赤髪にしたのか?その意図やメッセージ性は伝わってこなかったのが残念…。物語にはやはり、ガッシリした骨格が必要だろう…。

投稿 : 2022/07/23
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