じぇりー さんの感想・評価

2.0
物語 : 1.5 作画 : 3.0 声優 : 2.5 音楽 : 1.5 キャラ : 1.5 状態：観終わった

そもそも英語表現として間違っている気がするのよ、「ゴールデンタイム」

実は少し珍しいような気がする、大学生の恋愛模様を描いた作品。
OP/EDアニメーションではほぼ独断場状態で、クレジット上でも一番手に名前が書かれている、ヒロイン・香子が主人公かと思いがちではあるが、作品そのものは男性側の万里の視点やナレーション・モノローグで綴られていくので、どちらかと言えば主人公は万里の方だと思う。

まず何よりも一番最初に目につくのが、1クール目のOPだ。もしかしたら、作品を見始める前にこの時点で視聴を断念する人もいたのではないかと思う程、OPのアニメーションの演出の古臭さが作品を安っぽく見せてしまっている。これは昭和の少女漫画か？

OPにようやく耐性がつき始めた頃、次に襲い掛かってくるのは、メインキャラの理解不能な言動や性格である。
ヒロイン・香子はストーカー気質で思い込みの激しい一方的な性格のお嬢様で、一方の万里は過去のとある出来事がきっかけで精神不安定な少年だ（大学生だが、敢えて「少年」と呼ぶことにする）。
そんな二人の恋愛模様、嫌な予感しか漂ってこない。

もちろん、ラブストーリーには二人の愛を試すかのような紆余曲折があって当然であり、それを乗り越えることで二人の関係が深まったり、人間的成長が見られるはずなのである。

しかし、あまりにも極端な性格の香子と、感情のコントロールがいまいち上手くできない万里という組み合わせでは、もしかしたら高校生のそれよりも幼稚な恋愛にしかならないのではないか。
回を追うごとにそんな不安が脳裏をかすめる。いや、きっとサブキャラたちが何とかしてくれる、とか、万里がそろそろメンタルリセットしてくれる…などと様々な希望的観測を試みたものの、事態はなかなか上手くは回らない。

そのうち、「一体、私は何を見さされているのだろう…？」と思い始めたら、1クール目が終わっていたので、そのまま乗りかかった船だ！と2クール目も視聴を継続することに。

2クールかけただけあって、サブキャラクターを含めた登場人物たちの心の変化は比較的丁寧に描かれている。ただ、これのせいでかなり間延び感があり、中盤はかなりダレてくる。
主人公2人の恋愛模様が停滞気味になるのなら、そこで{netabare}三角関係が発生したりだとか、サブキャラ同士のラブストーリー{/netabare}が出てきても良さそうなものなのに、その辺りの描写は非常にあっさり。
とことんメインの2人のラブストーリーで魅せたいのだろうが、関係良好な時の2人のバカップルぶりを一体誰が微笑ましいと思って見られるだろうか。
自分劇場に酔いがちな香子と、どこか煮え切らない万里のすれ違いを見て、一体誰がその胸を締め付けられるのだろうか。

終盤はやや劇的な展開からの結末となったが、それまでの20数話のグダグダ感を覆すほどのエンディングとは思えなかった。
何より、ラストシーンで2人のこの後を示唆する、とあるアイテムが映し出された時は、あまりにそれが余計で無粋過ぎて、それまでの長い道のりがアホらしくさえ感じた。

私には一瞬たりともゴールデンなタイムは来なかった