oneandonly さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 2.5
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
創作者の衝動を解放した作品か
世界観:5
ストーリー:5
リアリティ:5
キャラクター:4
情感:5
合計:24
日本は戦争により南北に分断されていた。米軍の統治下にあった青森に住む藤沢ヒロキと白川タクヤには夢があった。それは津軽海峡を走る国境線の先にある巨大な塔まで、小型飛行機で飛ぶことだった。そんなある日、2人のあこがれていた沢渡サユリが突然転校することに……。
(シネマトゥデイより)
引き続き、新海誠監督作品ということで見てみました。
実は1回目の視聴では途中何度か寝落ちしてしまって、よくわからないまま終わってしまったので、2回目を視聴しての感想となります。
しっかり見た上での第一印象としては「説明不足で分かり辛い」、「女性受けしなさそう」ですね。
{netabare}まず、今の世界とは異なる世界線での話というのを理解するのに時間がかかりました。蝦夷、ユニオン、謎の塔(カリン塔かよ!?)等々。主人公たちが住んでいるところがどこで、どこに行こうとしているのかも曖昧なまま見続けることになりました。
後ほど、塔が北海道の真ん中辺りにあることがわかるのですが、津軽海峡を越えた青森から、また、東京からも塔が見えるのですが、かなり巨大な塔じゃないと今作で描写されているようには見えないですよね。もちろん、風とかを考えればカリン塔のような細さでは建築できないですし。いずれにしても、宇宙に突き抜けていくかのような、頂上の見えない塔など作れる技術はないと思うので、まずここでリアリティ面に大きなツッコミが入りました。別にあんなに高くなくてよいと思うので、とても余計な設定だと思いましたね。
それから、ヒロインが爆風を受けたかのような映像の後にボロ家の2階(?)から転落しそうになるシーンがわかりません。いや、パラレルワールドからの影響等、後では考えられるのですが、見ているときはわからないです。
続いて2点目ですが、冒頭に出てくる楽しげに「飛行機!」と言う少女に現実感がないです。基本、アニメに出てくる女性は作者のアニマを描いているだけのような現実感のないキャラクターが多いのですが、この作品もそんなところを感じました。そういうキャラの特徴としては、孤立している(親や親しい友達がいない)一方、主人公等に対して爽やかで明るく振舞っている感じ。男性には理解できても、女性には理解されにくいんじゃないかと思います。
結局、なぜこの少女が鍵を握る形で(祖父が開発とは言うものの、それだけでは理由になっていないと思う)、パラレルワールドのシステムが開発・起動されたのか、全体としてのストーリーがよくわからないで終わってしまったのですが、後半、「君の名は。」を連想する出会いのシーンがありました。この映画を見ていれば、似たシーンをより楽しめたでしょうね。{/netabare}
作画は1作目より美しくなりましたし、音楽の使い方も良かったと思います。他方、引き続き、一人よがりで青臭さが残る作品です。作者が表現したいものと、受け手が見たいもののギャップが大きいんですね。創作者の描きたいものというのは、まずは受け手のことを考えない衝動からスタートするので、新海氏もここではまだアニマを描くことで、それに開放されている過程と思われます。
単体の作品としての評価は低くなりますが、この作品を描いているからこそ(タイミング良く周囲のサポートも得られたことで)、「君の名は。」に繋がっているとは言えるのでしょうね。
(2016.11視聴→2017.6調整)